夢日記      12月1日〜31日

 

殺人事件だ。謎が幾つにもからまっていて、先が見えない。

雑種の犬が部屋にいる。

まずはトイレの習慣をしっかりとつけなければならない。

だがこの犬は目が澄んでいて、いかにも賢そうだ。

言ったことがわかるのだ。

すぐにトイレのことは覚えた。

 

その犬が僕の腕をそっとかみ、引っ張る。

何かを見せたいようだ。

行くと、背の低い木がそこにある。葉が紅葉している。その木のてっぺんを犬が見つめている。視線をたどると一番上の葉の裏側がほかとおかしい。裏に黒い斑点があるのだ。

ぼくはそれをちぎる。何か証拠なのだ、きっと。

 

帰ろうとするとまた犬がぼくを引っ張った。行くと、隣の家にちょうど少年が帰ってきたところだ。外から中が見える。6畳間だ。

犬がその少年を見る。

ぼくは戸をガラガラと開けた。少年は目を見開き驚く。

そして隣りにいる父親に涙を流しながら秘密を語り始めた。

しかし少年は犯人ではなく、犯人を見たということだ。

 

野球部の部室で丸坊主の1年生がロッカーで震えている。

マネージャが彼を見つけて聞くと、見たというのだ。

何を見たのかは言わない。だが確かに見たらしい。

うずくまってがたがた震えている。

 

親父と駅に着いた。

駅から見える光景を手に持った写真と比べてみる。

写真は白黒でぼろぼろになっているが、目の前の光景を同じだ。

親父と駅を出る。写真がずいぶんと古いものなのだが、光景は少しも変わっていない。それが腑に落ちない。風景はどこでだってどんどん変わっているはずだ。

 

事件は解決した。

だが本当は解決していない。

世間の目を欺くために、事件に関わった人間全員が口裏を合わせたのだ。

ぼく達は古い1軒家に集まった。

大勢が集まっている。がやがやとうるさい。みんな大声で笑い合っている。

一体何なのだ。これから真実が明かされるのだ。この中で犯人がわかる。犯人は袋叩きにあうはずだ。遊びにきたわけじゃないだろう。

 

だがぼくの犬がいない。

今日の謎解きはぼくの犬なのだ。

ぼくは不安になる。

管理人に聞くと、犬はもう来ていて外につないであるという。

ぼくは急いで外に出た。

犬が耳を伏せて足をとことこさせた。ほっとした。犬を部屋に入れた。

 

ぼくは新聞紙を部屋の隅にしき、そこに犬を座らせた。

犬は2回ゆっくりと尻尾を振ると、手に顎を乗せて、じっとした。

彼は何もかも知っている。

 

部屋にいた人数がかなり減っている。

いや一人しかいない。男だ。それもぼくの知らない男だ。ということはこの事件には関係がない。

 

みんな謎解きなどどうでもいいのだ。

ぼくは男のところに行った。

小学校で使うパイプの椅子と机が並んでいる。

男は引出しから封筒を取り出し机の上に置いた。

男はとても柔和な表情でぼくを見る。

封筒には昔の手紙が入っているという。

古い手紙らしい。

それがこの事件と何か関係があるのかと聞いたが、男はただ笑っているだけだ。

するとみんなはこの事件の真相を既に知っていて、だからみんな平気な顔をして、そしてみんなできっとどこかで飲んだり食ったり楽しく過ごしているのだろう。

 

ぼくだけが知らなかったのだ。ぼくだけが知っていると思っていたのに。

封筒の中の手紙はきっとぼくの知らない事件の真相なのだろう。

部屋の隅に犬がまだいるのだろうか。

 

白いスペクトルの魔法使いの年律動の月11日。

12月23日。

 

体育館でバスケを見ている。相手はSYだ。

ぼくは2回から見ているが、コートは真下、下に降りたいのだが階段はなく、ぼくは体を乗り出して下を見る。

 

彼女がぼくにトンカツを上げてくれるという。

1500円の高いお肉、といって彼女は笑う。

目の前には大きな鍋があり、そこに赤い肉を彼女が入れる。

ニコニコ彼女は笑っている。

 

コートに降りた。

僕はうつぶせになって彼女を見ている。

ふと上を見るとさっきぼくの板2回から大きなダンベルが落ちてくる。

ぼくはうつぶせのまま背筋の要領で上半身を反らせる。

反らせた瞬間、目の前をダンベルが落ちていく。

紙一重だ。

助かった。

だが反った直後に目の前をダンベルが落ちていく様子は、愉快だ。

 

体育館にはSYが他のランナーと一緒に並んでいる。

前にはコーチだろうか、何かを話している。

ぼくは彼女に合図を送ろうとするが、コーチの話を真剣に聞いていて、ぼくの方を向いてはくれない。

 

白いスペクトルの魔法使いの年律動の月13日。

12月25日。

引越しをする。部屋はほぼ空っぽだ。残っているのは机とその上の何冊かの本。日記がある。妹がそれを開こうとする。

 

新しい家に向かう。

途中に神社があり、墓があり、霧がかかり、背の高い木々がゆらゆら揺れている。

ぼくは携帯のカメラで、木の陰の墓を写真に撮ろうとし携帯を向けるが、違う景色が携帯に映っている。

後ろの景色が映っているのだ。振り返るとその景色がある。

目の前の光景が写せない。

ぼくは携帯を向けている。

 

新しい学校にぼくたちは行く。

ぼくはもっと早めに生きたいのだがみんなゆっくりと時間ぎりぎりに教室に入るのだといっている。

チャイムが鳴っている。飛び込めという声が聞こえる。

ぼくも皆と一緒に教室に飛び込むが、教室にいた先生はダメだ、遅刻!と叫ぶ。

ぼくらはそのまま廊下に出された。

みんな気を付けをして立っている。

ぼくは置いてある椅子に足を引っかけ、リュックを背負ったまま腹筋を始める。

先生はそんなぼくを見て、感心している。ぼくは腹筋を繰り返す。