マラソン日記   2003.11.1−31

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月15日.

11月1日.

あと290km.

 

ニュータウンコース39分10秒.

コース新.

ラスト100%で走る.

いつも練習で100%出さないままレースに臨むので、前半スピード負けをしてしまう.それを考慮して今日は走った.

去年の12月3日に40分を出しているが、それ以来の自己新だ.

ということは調子上がっているのだろうか.

だがいつもそう期待して、本番でがっかりがパターンだ.

あさっては前半は抑える.やはりこれで行く.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月17日.

11月3日.

 

あと252km.

22+6+10km.

 

成田POPラン 1時間26分48秒.

納得できない走りだった.全然だめ.2年前、肉離れを起こし、びっこを引き引き走った時でさえ、1時間27分だったのだ.

で、ゴール後30分走った.

さらに家に帰って10km走った.こういうことはあまりない.納得できなかった.

確かに10月の後半風邪を引いて練習ができなかったということはある.だが、`4分でハーフを押すことはできると信じていた.それが最初の2キロ、3キロから既に4分をきれない.15秒、20秒とオーバーしてしまう.

その度にピッチを上げるがここで肉離れの記憶が蘇り、年も取っているのだから無理をしてはいけないとストップがかかり、追い込めない.

今思えば勇気がでなかったのだ.怖かったのだ.

 

10km、 40分          40分32秒.

折り返し、42分12秒.      44分5秒.

ゴール、 1時間24分24秒 ⇒  1時間26分48秒.

 

前半 44分5秒.

後半 42分43秒.

 

後半追い上げている.きつかった.このきつさを前半で出せなかったか.

いや、というよりやはり、前半から`4分をしっかり踏んでいればよかったのだ.

 

`4分がきつい.

なかなか出せない.

 

次は16日の東京だ.

もう日にちは無い.

9月10月はスピード練習ということでインターバルも取り入れた.

画期的だった.

だが10日間、風で練習ができなかった.

これで走行距離が消えた.

これが今一番不安な点なのだ.

それに12kmと思っていたコースが、実はおそらく10キロだったとわかった.

これでまた距離への不安が増えた.

通して30km走ったのは3,4日前の1回きりなのだ.

 

来週の日曜日に30,40km走っても逆に疲れが残る可能性がある.

むしろ今週中に、たとえば木曜日、早めに起きて通して40kmを走る.

走れたなら幾分なりとも安心できる.

 

これでいくか.

東京は抽選であったこともあり、予想外だった.月末の筑波に会わせようと思っていたのでバタバタしてしまう.しかし東京を走れるのもそうはないだろう.

16日に合わせて追い込んでみよう.

それも面白い.

 

 

11月5日.

 

あと242km.

ジョッグ10km.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月20日.

11月6日.

 

あと202km.

40km.4時間走.

 

走った.雨の中.`6分.

所々で`5分.ラスト10分は`4.5分へアップ.

 

足への問題なし.

太もも裏違和感出るかとも思ったが問題なし.

これで長いのはやらない.この後やれば16日までに疲れが抜けないだろう.

 

レース後、これだけ続けて練習をやた事はこれまでになかった.これは進化だ.ハーフとはいえ真剣に走った.その直後家に帰って10km、間3日で40km走.

これまでにない強度を足に与え、問題がなかったのだから強くなっているのだ.そう思おう.

これから16日までは`4分で、15km、20kmを通しての練習で、スタミナとスピードの両方を獲得する.でどうだろうか.

 

とにかく急ごしらえの練習だ.吉とでるか凶とでるか.

 

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月22日.

11月8日.

ジョッグ.8km.

あと196km.

 

中に8割走.何本か入れる.坂道は上り下りともにスピードを上げてみるが問題ない.

だがさすがに太もも裏両足、一気の筋肉痛.これまでにない痛さだ.だがこれが肉離れに繋がるということはなさそう.

あと1週間.

15キロか20キロを、`4分で1本.

1キロ3分50秒で走るインターバルを10本.

あとはストレッチ、柔軟、で良いだろう.疲れを抜くことだ.

 

どうなることやら.

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月23日.

11月9日.

 

1時から4時まで、爆睡.

えらく疲れていた.

いきなりぐっと疲れが舞い降りて来て、絡め取られて、持っていかれた.

さすがに疲れているのだ.

 

あと22キロの4分ペース走と、1キロ、3分50秒、×10本.

これを何とかやる.

そうすれば、この短い期間でのやるべきことは全部やったということにはなる.

絶対やること.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月26日.

11月12日.

あと174km.

11×2=22km.`4分.ニュータウンコース.

 

1周目、ピッチが上がってしまい、走ってしまった.

結果、この前出したコース新、39分10秒を大きく上回る、37分26秒.

 

実際最後は筋肉ビクビク状態にまで上がった.

かなりの追いこんでの練習になった.

 

あとはスピードに慣れる為に、`4分1キロ×10本.

 

だがだいぶ今日出した.

疲れ残したくない.

とはいえ、金曜日は会議、土曜日はマンションの理事会で練習はできない.

2日間完全休養になるのだから明日木曜しかもう練習日はない.

 

明日は軽くジョッグ1時間の中で、短いダッシュを何回か入れる.

スピードに対応するための筋肉への活入れ.

これでいく.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月27日.

11月13日.

あと164km.

ジョッグ.中でダッシュ.

 

テンションが上がっている.

7時に目が覚めた.

今日が最後の練習だと思ったからだ.

何かテレビや新聞で東京国際を大々的にやっているので、こっちまで気合が入ってきてしまう.

まぁ、同じコースを同じ時間、高橋尚子と走るのだから、それも東京、テレビに映るかもしれない可能性のある中走るのだから(これもあるよな、確かに.)、いつもとは違う.

しかも調子は上がっている.

 

土曜日にと思っていたが、準備をした.

着替え、クスリ、雨具等々、床にズラリ並べる.

 

日曜は雨らしい.

気温が下がらなければと思う.

ランパンランニングの正装でいく.

`4分15秒.

ぎりぎりのライン.

これを5キロから刻む.

きちんと刻む.

最後まで刻む.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月28日.

11月15日.

 

いよいよ明日だ.

金、土と休んだ.完全休養.

腰が重い.というよりか痛い.太もも裏の筋肉も痛い.湿布貼りまくり.

 

11月3日、成田ハーフの後、その日に15km、3日後に40km.4日前には22km、ニュータウンコース2分短縮の自己新.

痛いのは当然と言えば当然のこと.

この活入れがどうでるか.

 

しかしある程度まで追い込んだことで、本番への対処はこれまでより逆にできているはずだ.いつも筋肉は本番のペースの速さに驚いて、耐えきれず、撤退を余儀なくされていた.

今回は既に臨戦体制だ.

いつもとは違う展開になるはずだ.

きっとなるはずだ.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月28日.

11月16日.

あと124km.

 

東京国際女子マラソン記念市民マラソン大会.

35km.関門制限.アウト.

 

正直言ってほっとした.

信号前でランナーがたまっている.何だろうと思っていると、時間切れです、チップをはずしてくださいと係員が言っている.

関門制限?

そんな時間か?

冗談じゃない.

これからだ!

と思ったが、正直ほっとした.

32km地点で、失速、歩いた.その後歩いたり、走ったり.

完全に足に来ていて、しかも暑さで、集中力が切れた.一度切れるとだめなのだ.修復できない.それがぼくの弱い所だ.粘れない.小刻みに刻め、刻めと呟きながら走るが続かない.もういいやと思ってしまう.

ダメならもう一気にだめになってしまおうと思ってしまう.

一気にずるずる行ってしまうのだ.直さなければならない所.

 

折り返しが1時間31分1秒.

これはいいのだ.

だがこれは飛ばしすぎなのか.

足が棒になったのは既に年齢的な限界なのか.

だから折り返しのこの時間は既にオーバーペースなのか.

もう3時間で走ることはできないのか.

 

しかしそう思ってしまってはゲームオーバーだ.

今シーズンだけはやれると思ってしつこく`4分、あるいは`、4分15秒を狙おう.狙うのだ.今シーズンだけは.

 

それに確かに暑かった.

水のない給水所(!)では立ち止まって、自分でタンクから水を汲んだり、並んで水を待ったりという信じられないアクシデントで、ペースは乱れに乱れた.

だが10`からは水を含ませたスポンジをずっと持ちながら走り、それをチュ−チュ−吸いながら、顔や後頭部を濡らしながら走ったので、それが大きなマイナス要因にはならなかったはずだ.

それより食事の量を間違えた可能性があった.

いつものレースは10時スタートが多い.

今回は12時25分.

朝8時に朝食、競技場について、10時半にコンビニののり巻きとウイダ-インゼリー3個.問題ないと思ったが、30`過ぎて足に来て暑さがそれに追い討ちをかけ踏ん張る事ができなかった時、頭がぼーとして全身から力が抜けた.その時空腹感があったのだ.腹がへると一気に集中力は去っていく.それも原因だったかもしれない.

 

それにしても高橋尚子は偉い.

 

レース後のあのすがすがしい笑顔はいったい何だ?

どうしてあんな最悪の記録と2位という順位で笑顔が出るのだ?

 

だがふつう調子が悪く、体がアウトになってしまえば、切れてしまうものだ.

 

 もうだめだきょうのレースは.

 なんてついてないんだ.

 一生懸命練習したのに.

 どうせダメなんだ俺、私‥‥‥

 ヤメ!ヤメ!適当にやって、帰る!

 帰ってやる〜〜 (>_<)

 

そこまで思わなくても100%を95%に、100%を90%にしてしまう.

それが無いのだ、高橋は.

100は100.全部出す.

 

つまり彼女は、28`で足が棒になり失速し、今日は最悪・最低のレースしかできないとわかった時点でも、最後までレースを捨てずゴールを目指した自分自身に、大きな喜びを感じていたのだ.

 

その時できることは全部やり尽くす.

やり尽くしたからその満足感と喜びで、次のレースのことなど想像することも考えることもできない.その時アテネのことなど頭にはないのだ.

レース直後、

 

「この記録で評価してほしい.次に走る予定はない」

 

と言ったのも、100%出しつくした大きな満足感があったからだ.

 

記録とは他人との比較のための印.

だから彼女はそんなことは気にしない.

世界規模の他人との記録ごっこのオリンピックも、高橋は超越している.

 

だからと言って、小さな自己満足に閉じこもっているのではない.

世界中で他の誰もしたことのない地獄の苦しみの練習を何年間もしている自覚があるから、人との比較の無意味を知っている.

 

足が棒になり、もう1位になれないとわかり、最後は5`20分などという情けないペース(世界トップレベルのランナーであれば恥と言ってもいい記録だ)であっても、切れずにそこでの全力を尽くし、そのことを素直に喜ぶ.

人の目なども気にしない.素直に喜ぶのだ.

 

あの清清しい大きな笑顔に高橋尚子の人間の大きさを先生は感じた.

 

おそらく高橋は来年1月25日の大阪国際を走るだろう.

 

最悪の条件下で走り切れた満足感を十分に感じたあと、今度は最高の条件のもとでどんな走りができるかを高橋は知りたく思うはずだ.

その時の満足感を体中に感じたいと思うはずだ.

 

そしてこれからは、それを今度は待ちきれなく思うはずだ.

3月14日の名古屋までは待ちきれない.

それはアテネにでれる、でれないの話ではない.

 

走るのがただただ好きなランナーの、早く走りたいという単純な思いなのだ.

 

大好きなみんなと行く大好きなピクニックが待ちきれない、小さな子供のワクワク、ドキドキする気持ちと、いっしょなのだ.

 

帰りに実に久しぶりに肉を買った.鳥肉だ.

この5年ほど玄米菜食だった.植物は食べてもいい.植物には痛点がないからだ.だが獣には痛点がある.死の恐怖がある.だから殺生はしたくない.での玄米菜食だった.

 

だが鳥と魚はいいのではないか.

 

鳥と魚には感情移入ができない.

だから良いだろう.

 

は勝手な考え.

だがやはり人間は勝手なのだ.

自分のマラソンのタイムを縮める為、鳥を殺すのだ.

 

そう鳥を食う.

筋肉の踏ん張りを作るために肉を食う.

明日からさっそく鳥の水炊きなのだ.

 

今度は30日の筑波.

元々11月まだ走りこみの途中の月.

ピークは3月の佐倉と荒川なのだ.

 

だから3日の成田のハーフと今日の35kmは30日の筑波のための練習と考える.であればこんな良い練習はなかったはずだ.

30日が楽しみだ.

そう考える.

 

それにしても今日のレースの運営は最低・最悪だった.

人数は4000人もいないのだから、中規模レース.市民の部もタイムは3時間15分以内で切っている.

エリートと市民も時間を分けてのスタートだからそれも問題なかったはず.

 

それがなぜ給水所の係員の人数、水の量、スポンジの量が足りなかったのか.

また参加賞のバスタオルの数も足りなかった.

収容バスにも水は無かった.

収容されたランナーはそれなり疲れ切っているのだからバス内に水や薬があるのが当たり前だろう.一人具合の悪いランナーがいて、心配された.

 

地方の市民大会をほんの少し参考にすればわかることなのに恐らくはしていなかったのだろう.

有り得ないミスだった.

いかに大きなエリート大会であり、いかに海外からも金をかけて選手を招待しているとはいえ、いかに高橋尚子をメインにして視聴率を取るための大レースであるとはいえ、いかに東京のど真ん中の交通整理に多くの人がいるとはいえ、給水所に水を置けなければ一体何の運営だろう.

 

かなり熱く怒っていた人がいて係員ともめていて、係りの人も可哀想ではあったが、この暑さで水が無ければ切れるのもわかる.こっちにとっては死活問題だからだ.

 

ちょっと理解に苦しむ運営だった.

運営側は一言あるべきだ.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月4日.

11月17日.

あと115km.

 

翌日に走った.

さすがにフルを走り切っていないので、翌日でも走れる.

情けないことだ.

この2週間は集中する.

そうそうヘタは打てないのだ.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 自己存在の月5日.

11月18日.

あと105km.

 

ジョッグではあるが、これでいいのだ.

距離が足りてないのだ.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 倍音の月25日.

20日.21日.22日.23日.24日. 各8km.

あと60km.

 

腰に電気だ.

座って、同じ姿勢を2,3分とって動くと、キ〜〜〜〜〜ンと来て、固まる.

誰もいない部屋でじっと固まっているのは、悲しいものだが、30秒ほどで治まるのが救いだ.しかしこれは何だ.

 

つまりは疲れ.休めばいいのだろうが、距離が稼げなくなる.それが怖い.

それで`6分ほどで8km.

この1週間これが続いている.

今度の筑波、これまでの成田、東京を練習と考えればかなりいい練習をした事になるのだ.

期待してやる.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 倍音の月13日.

11月27日.

 

26日、11km.

今日、8km.

あと41km

 

腰が治った.

湿布貼りまくりがよかったのか、ちょうど治る時だったのか、ほっとした.

しかしこの1週間何となくジョッグでつないでいるという印象.

今ひとつ気持ちがピシッとしない.

やはり疲れているのだろう.

まぁしかし、あまり気にしないでじわじわやるべきだ.

 

新しいウインドブレーカーを買った.バーゲンの安物で裾が絞れないので走りにくいし、みっともないが、しょうがない、貧乏なのだ.

冬用のトレーナーも買ったが、それはしまむらで1着900円.

ジャージも900円.

着込んだ下に着るのだから関係ない、汗をかくためのものだ.しかしついでにパンツも買ったが2枚380円×3.

 

ありがたいことだが、情けない.

本格的に貧乏になった.

だがしまむら、ダイソーには感謝感謝なのだ.

 

白いスペクトルの魔法使いの年 倍音の月16日.

11月30日.

 

筑波マラソン 3時間11分44秒.

 

参った.6時46分の電車に乗れば土浦8時42分着.問題ないと思っていたが競技場についたのはスタート15分前.

あせった.

 

ウンコは電車の中でしていけばいいと思っていたのだが、乗り換えの駅でしたくなり、しているうちに電車が出て行ってしまう.それの繰り返し.しかも次の電車まであと20分とかがまた続くのだ.あと15分で、着替えてスタートラインについたのはスタート2分前.

従ってアップもなにもなし.

そこで5kmの間をアップにするしかなかった.

この時点で今日のレースは練習レース.しょうがなかった.電車やバスの中でもぐたっと寝てしまい、この2週間は単語暗記で毎日の睡眠が5時間以内と、体調は悪かったのだ.しかも11月は今日の筑波で3回目のレース.無理のしようがなかった.

 

前半、1時間40分.

いつもより10分遅い.だから楽だった.また降っていた雨もやみ温度も湿度もちょうどよく、東京国際のように晴れもせず、コンディション的には最高と言って良かった.

サブ3を狙う時は1杯一杯で走りつづける.20秒遅れただの、5秒取り戻せただのと、神経も参る.

今日はそれがない.自分のペースで走っていいのだ.これは楽だった.

そこから30kmまでを丁寧に走った.コンパクトに走った.

そして30kmから出た.

 

ここからは気持ちよかった.

特に35kmからは100人近く抜いていった.スイスイ抜いて行ける.

結局後半は1時間31分.

9分縮めている.

ここが考えどころなのだ.

普通ここまで縮めないだろう.我ながらなかなかのもんだ.

であればもっと前半を縮めて、とはいえ、1時間30分にしてしまうと後半でつぶれてしまうのだから、となれば1時間34分ぐらいにして、後半を1時間26分?

1時間33分と、1時間27分?

 

 

無理だろうな.後半縮められるのは前半が1時間40分というゆっくりしたペースだからだ.

 

ア〜〜〜〜〜〜、どうすればいいのだ.

 

いずれにしても、月300kmの走行距離だけは確保しておく.