夢日記 2002.9.1−31 9月3日.火曜日. 去年の教え子、可愛いバスケの子だ. その子と教室にいる.授業をしている. 突然机に向かっていたその子が顔を上げ、クモだ!と叫び壁を指さす. しかしイスを揺らしニコニコしながらだ. 全く大げさな、とぼくは思う. だがその子は指した指を差のままにし、クモクモクモと言い続ける. 見ると手のひらの程の大きなクモがぬっと現れた. そして一気にものすごい速さで壁を這い始めた. 直角に直角に折れて、ぼくの背後の壁に向かってくる. ぼくは背中の後ろに回られた時わ〜〜と大声を上げた. クモは座布団ほどの大きさになっていたのだ. ぼくは目を覚まし体を起こし、背中を払った. もちろん何もない. しかしクモはえらく大きく速かったのだ. 9月7日.土曜日. 塾の引越しだ. 自分のマンション近く、駅への途中にある古いアパートへだ. 玄関を開けると、大きな古い窓が広がり隣のアパートの壁が広がる. あまり良い眺めじゃないなとぼくは思う.隣の窓が光っている. ところがそこには両親が住んでいて、奥の座敷で二人座っている. だったら自分のマンションに住めばいいのにと思う. 教室はどこにしようか、 2階への階段がある. ぼくは階段を上る. 2階は6畳二間. どっちでやろうかと考えているとそこにいる生徒たちがこっちが良いよ、とっ言って奥を指差す. 大きな座卓があり、ここでいいかと思う. 座ると畳の上に敷かれたカーペットが何かひんやりと硬く、どうしようかと思っていると、女の子たちが、あっちのカーペット重ねたら良いよ、と言う. そうだなと思い、半分の子に座卓を持ち上げせ、残りの子と一緒にカーペットを移動する. 2階は女の子のキャッキャいう声でにぎやかだ. これでいっかと思う. 9月10日.火曜日. 古い6階建てのビル. エスカレーターに乗って6階に行く. 12時前. ぼくはここで女を買う. 携帯で電話を入れた. 出たのは外人でぼくは戸惑う. ここに女の人を呼ぶのだ.何時にそっちを女の人が出るのかを聞きたいのだが出るという単語が出てこない. パルティールという語が出てくるが、英語ではないと思う. だがわかるのではないか、と何度もパルティール、パルティールと繰り返す. 終わったのだろう. 女は12時に来た. ちょうどお昼時だったのでビルにいた女の人たちはみんな食事に行き、その間に済ましたのだ. 1時、1階に降りまた乗り込もうとしたとき、女たちがエレヴェータに向かうのを見、ぼくは階段で行くことにした. だがその前に開いているエレヴェータに飛び込むとスプレーで6という数字を一気に書いた.赤く大きく6の数字が浮き出た. ぼくは急いで外に出ると階段を駆け上る. 各階でエレヴェータより速いことを確認しながら階段を駆け登る. 赤い惑星の月の年 月の月2月23日.月曜 9月14日. テストを受けている. 問題用紙がえらく厚い.見るとマンガが半分を占めている. 問題もマンガのキャラの笑い顔を4パターン描けとある. 「坂本」という名の高校生の顔を書く. ぼくは解答用紙にある陰影に合わせ鼻と目をつけていくが、出来上がりの顔が寂しく怖く見え始めたので、消す. 隣の受験生を見ると、中学生ぐらいの男の子で、さすが達者に描いている. そしてすぐに描き終えると他の描き終えた受験生達とおしゃべりを始めた.。 まだテスト中だろーが、と思うが、嬉しそうに話している無邪気な顔に、許すことにする. 漢文の授業をしている. 音読をしていなかったことに気づき、読もうとする. ところがレ点や一二点、上下点の読みがわからず、立ち往生してしまう. セキをして、鼻をすすり、体調が悪い事をアピールし、今日はこれで終わりにしますと言おうと顔を上げると、いつの間にか校長と学年主任が教室に入っていて、生徒たちのノートを見て歩いている. これはまずいなと思い、鼻を教科書にダラダラと垂らし始め、これでいい訳が立つだろうと思う. 午後からその人と車で各家庭に氷を配る事になっていた. だがその人が誰だか忘れてしまった. 柱に体を預け、柔軟体操をしている男がその人のように思えるのだが、その人はこれから舞台で踊る有名なダンサーなのだ. 横顔は確かに氷配りの人なのだが、正面から見ると自信がない. もうすぐ時間なのだ. しかしこれからその人は踊りに行くのだから氷配りの人ではない. 僕は車にとりあえず戻ることにした. 車にはもうその人はいてハンドルに顔を乗せてぼくを待っていた. 氷は重いので車には二人しか乗らない. 配る氷はぎっしり後ろに詰まっている. 赤い惑星の月の年 月の月2月26日. 9月17日. 部屋のレイアウトを変えている. 6畳の畳部屋の中央を太いコードが走っている. その先は何もつながっていない.そうしたアダプタが5本ある. ぼくは全部そのアダプタを取る. くるくると巻いて奥にまとめておいた. コンセントに繋がっているコードは少ない.じ それで十分だったのだ. 机の位置も変えたが、それはいっしょにいたI.Tの意見を聞いて変えることにした.確かにそれでは勉強がしにくいのだ. 赤い惑星の月の年 電気の月 3月2日. 9月21日. 懐かしい顔だ.大学のときの友人.ちゃらちゃらした友達の中で、唯一汚いアパート、キャバレーのバイト 人生の生きる意味を訥々と話しあった. そいつが出てきた. 一緒に通りを歩いている. そいつは照れた笑顔を相変わらず浮かべ、しかしそういえばそいつはフランスに行ったきり消息不明になっていた. 僕はそいつと歩いている. ぼくらの前に女が歩いている. 美しい女だ. 女、と呼び捨てにしても何一つ動じない強さと、美しさを持っている. 僕らはその女を追い抜いた. 女は表情を変えない. ぼくはそいつとランボーの「酔いどれ舟」について話した. 話に夢中になって歩みが遅くなった. 女が僕たちを追い抜いていった. 女は僕らに視線を向けた. 僕は僕ではなくそいつを女が見ているのだと思い、ホッとする. そいつは確か随分と若くして死んでしまったと聞いていたからだ. 起きて、そいつは死んでなどいなかった. 5,6年前まで年賀状も来ていたと気づいた. そいつはいつも顔をくしゃくしゃにして笑ったのだ. 赤い惑星の月の年 電気の月 3月4日. 9月23日. 小学校に近づいた時、校内放送で僕が何かの大会で全国優勝をした事が告げられているのを聞いた. そのせいだろう、廊下を歩いている時も知らない生徒たちが僕を見て感嘆の表情、尊敬の表情で見ている事に気づく. いやそれよりも多くの生徒達は僕に直接言葉をかけにくる. 「すごいよね.カッコいいよね.」 僕はかなり照れながらも教室へと向かった. 廊下を歩いてもうすぐ教室という時、何かの事情が変わった. 僕はそれがなんだかわからなかったが、しかし決定的に何かが変わったのだ. 廊下に1列に生徒が並んでいる. 僕に会うと一人ずつ、僕への罵倒の言葉を吐き捨て始めた. 一人ずつ言っては列の最後に回る.それを繰り返す. 僕はこの場を去らなければみんながこの罵倒をいつまでも繰り返さなければならない事、それは彼らにとっても辛い事がわかり、廊下を帰った. この街を去らなければならない. 他の場所では大丈夫かもしれない. だがそれに去ってしまえば僕の負けになる. 僕の負けがこの街の負けだ. だから逃げてはいけない. それはみんなも実は心の底で望んでいることに違いない. 僕は学校を出、通りからデパートに入った。 エスカレーターに乗る. 昇りのエスカレーターに乗り、2階に.そして3回に向かうエスカレーターに乗ろうとした時、前にいた人たちが一斉僕の視界から消えた. 皆ぼくに関わることを避け、逃げたのだ. やはりここにいてはならない. ここにいてはみんなの邪魔になる.みんなに迷惑をかける. ぼくはエスカレーターで屋上に行こうと思った. 屋上から一気に飛び降りてしまえばそれで全てが丸く収まる. それが一番望まれている結果なのだとぼくは思う. 催し物のパンフレットを持った、一人残っている案内の女の子が、ぼくには目を向けず凍りついた表情のままじっとしている. ぼくはそのチラシを見た. そこには大きな文字で120154という番号が書いてあった. ぼくはすぐに消えそうになるその数字を目を凝らして記憶にとどめようと見つめた. 120154. ひとには、いごのよ. 人には、以後の世. 次の世があるのだとぼくは思っている. 来世へと行く必要があるというだ. 赤い惑星の月の年 電気の月 3月5日. 9月24日. 古びた工場. 大きなプールがある.中の水は汚れ粘っこく揺れている. 冷蔵庫ほどの大きさの黒い塊が転がり、プールの中に落ちていく. それは強力な磁気を帯びた石で、何かの力があると言われていたものだ. 僕たちは何の力あるのかを聞こうとしたが、その間にも濁っていたプールの水はあっという間に透明に浄化されていった. 大きなプールだ.その水が手前から向こうへときれいになっていく. 部屋の中では窓のガラスが細かく震え始めた. 強力な磁気のせいなのだと納得している. ぼくの持っているワニのおもちゃは、パクパクと開くはずのない口を繰り返し開けたり閉じたりしている. ぼくの目の前のイスに座る誰かが持つ亀のおもちゃも、同じように口をパクパク開け始め、ぼくはその口の間に指を入れて、遊んでいる. それほど痛くもなく、ぼくはこの間にも何かの力が外を回っているのだと思っている. 赤い惑星の月の年 電気の月 3月6日. 9月25日. サイクリングだ. 折りたたみの傘とデイバック、ウインドブレーカーを抱えて自転車に乗っている. やがて大きなテーマパークに入った。 ぼくたちは三角のデザインの建物の中に入る. ぼく達は10人の子供連れだ. 水族館に入る. 廊下には赤や黄色、青のぬいぐるみが置いてある. ぼくたちが来るとそのぬいぐるみたちが起き、水の中に向かっていく. ドボンと小さな音をたてるとぬいぐるみたちは、水槽の中を泳ぎ始める. その泳ぎがあまりに優雅で可愛く、ぼくたちはガラスにへばりつく. 帰りみんなお土産を買うが、ぼくはこんな多くのお客さんできっと店の人を喜んでいるだろうなと思っている. 外に出るとだれもいない. 生徒の名前を呼ぶがだれもいない. ここからロサンジェルスに行かなくてはならないのだ. 見知った自転車が遠くに見えた. ぼくは急いで自転車に乗り追いかけた. もし姿を見失ったら一人きりだ. ぼくはあせって追いかける. 通りは暗い. 両側には大きなビルが立ち並び太陽の光が差し込んでこない. 大きな帽子の中国人の軍人が両手を広げ、進入禁止を示し、別の道を示している.それに従い右折するといきなり道が広くなり、明るくなった. ぼくは足に力を入れる. 前方には誰もいない.まずいと心底思う.道がわからない.たった一人だ. 街だ. とにかく地図を手に入れなくてはならない. ぼくは本屋を探した. 自転車を店の邪魔にならないよう隅に置き本屋に入った。 見当たらない. その時若いアメリカ人が同じように若いのっぽの黒人から小さな紙切れを渡され、それを持って後ろのドアを開け、中に入りまたでて来るのを見た. ぼくはホェアイズアマップ? と聞く. 男は何が知りたいと日本で聞くがぼくは気がつかず英語でアイウォントゴウロスと言う. 男は何かをぼくに聞いた. ぼくはわからないまま答えた.男はメモをしている. 黒人の若い男がドアを開けそこにある機械から打ち出された大き目の紙を取ると男に礼を言って去っていった. 若い男は小さな紙切れを持ってまたドアを開け中に入った。 一緒に入れと言う. 壁に地図が浮き出ている. 男は日本語で道順を説明しだした. ぼくは急いでペンを出そうとするが引っかかってなかなか出てこなく、あせる. 男は地図を指した. 地図は日本語で書かれていて、しかも細かく道順が言葉でかかれている.これなら何とかなりそうだとちょっとホッとする. だが地図上にロスはない. ホェアイズロス? 男は指を指した. 地図の端が明るくなり続きの地図が壁に浮かび上がった. 遠い. 今日中に着かなければならない. 着けるのだろう. 金もない. そうだこの地図代はいくらなのだろう. ぼくはポケット探った.1000円札が1枚だ. ここで払ったらもうない. 今日中に着かなければ野宿だ. いや着いたとしてそのあとどうする. ぼくは自転車に乗った. 折りたたみの傘とウインドブレーカーだけでもあってよかった. ぼくはとにかくペダルを踏んだ. しかし不安だ. これからどうなる. どうすればいい. 怖い. 不安だ. ぼくはその不安から逃れる為、起きることにした.目を覚ますととにかくホッとした.胸がまだドキドキしている. 赤い惑星の月の年 電気の月 3月7日. 9月26日. 家で商売の話だ. 新規の店を開く. オヤジが話の中心だ.5,6人の男たちと話している. ぼくは特にこの件には加わることないと思い、横で聞いている. 話は進み細かい事を場所を移してということになったらしい. 全員が大きな部屋に移動した. 自分の家にこんな部屋があったとは思わなかった. ところが部屋に電気がついていない.薄暗い. ぼくはスイッチを入れた. だが部屋は広く、全部の電気をつけるのももったいない.節約ということを心がけているという事を見せる為にも、必要な所だけにしようと思い、彼らの頭の上の電気だけを残し他を消した. 急にみんなが騒ぎ出した. 母親がしゃがんでいて、男たちも中腰になり何かを見つめている. しばらくして、またみんなテーブルから立ち上がり、同じように騒ぎ始めた. ゴキブリのようだ. みんな笑い合っている. 別に話に支障はないようだ.ぼくはホッとしている. よしぼくがそのゴキブリを捕まえてやろう.そう思い、立ち上がった. 彼らの輪を抜けて小さな生き物がぼくの方に向いた. 一呼吸おいて、ピョンピョンと飛んだ. ぼくは右手をさっと上げその生き物を掴んだ. クニャ、とした感覚. 見るとクモだ. そしてそのクモがぼくの手をかんだ. ぼくは左手で引き離そうとするが、離れない. 痛い.痛いのだ. ぼくは必死になって左手でクモを引き離し横に投げつけた。 そしてかまれた親指をどうしようかと一瞬考え、毒だとまずい、吸って吐き出すのだ. と思い何回も吸った. 早くしなければならない. 吸っているうちに目が覚めた. 起きてすぐ洗面所に行って唾を吐いた. 夢だとはわかっていたし、親指に傷跡がないことも見たが、ぺっぺと4,5回吐いた. 赤い惑星の月の年 電気の月 3月9日. 9月28日. 小さな部屋.中学生の男の子が5,6人並んでいる. ぼくはそこで授業をしている. だがみんな体を引いて、目を細めぼくをきつく見つめている. 僕は意外でどうしたと聞く. 答えない. 再度聞く.ぼくはイライラし始める. ツマンネンだよ.授業が. 説明がしつこいんだよ. こんな事やっても何の役にも立たないんだよ. 帰らせてくれよ. 一人一人がそう言う. ぼくは逆上し、悲しくなり、しかし落ち着こうと努力し、深呼吸し、再び授業を始める. みんなも帰りはしないが、気まずい雰囲気が重い.息苦しい.息苦しいのだ. |