夢日記 2002.8.1−31 8月1日。木曜日。 部屋のレイアウトを考えている。 小さな部屋だ。 布団を敷くスペースと本を入れる本棚。 本棚を置く場所を何とか確保したいと思っている。 これは考えなければならない事なので、ぼくは宙に浮きじっと天井からの視線でそのスペースをじっと眺め下ろす。 じっと眺め下ろす。 田んぼを子供が走っている。 その子供のランドセルをぼくは持っていて、その子がマラソンのレースが終わり戻ってくるまでに必要な物をランドセルの中に入れておかなければならない。 通りすがりの若い男のアドヴァイスに、ぼくは入れた物を出し、もう一度入れ替える。 きちっと入った。 ぼくはさっきの男に感謝する。 心から有り難いと思っている。 男の子は走りながら頭蓋骨をドリブルしていて、実に冷静に周囲を見ている。 その子の為にもぼくは彼のランドセルを完全な物にしなければならない。 8月8日。木曜日。 ぼくは床屋で順番を待っている。 もうすぐだ。 だがその前に近くの風呂屋に行くことを思いついた。 汗を流しさっぱりしてから頭もきれいにする。そのあと結婚式があるのだ。相手の女の子もその床屋にいる。ここでは女の髪も上手にきれいにできるのだ。 ぼくは風呂屋に行った。 広い風呂だ。誰もいない。ぼくは急に便意を催し、湯気に隠れてうんこをしてしまう。細切れの茶色のうんこが浮いてくる。ぼくはすぐに風呂を出て床屋に戻ることにした。 道が分からない。自転車に乗るぼくはとにかく坂を登ってみることにした。砂利道の上り坂は登るのに大変で、だからきっとその先にあると思ったのだ。 だがぼくはすぐに思い直した。 床屋はすぐ近くだ。 思い出した。 床屋の使うはさみは鋭利で遠くからでも光ってよく見える。 ぼくはすぐに床屋の重いドアを引いた。鈴の甲高い音が響き渡る。 床屋には見るからに蓮っ葉な子とその知り合いの訳知り顔の中年の女が大声で話している。 「面接では化けるのよ。顔変えちゃうの。整形でもなんでもして。 おまんこもよ。変えちゃうの。」 「え〜〜おまんこも?」 僕は空いてる席を探したがない。 その時ぼくは風呂屋のうんこを何とかしないとまずいと思った。 急いで床屋を出、風呂屋に向かった。 風呂屋には人がたくさんいて、しかし浮かんでいるうんこには誰も気づいていない。 ぼくは湯気の中、桶を持ってそっとうんこをすくっては中央に並んでいる観葉植物の下の黒い土に分けて置いた。 急いでぼくはまた床屋に向かった。 今日は忙しい。 まだ頭も刈っていない。よけいに汗をかいた。 お嫁さんも並んでいるのだ。 遠くに床屋のはさみが光っている。 8月18日。土曜日。 高い丘から見下ろしている。 透明の湖。 ぼくはつるつるの岩場を一気に滑り降りていく。顔が引きつっているのがわかる。 木の枝に飛び移りジャンプする。一気に飛び込むことが大事だと思ったのだ。 水面が近づく。 浅いのだ。思ったよりもはるかに浅い。 太く蛇のようにうねる木の枝を登り、森の中の小屋の窓へと飛び移る。 窓の中には女が二人本に顔を向けている。 何の本なのかぼくは興味を持ちながら丸太で組まれた小屋をどこまでも登り続ける。丸太の曲線にぼくの足がうまく引っかかりどんどん登れる事がぼくは嬉しい。振り返ると豆腐ほどの大きさで二人の女が明るく見える。屋根の上から飛び降りる時2人の女を驚かせ、本から目を上げさせるのだ。 湖の底にはびっしりと砂利がしかれ小さな糸のような魚が、泳いでいる。しかし小さすぎて光の反射で消えたり現れたり、ぼくは目を細める。 水面が近づく。思ったよりもはるかに浅いのだ。 8月21日。火曜日。 テーブルに両親と座っている。 話しながらぼくは耳栓を右、左と取る。 まだごそごそしているので耳の穴に指を入れると、耳栓がある。 また取る。 だがまだあるのだ。 続けて取る。 まだある。 全部で4つの耳栓を取った。 最後の耳栓を引き抜くとその先に3cmほどの裂きイカのような耳糞がで、その先に底辺10cm、高さ15cmほどの三角形が、するすると出てくる。 頭の中がキーンと痛くなりそうな気がしたが、そんな事も無い。 畳いわしのように細かく網のようになっている。 こんな物が頭の中から出てきたのだ。 ぼくはそれを指の先にぶら下げ、やはり医者に行かなくてはならないのだろうかと心配になる。 ぼくは小さなブルトーザを運転している。 最初にテストがあった。 20cm×20cm×50cmほどの重りをシャベルを使って白線にそろえるのだ。 ゆっくりと始める。 横から誰かが手伝ってくれる。女の子だ。 だがそれがうまく行かない。ぼくは同じ様にゆっくりと続けうまく線に寄せる。 合格だ。 それからぼくは同じコースを回り、重いとろとろのコンクリートを運ぶ。 途中幾つもの坂や穴があるがぼくはゆっくりとハンドルを回し、車をかわし仕事を続けていく。 途中一番難しいのは、踏み切りだ。 車1台しか通れない。向こう側の車と交代で踏み切りに入っていく。 これも問題ない。 ぼくは落ち着いている。かなり落ち着いていて、それが意外だ。 スタート地点に戻ってきた。 4時20分。 誰かが、5時までだ、上がっていいぞという。 ぼくはあと1回、ギリギリで回れると思い、アクセルをゆっくりと踏んだ。 丁寧にやっていくのだ。 ぼくは落ち着いてそう思っている。 ステージには誰もいない。 みんな楽しみに待っている。 期待している。 そろそろステージに誰か現れるはずだ。 みんなの目がステージに注がれる。 来た。 ターザン山本だ。 みんなに落胆の色が見える。僕は不安になった。大丈夫だ。始まればみんな感動する。大丈夫だ。 だが誰か一人が立つと、次々とみんな立ち始め出口へと向かった。 待ってくれ。 帰るな。 僕は立ち上がり叫ぼうとしたが、できなかった。 ターザン山本もうつむいて出口に向かっている。 ぼくはそれでも走り始めた。 ドンドンと床を踏む音にみんが振り返りぼくを見る。 ぼくはターザン山本に追いつき、戻って!始めて!と言おうとするが声が出ない。 だがターザンは微笑みうなずくと、ステージに向かい始めた。 それを見て観客もにこやかに笑いながら席に戻り始めた。 ぼくはホッとし、腹の底から嬉しくなった。 袖幕の横に座りぼくはまだ誰もいないステージを見ている。 8月23日。金曜日。 マンションののぞき穴から外を見ると、隣の家のドアが大きく開き中が丸見えだ。大勢の人がいる。ぎっしりだ。みんな楽しそうに笑っている。ホームパーティーを開いているようだ。階段を上ってきた人が部屋の中に入っていく。 ぼくはのぞき穴からのぞいている。 その穴はスライド式になっていて、スライドすると視野が大きくなる。 大きくなると覗いているのが見つかるのではないかとぼくは体を引く。 ぼくは招待されていない。隣なのにと思う。 しかし僕の家もパーティに参加していると思われていて、階段を上ってくる人は僕の家の窓を開け中を気軽な感じでのぞいていく。 ぼくは窓を閉められず、奥へ入る。 奥には子供たちが待っていて、ぼくは授業を続ける。 外はにぎやかだが部屋の中は静かで、部屋はがらんとしている。だが子供たちは帰らない。 ぼくは子供たちを連れて外に出た。 僕たちは巨大化している。 僕たちが歩く度に頭の部分だろうか、ビルや陸橋や塔を破壊している。 まずいとぼくは思うが、自分の体の大きさが分からない。 都心に向かうとまずいと思うが方向を変える事ができない。 僕たちは足の部分にいてほとんど全体を理解できないのだ。 あせる。 このままではただ街を破壊していくだけだ。 その時体の向きが変わった。 体は山の方へと向かった。坂を登り始めたのだ。 ぼくはホッとした。 何とか右左とバランスが取れてきた。 地響きが耳に響く。 8月28日.水曜日. 右側は海だ. コンクリートの岸にテーブルが置かれている.野外の中華料理屋だ. 海の上、目の高さに植木鉢がずらりと浮いていて、緑の芽が見える. ぼくは手のひらをかざす. 芽は少しずつ伸びていくのだろうか. 奥から店の人が注文を取りに来る. 舞台には昔会社で一緒だった営業の元気のいいおばさんたちが踊っている. ぼくは呼ばれそこで踊るのだが、急いで部屋に戻り何か手に持って踊ってウケル小道具がないかと探す. あった. 白い陶器でできた高さ7,80センチほどの水仙の花. ぼくはそれを胸の前にささげ舞台に向かった. 思った通り馬鹿うけだ. ぼくはびっしりと字の書かれた大判のメモ用紙を持っている. しばらくしてそれが小説の下書きであることに気づいた. 先月3年振りに会った高校の同級生達と海岸の野外中華料理店で飯を食っている. 波は穏やかだ. ぼくはそのメモを見ているが、既に十分に出来上がっていることに気づく. 順番がバラバラなのだ. まずそれを直さなければ. 8月31日.土曜日 正面には仏像があるからここはお寺だ. 板の間の中に低い机が並んでいて、何人かがその机で勉強している. ぼくはそこで教えている.教室と同じように教えている. 教えている子は教室に来ている中2の子. いつも通り全然分かっていない. 繰り返し説明を続けている. ふっと見るとその子の頭から髪の毛が消えている. いやあるのだが薄い茶色でふわっと頭上の乗っかっているだけ. どうしたのだろう. 本当にふわっと乗っかっているだけなのだ. ほとんどはげ. 何か辛い事があったのか. ふわっと乗っかっているだけなのだ. 一体何があったのだろう. 何があったのだろう. いつも入っていける山の中. ところが突然背の高い鉄板が何本も立ち、立ち入り禁止になっている. 鉄板の隙間から中をのぞくと、中で何人ものやくざ風の男たちがゴルフボールを転がしている. 打ちっ放しのゴルフ場の雰囲気が作られていく. 隣の事務所では幹部風の男が3人、何やら話し込んでいる. ぼくは見つかってはまずいと思い、いかにも中年のジョガーを装い事務所を通り過ぎる. 両側に木が並び、道が狭く暗くなっていく. ぼくはお尻のポケットから銃を取り出す. ぼくはヒットマンだったのだ. 小さな銃だ. ぼくはその小さな鉄の塊を握り締める. この道を抜けた所に相手がいるのだ. 茶色のふわっと乗っただけの髪の毛. |