夢日記 20023.1331

33.日曜日.

体育館で大勢の生徒の中に生徒としている.

ぼくは高校生のようだ.

ぼくはなぜかみんなが整列している中で、あちこちと立ち歩いている.

けっこう好き勝手が認められているようだ.

携帯が鳴った.

ぼくは外に出た.

 

少し歩くと川が流れている.

強い流れだ.

ぼくは携帯に耳を当てる.

「おかげさまで合格しました.

 先生のお蔭です。ありがとうございました.

 本当にありがとうございました.

 

気になっていた生徒の合格の知らせだ.

また携帯が鳴った.

「先生、ありがとうございました。就職決まりまいた.

 ありがとうございました.

 

高校を中退し、新聞配達で頑張っていた生徒の母親からだ.

川が流れている.けっこう強い流れだ.白く流れが泡立っている.

 

39.土曜日.

その子を先に行かさなければならない.でも頼りない子だ.一人でいけるのか.とても不安になる.しかししょうがない.

 

地図を持たせる.持たせても意味がないとは思うが、いよいよとなった時、何かの役に立つかもしれない.

 

少女は出て行った.しかし全く平気な顔をしている.何も知らないのだ.

 

1時間後、ぼくは古さからか硬くパリパリしたウインドブレーカに何とか手を通し.教室を出た.ぼくはそこで生徒たちに授業をしていたのだ.

なかなかウインドブレーカーが着れなかった事がえらく恥ずかしかった.

 

速く歩けばもしかしたら追いつけるかもしれない.そう思って早歩きで歩くが、城壁の狭いぐるぐると回る螺旋の道は、人で溢れていて、前へ進めない.

 

道の奥まったところに彼女がいた.

声をかける。

もう用は済ませてきたという.いきなりぺたんと座り込むと、ぼくの為にケーキを作ったからと背負っていたリュックを下ろし、中からふわふわした甘い香りのケーキをぼくに差し出した.

ホッとした.

なんも問題はなかった.

それよりもいつ作ったんだ.こんな甘いケーキを.

 

帰りの道では食料を補給しなければならない.

知り合いの少年がその役を果たしてくれているはずだ.

遠くに少年の姿が見えた.

大きな袋から牛か豚か、何かの動物の死体を引きずり上げた.

左手に吊り下げ、右手の大きな刀をさっと横に払った.

 

血か何かがボタボタと地面に落ちていく.

ぼくはこれをしたくなかったのだ.それを少年に押し付けたことを僕は後ろめたく思っている.

近づくと少年が手を上げた.にこにことしたいつもの笑顔だ.

地面には血か、どろどろとした液体が流れ、ぼくはそれを避けなけながら少年に近づく.

少年はまだ湯気の立った肉を僕に差し出し自分も口から血を垂らしながらうまそうに食った.

 

ぼくも足元に流れる液体に気を使いながら、その肉を食った.

肉はとてもうまいのだ.

 

313日。水曜日。

 

2人の女の子が目の前にいる。

一人は2年前にやめた子。

1週間前高校合格のメールを送ってきてくれた。

もう一人は今教室に来ている子。

天然ボケの可愛い子。

風邪をひいて鼻がピーピー鳴ると、聞いて聞いてと鼻笛を聞かせる。

 

その2人とテーブルにいる。

好きなの飲んでいいよというと、2人とも生意気にコーヒーを頼んだ。

おいしいよ、と二人して言う。

のんびりとしていていい。

 

ほかに何か食べたかったら頼みな。

ぼくは言う。イチゴののったケーキかなんか食べればいい、と僕は思う。

 

二人は顔を寄せ合ってメニューを見ているが、急に顔を上げると、ちょっと言ってくるね、と階段を下りていった。

 

下にはサーキットが広がっている。

1周、7800メートルはある。

そこを二人乗りの電気自動車のような小さな自動車が2台、かなりのスピードでやってくる。

カーブになるとドライバーは上半身を窓から出し、オートレースように体を傾けバランスをとりながら回る。カーブだからといってだからスピードは落ちない。

かなりの無茶をやっている。

 

だが良く見るとその2台のドライバーはさっきの2人なのだ。

 

何であんなのんきな二人がこんな無茶な運転をしているのか。

 

ぼくは立ち上がって階段を下りようとしたが、2人ともえらく落ち着いて体を窓から出し、今度はヨットでバランスを取るように、体を地面すれすれに伸ばした。危険だ。スピードだって100キロは超えている。

 

だが2人とも様になっているのだ。

 

えらくキッとしたいい顔を2人ともしている。

316日。土曜日。

 

きれいな長い髪の少女だ。

安室ナミエに似ている。

横に眠っている。

下半身がない。

半分しか体がない。

ぼくは唖然としている。だが側にいることに決めている。

 

これからどうなっていくのかわからない。

誰だってわからないだろう。

だがとにかく側にいることは決めた。

 

その子がうつ伏せになってもがいている。

うまく起き上がれないのだ。

ぼくはそっと体を持ち上げ仰向きに置いた。

軽かった。

細い腰の感触。

だがその下には何もない。

僕はほんの少し両手に力を入れる。

 

その子が言った。

「ホントに私の事思ってくれているのはあなた。嬉しい。

これおいしいのよ。」

 

そういうとレモンの入った暖かなジュースを作ってくれた。

ぼくはそれを飲んだ。思ったほど酸っぱくなかった。

 

 

この建物の中だ。

だがここに入った後が問題だ。次にどう進むのかがわからない。

 

クモに聞け。

 

屋上か天からか声があった。

クモ?

とたんに手のひらほどのクモが落ちてきた。

そして頭の上に乗った。

手で払いのけようとした瞬間、脳天にチクッと痛みが走った。

けっこう痛い。

 

クモに聞け。

 

また声が上から響く。

このクモはいじってはいけない。

それにしてもこのくもはしょっちゅう脳天を刺し血を吸う。

イライラする。

しかしこのクモは必要なのだ。それにそのうち慣れる。

 

建物の中に入った。

普通の雑居ビルだ。どんどん部屋を通り過ぎていく。

これから何かスポーツをするのだろう、男と女ががやがやと着替えている。別に同じ部屋で着替えることは平気らしい。

 

肩からクモが降りてきた。

腕を這い手の甲で止まった。思ったより小さい。だがぷくっと膨れ上がった厚みのあるクモだ。

ぼくの血で太ったのかもしれない。

 

319日。火曜日。

 

大きなホテルのロビー。

中央に階段が上っている。

僕は階段を上っていくが、その先に一人の男が歩いている。

階段の外はガラス張りになっていて、青い空が広がっている。

男は階段を上らず真っ直ぐ青い空へと向かう。

ガラスを抜け、外へ出ようとする。

危ないとぼくは思い体が前へ出る。だが男はおっとっという感じで振り返りまた階段を上り始め僕はホッとする。

 

2人の花嫁がすそを左手でたくし上げ、右手にタバコを持ち、ふ〜と煙を吹き上げ、楽しげに話しながら廊下を歩いている。

なんて格好で、とぼくは驚く。

 

部屋の中に社員が集まっている。がやがやと楽しい。

課長がみんなに向かっていった。

「並んで。」

みんな整列する。

「**さん、++さんの隣に。2人はカップルだから。」

そう言ってぼくの隣の男の人を脇へどかし、女の社員をぼくの横にした。

 

ぼくはその子の細い手の甲をそっと撫でた。

嬉しい。

 

3月21日。木曜日。

 

狭い体育館だ。

そこでサッカーの試合がこれから始まる。

大事な試合だ。

ぼくのポジションは左のフォワード。

だが目の前の相手のフォワードを徹底的にマークしようと決める。

 

試合が始まった。

とにかく人が多い。ぎゅうぎゅう詰めだ。動けない。

その中でボールを追う。

ぼくは必死にボールを追う。

 

チャンスだ。

周り中に人がいる。その中でぼくは右足を伸ばし浮いたボールを押し込める。

ゆっくりとボールがゴールに入っていく。

キーパーも人だらけで動けない。

ボールが人にあたりながら入っていく。

ゴールだ。

 

振り返るとみんながやってくる。

全員が走り寄ってくる。

みんなの喜ぶ顔が幾つにも並ぶ。

えらくはっきりとした笑顔の群れだ。それが奇妙だ。

だが嬉しい。

ゴールだ。

 

後半の試合が始まった。

後半はプールでだ。

プールにはさめがゆっくり何匹も泳いでいる。

 

みんな入らない。

ぼくは入っていく。

濁った水に確かに黒い陰が見える。

しかしゲームは始まっているのだ。ボールをぼくは追う。

水の向こうに陰が動く。

でもぼくはかまわない。

泳いでいく。

ぼくは始めるのだ。

 

322日。金曜日。

同窓会だ。

同窓会には今までいったことがない。小学校の同窓会だ。

今まで行った事が無いのは、会っても誰だったか誰一人として思い出せないのはないかという危惧があるからだ。

 

だから会場には入れず、周りをうろうろしている。

 

古い民家風の店がある。時間潰しに入った。

和服姿の双子の老婆がニコニコと出てきた。

書を扱っているらしい。

額縁に入った1枚の書を手に持ってぼくに勧める。

ぼくは買う事にした。

 

奥に招かれた。

ところが奥と同窓会の会場とはつながっていて、いきなりみんなと出会ってしまった。思った通り誰も思い出せない。

 

ぼくは恥ずかしさでその場から逃げ出した。

覚えていないのはいつも自分の事にしか興味がなかったからだ。

それがぼくには恥ずかしかった。

 

近くの公園を自転車で走っている。

後ろから誰かが自転車で追ってきた。

わずかにその顔に覚えがあったので、思い切って話しかけてみた。

 

「寺西だよね。」

 

だがしわの多い初老の男は少し笑うとユータンして戻っていった。

違っていたのだ。

 

ぼくは店で買った書を見た。

 

「永」

 

という字が幾つも並んでいた。

 

確か3万円したのだ。

 

ぼくは自転車をこいで公園を出た。公園の外はえらく幅の広い道路が真っ直ぐに伸びていて、ぼくは急に寒くなった背中を気にしながら、道路に向った。