夢日記

赤い惑星の月の年 電気の月 3月

10月1日〜31日.

 

僕達は忍者の姿でその建物の中に入った。

狭い塔で僕達が入った階には水が張っていた.

階段がくるくると回りながら上へ向かっている.

僕達は階段は上らず、狭い50cm四方の垂直に上る木でできた管を両手両足をへばりつかし、少しずつ上っていく.

真っ暗だ.

水の匂いがする.

 

僕達は勝った.

学校には平和が戻り、グランドでは野球部やサッカー部、テニス部が練習を始めている.

野球部員のぼくはグランドに向かった.

練習は始まっている.

遅れている.ぼくは走った.

ノックだ.

セカンドのぼくはグランドに入ろうとしたが誰もぼくを見ようとしない.

無視されている.

おかしな話だ.

僕達の力で平和が戻ったのだ.

ぼくは喜んで迎えられてもいいはずだ.

ぼくは外野に行こうとしたが同じようにぼくは無視されている.

 

ぼくはぐるりとグランドを見渡した.

ぼくはここにいてはいけないのだ.

おかしな話だ.

 

ぼくは着替えた.

そして復讐することに決めた.

 

ぼくはメリケンを拳につけ、部員のいる部室に向かった.

明るい廊下、大きなロビー.

 

左から誰かがぼくの後ろについた.

続いて、右から.

左から2人、右から3人.

次々と増えていく.

塔で共に闘った仲間たちだ.

みんなの顔はごつく、硬く、いかにも無骨という感じだ.

 

好漢.

 

という言葉が浮かぶ.

ぼくは感動している.

復讐とはいえ、清々しい気持ちになれていることに感動している.

 

赤い惑星の月の年 電気の月 3月27日.

10月16日.

 

京浜急行の黄金町の駅.

ぼくは改札を抜けようとして駅員から止められた.

ぼくは大きな1枚の紙を持っている.

駅員はしばらくその紙を見ていたが、いいよ、と手で示した.

どこか不服そうな、しょうがねえなという感じがぼくはいやだった.

 

僕はサーカスの一員だった.

サーカスの目玉は空中での竜と赤い球との追いかけっこだった.

夜空を縦横に飛び交い、最後に竜が赤い球を口にする.

それはダイナミックで、美しかった.

最後、夜空いっぱいに竜は大きくなり、球は真っ赤に燃え上がった.

だからいつもサーカスは満員で、儲かっていた.

 

それで移動が電車だというのが解せなかった.

いちいち大きな紙を見せるのもめんどくさかった.

だがとりあえず、通れるのだ.

贅沢は言うまい.

 

赤い惑星の月の年 自己存在の月4月1日.

10月18日.

 

300キロを2日間で走ることになった..

一緒に走るのは白髪の老人と若者だ.

二人はそんな長距離は走った事はないのでぼくが持ち物や走り方の注意をしている.

 

別々に走っている.所々のポイントで一緒になるが、持ち物の水やバナナや飴が役立っているようだ.だが特に話をすることもない.

 

ぼくはこの長距離走について街の掲示板に書き込みをしている.

自分たちが走っていることを街のみんなに知らせなければならない.

だがあまりその事に時間を使いすぎてもいけない.

掲示板は大きく空間が目立つ.

 

その日の夜.

ぼくは旅館に泊まった.

早めに寝たいので、布団や浴衣のある場所を確認した.

 

隣に女の子がいる.

とても眠たそうにしている.

「寄りかかって寝ていいよ」

というと、寄りかかったまま寝てしまった.

どうにも動きが取れなくなったので、ちゃんと布団で寝ることにした.

そっと揺り動かす.

眠そうな顔.

 

この子はぼくの奥さんだ.

ちょっとふっくらとして若くて可愛い.

そうか一緒に走っていたんだと気づく.

 

布団を敷きにいくと宿の女中さんが用意をしていて、私がやりますからと迷惑そうにいう.

 

とにかく眠れるのだからいいやとぼくは思う.

 

赤い惑星の月の年 自己存在の月4月3日。

10月20日。

大学で講義をしている。

ぶっ通しの講義で、ぼくは疲れていてうつむいてただ喋り続けていたのだが、ふと顔を上げると教室内にはまだかなりの数の学生がいて、ぼくは意外に思い、またホッとする。

 

学食で講義を終えた学生と一緒にカレーを食べている。

ぼくは隣にいる女子大生に、女の子を好きになったらすぐに告白したほうがいいのか、それとも自分の気持ちを確認してからした方がいいのかどっちだろうと聞いた。

 

髪の長いその子がこちらを向いた。

思っていた以上に目鼻立ちがはっきりしていて、ドキッとする。

 

じっとぼくを見つめる。

 

ぼくたちは学食を出、帰る事にした。

 

小さな街。

細い路地。

不思議な事にその女子大生とはずっと帰り道が同じで、電車の路線が同じ度に驚き、駅が同じことに驚き、駅からの道が同じことに驚きあった。

そしてまだ一緒なのだ。

 

僕は家に着くとここだよと彼女に言った。

彼女は細い指を伸ばし、あそこが私の家、と言った。

 

3軒ほど先の家だ。

 

彼女は小学生の女の子になっている。

ぼくも小学生だ。

 

ぼくは送るよといってその家に向かった。

その家は窓がなく、僕たちは階段を上った。

 

ぼくはまた来るからね、と彼女に言い家のドアを押した。

 

赤い惑星の月の年 自己存在の月4月3日。

10月20日。

 

ドアが開くと15,6人の子供たちが部屋に入ってきた。

なんだ、なんだ、と思ったが、母親に向かって先生引っ越すんでしょ、と言っているのが耳に入る。

 

そうだそんなうわさがあった。

それを聞いてみんな今日は先生んちに遊びに来たのだ。

 

みんなを3階に連れて行った。3階があったのだ!

そこは広々とした体育館で、ぼくは卓球台と、バドミントンをセットした。

 

だがバドミントンの羽がない。

裏の天井近くのボックスからシャトルを手を伸ばし5個取った。

それをみんなに渡した。

 

卓球やバドミントンにみんな熱中してる。

ぼくは彼らをじっと見ている。

 

赤い惑星の月の年 自己存在の月4月4日。

10月20日。

 

これからどこかに遊びにいく。

移動はダンプトラックだ。

僕たちは荷台によじのぼった。

えらく高い。ぼくはちゃんと荷台の後ろがロックされているか何度も見ている。

何度か肩をぶつけてみたが、大丈夫のようだ。

 

走り出す。いきなり急な坂を下る。まるでジェットコースターだ。

ぼくは目を閉じる。

みんなは平気なようだ。

 

公園に着いた。

みんな降りた。

公園の中央で昼食だ。

Hさんは?

そういえばいない。

ぼくはまだ彼がトラックにいるのでないかと思い、トラックによじのぼった。

やはり彼はそこにいてニコニコ笑っている。

彼の視線の先を追うと、子供たちがバレーボールをしている。

 

後ろから、いるの?

と声が聞こえた。

いるよ。バレー見てる。

あんなバレー見て何が面白いんだろ。

ぼくは、トラックから降りながら、どんなつまらない事にも面白がれるのが彼の才能なんだよ、と答える。

 

赤い惑星の月の年 自己存在の月4月5日。

10月22日。

 

教室でテストをしている。

早くも終わった生徒が外を走ってきていいかとぼくに聞いた。

勉強のできない子で、座っていてもしょうがないから構わないと僕は答えた。

そしてぼくも一緒に外へと出た。

 

校舎の裏側はアスレチックコースになっていて、小さな丘、谷、川が流れていて、走るにはもってこいの場所だ。明るく天気もいい。

ぼくは林に入り込む。

 

突然茂みから虎が飛び出しぼくの左腕に噛み付いた。

ぼくは腕をそのままにし虎を見つめた。

虎は口を閉じたが歯は当てず、ぼくを上目遣いに見ると口を離した。

傷はなくぼくはホッとしてまた走り出した。

遠くの茂みから今度は巨大な熊が立ち上がった。

月の輪熊だ。

 

その姿がズームで3倍4倍と巨大化する。

ぼくはコースを変えた。

 

中央に小屋がある。

その小屋に入り、休んでいると、天井から高校の時の同級生が、降りてきた。

そして持っていた卒業写真を開き、ぼくに高校のときの思い出を語り始めた。

写っている写真はしかし顔の部分が今の顔と差し替えられていて、どこか滑稽だ。しかし彼は昔話を話し続ける。

 

その中に運動会の写真があった。

しかし写っているのは小学生の女の子達で、その中の一人の女の子は走るのが遅く、今にも泣きそうだ。

ぼくは走り出て、手を引っ張ってゴールまで走った。

 

そんなことする必要はないよ。

何でしゃしゃり出るんだ、塾の先生がそこまですることはないよ。

 

ぼくは哀しげな顔でそう言う同僚の先生に、楽しくてやってんだ。迷惑かもしれないけど、これでいいんだと思う。

と答える。

 

赤い惑星の月の年 自己存在の月4月8日。

10月25日。

 

港だ。会社の人たちといる。

ぼくは港だからと北島三郎の「函館の女」を歌いだす。

風が強く声が通らない。

歩きながら歌うが、どうも自分の声がはっきりと聞こえない。

 

巨大なローラーが走ってくる。

ゴオゴオと音を立てている。

犬がその音に脅えて腰を抜かして動けない。

運転手はスピードを落としてくれた。

ぼくはこっちだと犬に向かって叫んだ。しかし犬の目は脅えたままだ。

 

曲がり角で大きく右に曲がった。

ローラーの中に犬が入り込んだ。

スピードがさらに下がった。

ぼくは覗き込み、もう1度大声で叫んだ。こっちだ!

 

犬がピョンと飛び跳ねぼくの胸に飛び込んできた。

2本の後ろ足が切断されている。コロンと横に落ちている。血は出ていない。

ぼくは見ぬ振りをしようとした。

世話をしなければならなくなるからだ。獣医はこの近くにあるのだろうか。

ぼくは考える。

面倒だと思っている。

だが犬の目はえらく澄んでいてぼくを見つめている。

 

顔の血はもう乾いていて、かさぶたにはならずに顔中がうっすらと赤い色で染められている。少年は別に平気な顔でぼくに手を惹かれている。

 

ぼくはその赤い顔に気づき驚いた。

医者に連れて行かなければならない。

ぼくは少年にここで待っているようにと電柱の前に立たせ、走り出した。

川の土手を走り街並みに入った。

駅の近く、繁華街と走るが病院は見つからない。

だが少年は別にどうという顔はしていなかった。それほど急ぐ事ともないかもしれない。

ただ薄い真っ赤な顔が思い出されるのだ。