夢日記 2001.121~12.31.

 

121.土曜日.

高校の教室.僕たちは4人組で今期末試験を受けている.

教室はうるさく、みんな後ろを見たり答えを教え合ったりしている.先生が教室にいるはずなのだが、視界は周囲の56人の学生で区切られている.

 

僕はカンニングはしたくなかった.

友達のカンニングをいやに思う事もなかった.

ただ僕はしないのだと決めていた.

その事で頑なになっていることもなく、僕のところに印刷された解答集がきたときも僕はそれをさらっと眺め友達に返し、自分で考えようと問題用紙に目を戻した.

 

うるさい教室だったが、みんなテストを楽しんでいた.

僕もなぜかのんびりできている.

 

 

 

125.水曜日.

久しぶりのラケットボールだ.

クラブの階段を上っていく.途中に映画館のようなホールがあり、誰も座っていない席が暗がりの中広がっている.

最上階がコートになっているので僕は急いで通り過ぎようとした.

 

横4席ほどに板が置かれその上に布団が敷かれ、浅丘めぐみが横たわっている.

黒く大きな目が潤んでいて、病気なのかじっと動かない.

その目は大きく光っていて、じっとぼくを見ている.きれいな目だ.

 

その目がまっすぐに僕を見続けている.

ホールには少し大きな音で音楽が流れている.どっちかといえば、音はホールに響いているかもしれない.病人にはうるさいかもしれない.

見渡すと反対側の通路に銀色のパネルがある.

僕は音量を下げようと近づき幾つかのボタンを動かしたが音に変化はない.

 

気が付くと長い髪の浅丘めぐみが横にいて、ひとつのポタンを右に回した.

音が下がり浅丘めぐみはにこりと笑った.

ぼくはほっとした.

 

 

川を泳いでいる.

おぼれるのかとも思ったがぼくは安心している.

大きなゴールデンリトリバーが大きな目と赤い舌を出して、ハッハッと水中から顔を出すのだ.

 

ぼくは岸に戻っていく.

岸にはゴールデンリトリバ−ぼくを見下ろしている.

 

 

20011269:37

布団を背負って歩いている.

緩やかな坂道.周りにはニュータウンが広がっているが、ぼくの歩いている道はこれから開発するための区域に通じている、まだ切り開いたばかりのごつごつとした道だ.

フェンスの中を歩いている.

夜だ.満天の星.

ぼくは道に布団を敷き寝ることにする.

 

金色に星が輝き、その数は目が慣れるにしたがい増えていく.

掛け布団を顔まで上げたとき、ぼくは足元に何かが入ったような気配に飛び起きた.

 

白い濡れたかたまりが動いた.

 

猫だ.

猫が布団の中に入ろうとしていた.

ぼくはシッシッと足で威嚇する.

猫は3度目の威嚇で近くの猫穴に飛び込んだ.

猫穴は56センチほどの小さな穴で、しかし猫が飛び込む時は大きく開き、猫は吸い込まれるように地面の中に消えていく.

反対側からも今度は黒い猫が近寄ってくるので、ぼくはシッシッと追い払う.

 

その猫も猫穴に飛び込んでいき、穴に消えていく.

注意してみるとそんな猫穴が幾つか整然と並んでいる.

 

200112713:27

会社が倒産したらしい.

その知らせをマイクロバスの中でみんなと聞いた.

みんな何も言わない.ニコニコしている.

ぼくは途中で降ろしてもらい走ることにした.ちゃんと走る用意はしてある.シューズの紐を結びながら、やっぱつぶれたんだと思う.

これからどうしようかと思う.

 

喫茶店のテーブルでみんなと一緒に笑っている.

まだみんなどうりアクションをとっていいのか分からないのだ.

みんなで飲みに行こうと話す.

地下室に向かう階段を下りていく.ライトが明るい.

 

 

 

129.土曜日.

大きな窓.

空が映っている.きれいな窓だ.

1枚何十万とするのだろう.5メートル、横3メートルの窓.

その窓を通し、じっとさっきから外を見ている.

外は雨.しかし窓はきれいだ.

部屋の中は広い.その部屋をぼくは行ったり来たりしている.不安でしょうがない.

座ってられない.

背中がこわい.

 

部屋の外に人の気配.大勢の人の気配だ.廊下に誰かがいる.

ぼくはドアののぞき穴から外をのぞく.外には中国人の家族が騒いでいる.

きっと家族の誰かの良き事をみんなで祝っているのだろう.

ぼくと同じ年齢の男と目が合い、一瞬目をそらそうとするが、向こうからは見えるはずはないのでじっと見続ける.男はぼくに気がつかず、視界から消える.

 

反対側のドアを開けると階段があり最上段からコートに帽子の、ハードボイルドな男がぼくを見下ろしているのに気づく.

ぼくはすぐにドアを閉める.

男はぼくの命を狙っている.逃げるのだ.絶対に逃げるのだ.

 

ぼくはドアを閉め急いで反対側のドアから中国人と混じって逃げようとするが、その時間のないことを知り、逆にその階段を上がって逃げようと決める.

 

ドアを開ける.

しかしそれを見透かしていたのか、男はまだそこにいて、ぼくの後ろに回ると背後からぼくの首を締め付ける.

ぼくは簡単に死ぬんだと思う.

 

窓の外はまだ雨が振っているのだろうか.

 

12月9.日曜日.

クロスカントリーのレース.

山の中の細い道の上り下りがきつい.

ぼくは体を左右に揺らしながら全力で走っている.

心地よい.

 

トイレに行きたくなる.

壊れかけた山小屋のようなトイレがあるのでそこへ行こうとするが、他にも人がいてしばらく待つことにする、が、なかなか前へ進まない.それより我慢ができない.

ぼくは別のトイレを探すことにした.

 

ない.

草むらの中ですることにする.

しゃがんでランパンを下ろす.

スーと風が冷たくお尻をなでる.

 

だが後ろからそこでしてはだめだと声がし、ぼくはランパンを上げまた走り始める.

 

結局そのままトイレには行かずにゴールするが、判定会議が開かれていて、何名かのランナーが失格になっているのを知る.

ぼくはどうなるのだろう.

 

 

 

1211.火曜日.

5メートル、横20メートルほどの舞台.舞台の端に椅子が2列並んでいていそこ

が客席になっている.舞台の上に客席があるのだ.

ぼくはそこから舞台を見ている.

舞台では男が二人、演じている.二人とも中年で渋く、やくざの兄弟分のようだ.

 

「俺は殺し方を知らない.

「俺が教えてやる.

 

兄貴分の男が背中から銃を取り出し、男に向け撃つ.弾はぎりぎりで男の頭を掠める。そしてくるっと振り返ると柱に体をつけ両手をまっすぐに上げ、刺せ!と言う.

 

一瞬ためらったが弟分の男は胸からどすを引き出すと一直線に柱に背を向けて立つ男に向かっていった.

心臓の真裏を刺した.

5cmほどしか刺さっていなかったのでぼくは浅すぎると思った.

仰向けに倒れた男に今度は銃を両手で持ち大声を上げながらとどめの一発を撃った.倒れている男の体が大きくはね、裏返った.それをまた男が撃つ.

泣きながら撃つ.

また撃つ.

そのたびに男の体が大きくはねる.

男は泣きながら撃ち続ける.

 

 

「何で天井にあんなもの刺したままにしてあるの?」

 

突然とげのある声で言われ、ぼくは天井を見上げ、ぼくではない誤解だと思ったがもうその声の持ち主はいない.

 

新しい家だ.

まだ荷物は開けていない.

天井に青と緑の大きなクリップが付けられている.

何でこんなところについているのだろうかと不思議に思うが、きっと前の住人が引越しの荷造りをしている時、ここに高い本棚とかがあって、その整理の途中に天井に何かを止めて置きっ放しになったのではないかと考えてみる.

 

大きなテーブルに金色の5重の塔がある.

さっき届いたのだと言う.

思っていたよりずっと立派だ.

ただ良く見ると安物であることは分かる.

でもぼくは立派だと思い、満足している.

 

「さっきはごめん.あれ、前の人がしたのね.

女が謝った.

 

わざわざその事言う為に帰ってきたみたいだ.

ぼくはありがたいと思った.

 

 

1213.水曜日.

大きな聖堂の中の広場.

そこでぼくはリーダーとなり、5つのグループに祭りの指示をだした.

大切な祭り.とにかく盛り上げることが必要だ.

 

だが広場の中は雑然と人がうごめいているだけ.

 

ひとつのグループだけが盛大に、輪を作り祭りの踊りを踊っている.

だが他のグループが見当たらない.ぼくはあせって広場を回るが、いない.

 

僕はその事で罰せられ、そこから逃げ出さなくてはならなくなる.

どこまでも追いかけられるのだ.

 

僕は地下道に降りた.

そこを伝っていく.

見上げると橋がありその欄干に見知った男が立ち上がり、僕の逃走を支援してくれている.

 

僕はトロッコに渡された板の上に腹ばいになり、体を左右に揺すりながら、男に近づいたり、離れたりと意味のないことをしている.

 

地下道から見上げると電車が走っている.

車内は明るく、座席には客がズラリを座って同じようなかっこうで前をじっと見ている.

 

僕はいつの間にか電車と同じ高さにいる.が、電車の中にはいない.見つからないように穴と電車の境目でうずくまっている.

 

地下道から一人のアフリカの少年が、その光に吸い寄せられるように、上がってくる.

罠だ.

 

 

僕は声を上げようと突然地下道の穴を滑り落ちてしまう.

カーブの所で引っかかると、穴の上から兵士が手榴弾を地下道に向けてポイと投げ込んだ.

 

僕は頭を抱える.

下から爆風が上がってくる.

と同時にいくつもの銃身が土ぼこりの中から見え、穴の上へと向けられるが、穴の途中にいる僕にもその銃口は向けられていて、僕は大声でジャパン、ジャパンと叫ぶ.

 

銃声が響く.

 

僕は頭を抱えたままうずくまる.

 

 

1213.

明るく広い部屋.

その隅のコンピュ−タの前に教え子の小4の男の子が座っている.

画面にはその建物の各階の見取り図がある.

その子がキーをたたくと1階の部屋の様子が画面に映る.

 

そこでは若いスーツ姿の男女が研修会を開いている.

僕は布団にくるまりその部屋の隅にいて研修会を見ている.

 

そこでは小4の男の子の襲撃の方法について話し合いが行われていて、僕は布団に寝たままスーとドアのほうに移動を開始する.そうしている限り、僕は見つからないのだ.

 

外に出るとそのビルのドアを探し中に入る.

 

襲撃の事を知らせなくてはならない.

 

ビルの中の階段は入り組んでいて、男の子のいる階がどこなのか分からない.

いそがなければと思う.

 

1215.土曜日.

夜アパートの一室.

僕は赤い花を咲かさなければならない.

その方法はない.

 

廊下に出た.

廊下の先に壁はなく、星が見えている.

角部屋に行く.

ドアをノックした.

ここで赤い花を咲かせる人がいるのだ.僕はそう思っている.

 

何の応答もなかったが僕はノブを回し中に入った.

中では5つ花を横に並べ順番に世話をし、赤い花を咲かそうとしている女の人がいた.外人だ.30前で、少しあごの線の硬い、しかし目の大きな表情豊かな女の人だ.中東の、イラクとかサウジとかアフガンとかの人だ.

髪の前を眉毛の上でそろえ、肩まで左右に髪を伸ばしている.

 

彼女は僕の持っている咲いていない花を取ると、サッと赤く花開かせた.

そして僕に微笑みながら返した.

 

翌日僕はまた彼女の部屋に行った.

部屋は暗く誰もいなかった.

どうしようかと思った時、部屋が明るくなり、彼女が戻ってきた.

 

僕たちは屋上にいた.

そこには黒く長いマントを着た男が立っていて、その男に彼女は頭を下げていた.

男は両手を上げると空へと舞い上がっていき、彼女はひれ伏した.

 

僕は夢の中で何度も飛んでいたのでやってみた.

最初彼女の目を気にして緊張し体は上がったがすぐに高度が下がった.

 

水中を泳ぐ時のように両手で空気を左右に掻き分けるようにすればいいのだ.

 

僕はゆっくりと手を動かした.

上昇していく.

彼女は驚き、下から僕を見上げながら大声で何かを言っている.

 

 

部屋の中だ.

彼女の行っていることが分からない.

アイキャントファチュセイと僕は言いつづけている.

 

僕は彼女にとって何か良くないことをしたことだけは確かなようだ.

 

1217日。月曜日。

狭い部屋だ。

死んだ祖母が痩せ、白髪の姿で寝ている。

ふっと起き上がる。

その途端髪が黒くなり、体が若返っている。

ばあちゃんは体を僕に向ける。顔を少し傾けて、微笑む。

ばあちゃんの若い頃の姿をみるのは初めてだ。

 

 

同じ部屋に3年前に卒業した女の子がいる。

可愛い子だ。

僕は写真を撮っている。

だがその子は写真を嫌がり、顔をそむける。

僕はべつに変な気持ちはなく、ただとても可愛く綺麗なので撮っておきたかっただけなので、怒ってしまう。

 

部屋には縦長のディスプレイがあり、ゲームをやっている。

シミュレーションゲームで、一人の主人公を選ぶと、その子の1日が始まる。

本屋に入る。

万引きをする、を選ぶ。

エロ本を万引きし外へ出る。

自動車にわざとぶつかり、治療費を騙し取る、を選ぶ。

 

学校に行き、先生を殴る、を選ぶ。

選ぶたびに周りの子供たちが大喜びをする。

選択肢を選ぶ画面がとても感じがいいのだ。

ぼやっとかすんだような黒。

画面に直接タッチして選ぶ。

 

さっきの女の子がその部屋にあったプリンタで印刷したのだろう自分の顔を僕に差し出した。

少し緊張して、しかも白黒の印刷だが、さっき僕が怒ったのを気にして自分でカメラでとってプリントしたのだ。

僕はうれしかった。

 

でも本当はその子を抱きたかったのだ。

僕は写真を撮りなが想像してた。

 

1218日。火曜日。

妙に足が温かく、汗もかき眠れない。寝苦しい。

そんな時隣りの部屋から誰か入って気はしないかふと思う。

そう思うと必ず金縛りだ。

 

うとうとすると黒い影が必ず通り過ぎる。

背後に回られる。見えない。完全に後ろを取られる。

起きようとする。恐怖だ。

動けない。

必死の必死で大声を上げる。

体を左右に振り切って起き上がる。

胸がどきどきしている。

 

夢とは分かっているが、備え付けの棒を持って部屋中を見回る。

 

どのくらいの声を上げているのか。

それとも本当は上げていないのか。

知りたいものだ。

 

 

キッチンに誰か入っている。

卒業生だ。2人いる。

朝だ。

いやまだ明け方近くでほの暗い。

僕はパジャマのまま起きる。

「どっからはいった?」

二人とも笑ったまま答えない。

振り返るとまだ3人いる。

リビングで食事の場所を作っている。

火でも焚いたかのフローリングの床がこげている。しかも水浸しだ。

「先生。」

 

キッチンには1人増えている。

卒業生の中でも気心の知れた子が笑っている。

「おまえか」

 

でも合鍵を渡した覚えなどない。

しかし納得した気持ちになっている。

だが濡れた床は何とかしなければならない。冗談ではないのだ。いつも気を使っている床だ。

 

彼らは食事をはじめた。

僕は雑巾を持ってたまった水を吸い取っている。

振り返るとキッチンに中学からの友達が座ってこっちを見ている。

「おまえか」

 

すっかりオヤジになってしまった奴だ。

僕は今度はさっきよりも深く納得している。

 

 

空っぽの部屋のオーブンを開けると、真っ白になっている。

最初僕はそれがかびだと思っていた。

びっしり小さなとがったかびがオーブン一杯に生えている。

 

だが良く見るとそれは先がとがっていて、しかも透明に光っている。

 

僕はそれがカビではなく霜であることに気づく。

 

1219日。水曜日。

 

坂道を走っている。

左ひざが痛い。

すると女の子がひざに手を当ててくれた。

見ると確か高校で陸上部だった女の子だ。よく覚えていたなと感心する。

だがよく見るとすぐに柔道の柔ちゃんに変わっていて不思議な感じがする。

 

でも手を当てつづけてくれていて、左のアキレス腱がかすかに痙攣し始め、これで治るなとほっと一息つく。

2度アキレス腱が動く。

 

 

喫茶店だ。

10人ほどのスーツ姿の男たちがコーヒーを飲んでいる。

そこへ今年卒業した女の子がやってきて、書類を彼らに渡し、突然話し始めた。

目の大きな明るくはきはきとした子で可愛い子だ。

 

ここでプレゼンかよ。

 

誰かが言う。

確かにその子は全員に話し始めるには突然で、しかも体を左右に揺すっていて、感心しない。しかし眼だけは強気の目で男たちをしっかりと見ているので、僕はどうフォーローしていいのか戸惑っている。

でもその子は一生懸命なのだ。

 

 

 

昔同僚だった人が僕が打っているボードを覗き込む。

よく一緒にカラオケに行った人だ。

馴染みの笑い顔だ。

 

気がつくとキーボードが壊れている。

その人がこぶしで何回も叩いたのだ。

僕はボードを確認する。

キーがめくれあがっているのもあるが、正常に作動するのもある。

僕は怒ってはいず、その人もいない。

ただ動くものもあるが、これは使い物にならないと少し困っている。

1222日。土曜日。

 

その建物は3階建てで、くるくると剥き出しの螺旋階段を登っていく。

硬い階段だ。

3階に刑事部屋がある。

大勢の刑事が部屋を行ったり来たりしている。

僕は決定的な証拠を持とうとしている。

 

写真だ。

その写真の現像を待っている。

ただその現像が特別でこれからその場所へ行かなくてはならない。

朝の4時に行く。今はまだ夕方だ。

 

同僚の女刑事が帰ってくるなり、僕に言った。

「あんた前に私に言ったジャン、チンピラが俺のバックにはどこそこの親分がいるって言うときの顔ってかわいそうだって。あたし今日チンピラの女の子、えらそうに言うのよ、すっごく醜い顔だったから血だらけになるまで殴ったわよ。

 

僕はそんなこと言ったかどうか思い出している。

 

夜になった。眠い。本当に眠い。

4時といえば明け方で、きっと今よりも寒い、セーターを着込む。

だが今はそんなに寒くない。出掛けにセーターをみっともない。

緑のシャツにしよう。

僕はきっとそのときには走り回ることになるに違いないので、セーターはむしろ暑いだろうと結論を出す。

 

外に出る。

真夜中だが明るい。

白いスポーツカーがゆっくりやってくる。

女はスカーフにサングラス、男はリーゼント、ロックがかかっている。恥ずかしくはないのだろうかと思いながらすれ違う。

車が止まり、音楽は大きくなり二人は踊りだした。

 

 

研究所へ行く途中の陸橋の上。見上げると木造の家の窓があいていて、中が見える。陸橋には人が集まっていて、あの部屋の家賃は8000円でなかなか良い部屋だと言い合っている。

その部屋の住人は昔のバイト仲間だ。

中卒でどじで間抜けだが憎めない奴だった。将来どうするのだろうと心配したこともある奴だったが、元気なのだ。良かった。

 

12月25日。火曜日。

『言問橋4丁目』劇場。そう書いてある。

丘の上方に洞窟があり、そこを入ると思ったよりも近代的な小劇場ある。

吉本の劇場で、チャーリー・浜がいる。

 

僕は連れにそれを教えるが、彼は知らず、僕はもっと吉本の芸人がいるのではないかと、奥に入ろうする。

女社長が、檄を飛ばしている。笑わせてこなあかんで!

 

若手二人は降りていく階段で立ち止まり、ネタ合わせをする。

真剣な顔だ。

 

劇場の中はきれいな席が10×30ほど並んでいる。

突然舞台が回転しだした。

僕はぎりぎりに壁に貼り付き回る舞台をよける。

楽屋裏では小さな犬小屋に少年が入っている。

僕を見るとあなたのおかげで助かった。

ありがとうと言われる。

 

僕は天窓から外へと抜ける。

 

岸壁には小学生たちが、海を見て笑っている。

1230日。

昔住んだ大阪にいる。

何かこう新しくなっている。街が直線と曲線で囲まれ、車が宙に浮き飛んでいる。近未来の街という感じだ。

 

僕は昔自分が住んでいた家を見ようと急いでいる。

家は塀で囲まれていて僕は何回もジャンプし中を見ようとするが見えない。

だが昔の家もなんだか新しくなっているようだ。

チラッと新しくなった家が見える。

 

工場のような広い場所。

そこには幾つもの大きな板や、ねじがまとまって置いてある。

このねじを使って板と棒とを組み合わせる。きちっと入れないといけない。

 

妹と一緒にそのねじで板と棒とをつないでいる。

ねじはきれいに中に入っていくので気持ちがいい。

 

近くのマクドに行く。

そこで中学の同窓生が働いているのだ。

 

僕をすぐに見つけてくれた。

それが嬉しかった。

僕のことを忘れているのでは。

それが一番の心配だったのだ。

 

犬を飼っている家を見つけなくてはならない。

長い坂を降りていくと白い塀がぐるりと回っている家を見つける。

端っこに白い家があり、残りの庭には低い緑の草が生えていて、風に揺れている。

そこに2ひきの犬がいた。

くるくると2匹が僕の周りのを回っている。

ほっとした。

12月31日。月曜日。

生徒の家にいる。

古地図を見つけた。生徒と一緒にその地図を読みとこうする。

古い紙が貼り付けてあり、その裏に不思議な記号がかかれている。

 

二人で考えるがわからない。

そんな古地図が何冊も部屋に並んでいる。

随分あるな。

二人でじっと見ている。

 

 

来年の教材を取りに行くようにと言われた。

普通の家に古ぼけたテキストが積み上げられている。

何だよ、これで新学期授業できるかよ。

 

僕が声に出して冗談じゃないよ、ふざけんなよ、と言っていると、課長と係長が泣き出しそうな顔で僕を見下ろしている。それで精一杯だったんだ。

 

僕は申し訳ない事をした、いや、こんだけやってきて最後こんな事になるっておかしくない?と、言い返す。自分の心無い言葉を取り繕おうとしている。そんな自分がいやだった。

 

 

海の近くにプールが二つある。

遠いプールにはライフラインという青い線がプールの底に描かれていて、その線にそって泳ぐ練習をまずする。

 

僕はゆっくりとプールに入り潜水をしながら青い線をしっかり見て泳いでいく。

浅いプールなので、お腹がこすれる。

縦横に引かれているので、少し動くとすぐに曲がらなければならず、大変だ。

 

 

隣の海に近いプールに移る。

そこにも青い線が引かれているが、水の量は多い。そこを泳いでいく。

いるかが寄ってくる。

小さないるかだ。

頭が大きく、胴が短く、すぐに尾だ。

奇形のいるかだと僕は思う。

隣は海だ。

 

1217日。