優れた芸術家(ヨーゼフ・ボイスの言葉 2)
Joseph Beuys
ヨーゼフ・ボイスは、こう言った。
「概念(コンセプト)にたどりつくことが大切だ。
概念にたどりついたとき、それまでの美は死を迎える。
そして新しい形に」
伝統を守るだけをくり返す芸術に抵抗したこの芸術家は、新しい概念によって常に新しく生まれ変わることを芸術に求めた。
伝統芸術はその概念を守り続ける。
だが、概念を守りつづけるだけでは概念の力は弱くなっていく。つまり伝統はつねにその概念の死によって、死を乗越えつづけなくてはならない。
ボイスは芸術を生きたものにするために絶対に通らなくてはならない関門を、この言葉によって表現したと思う。
優れた言葉は伝統と対立する、だが決して本質を分裂させたりはしない。
優れたものは常に本質の言い換えとして、この世にうまれる。
(あらゆる学問、そして伝統さえもそうして生まれた)
あらゆる物事の本質(あるいは典型「TYPE」)は、つねに新しい概念(新しい問いかけ)によってエネルギーを得る。
1998年2月24日