米国戦略について

   F1999-8-07

 今回は、米国の戦略を検討しておきましょう。

1.戦略目的
 米国は理念の国です。それは、多民族社会の特徴です。この米国
の戦略も理念の実現を目指して行動します。しかし、ベトナム戦争
、ソマリア派兵で失敗したために、若干の修正がされていますが、
理念の中心は今も同じです。

 米国の理念、戦略目的は、「民主主義を世界に広めることです。
それと重要な自由主義を守ることです。その上で世界経済と自由貿
易を発展させること。」

 冷戦時代は、ソ連との対抗上、自由陣営にも独裁国家はあったが、
現在は、独裁主義の国家を民主主義化しようとしているようです。

2.遂行手段
 目的を遂行するため、「最も効果的な手段は、同じ関心と価値観
を持つ同盟国や友好国を増やし、その関係を強化していくこと」で
あり、米国は単独で行動する能力を維持し続けるものの、「多国間
での協同行動」も重要視している。このため、NATO、日米同盟
、米韓同盟などを重要視している。

今回のユーゴ空爆のように国連決議もなく、NATOの決定で行う
など、米国の意図が感じられる。これにより、米国は戦争を地域同
盟の決定でも始める可能性があることを世界に示した。また、欧州
地域紛争はNATOが介入するとの新しいドクトリンでも示した。

3.海軍戦略
 マハンの海軍戦略を実践している。全世界に海軍基地を持って、
世界各地の紛争に備えている。
 海外の海軍基地は、日本横須賀、韓国、欧州、ディエゴ・ガルシ
ア、キューバ、バーレーンなどで、このうち乾ドックのあるのは横
須賀だけである。

軍隊総数は150万人、在日米軍は4万人、在韓米軍は4万人。
 つい最近もパナマから完全撤退したように、世界の基地を整理し
ている。そして、緊急派遣戦略を指向している。

 米海軍の中心は、12隻の空母を有することで、常時3隻を配備
している。この空母1隻は、1日100万ドル以上の経費を必要と
している。空母1隻に対し、巡洋艦2隻、駆逐艦・フリゲート艦4
から6隻、艦隊補給艦2隻で一個空母戦闘群を構成。
この編成を12個ある。年経費だけで50億ドル以上、空母一隻の
建造費40億ドルと高価である。
海兵隊は本土13万人と沖縄1.5万人が主な規模。沖縄の重要性
が明らかである。

4.核戦略
 米国の核戦略は、ICBM、SLBMと爆撃機で構成している。
START2の最終段階で3000程度に減る予定。1990年当
時は、10900個程度であったので、3分1になる。

5.米国と他国の比較
  米国150万人に対し、ロシア120万人、中国290万人、
インド110万人、北朝鮮105万人が大きい。日本は23万人。
  国防費でみると、1996年度で米国2600億ドル、日本
430億ドル、中国340億ドル、ロシア690億ドル、仏国460
億ドル、ドイツ380億ドル
 この時点で日本は世界4位。しかし、米国がダントツ1位。

 国防費のGNPに占める割合は、米国GNPの3.6%、日本1%
、中国5.7%、ロシア6.5%

 このように米国は、覇権国家としてダントツの軍事力を誇ってい
る。

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