617.地方併立と知事及び衆院選挙



◯『国家戦略』 その4△△ 地方併立と知事及び衆院選挙 △△
                           永田通
1、地方の在り方について、考え方を整理して見ましょう。
1-1、『地方分権』 権利と義務は、物の表裏として合い伴うわけでは
なく、権利だけが先走りし勝ちで、地方のエゴが生じて参ります。また、現日
本の行政単位等の地域格差(人口や財政力)は大き過ぎ、公平と円滑さを欠きま
す。国家的見地と自律を忘れた地方の分権は、危険であります。

1-2、『地方分立』 地方がセミ独立する事でありますが、外国勢の武
力を背景とした圧力に到底対抗できません。以下のように、歴史的事実に注目
しますと、統一力(中央集権)の弱い国は、おおむね悲惨な最後が待っておりま
す。
 伽耶(任那)は、統一国家を造らなかったため、新羅と百済より圧迫を受けて
消滅、人々の多くは日本列島に逃げ延びました。
 江戸末期(幕末)各藩が、バラバラに海外勢力と対立或は援助を目論んだため
、日本国が分裂し外国の草刈り場と化す危険が迫っておりました。
 北米インディアンが酋長を中心とした部族集団のままで統一国家を造る事な
く、西欧からの渡来集団に個別侵略を受け、生活基盤の土地を失いました。
 中南米インディオは、インカ等を除き広域の統一国家はなく、西欧からの渡
来集団に個別攻撃を受け、混血するか山間地に追いやられました。
 中南アフリカは、今なお部族間の対立と紛争を続けております。強固な広域
の統一国家が成立しておれば、簡単に西欧の蹂躙する所とならなかったと推測
されます。
 ユーゴスラビアの各地域は、今でも民族と宗教対立が激しく、民衆の不幸が
続くばかりでなく、海外勢力の干渉を呼び、再起不能に至りつつあります。

1-3、『地方併立』 対外的に強力な中央政府と自律自立の心構えを持
つ地方が、上下ではなく対等を保ちつつ、権利の主張を程々にしつつ協力し合
う仕組みで、両者の融合を企図し、21世紀研究会の提言する所であります。

2、地方併立を実現する前提条件として、次の仕組みを例示します。
2-1、一つの地方を相当規模に引き上げます。明治になっての郡区編成
(709郡+都の区+道の支庁)を念頭に置いて、全国を1単位当りの人口を80万人
(70万〜90万人)とし、150地域(仮称、郷里の郷)に分けます。80万×150=1億2
000万人であります。都道府県と市町村は全部廃止して、『郷』に統一します
。つまり、地方組織の2本立て(2段階制)が1本立てに簡素化されます。少々の
町村合併程度の対応では、教育でも福祉でも、機動的で公平な地方自治は到底
無理であります。行政単位をこの程度に大きくしないと、実力不足で十分な行
政力なく、中央政府にも歯が立ちません。

2-2、歳入(国税の所得税も地方税の固定資産税も全て)は、歳入機関(歳
入庁)が一括して収納し、電子機器により自動配分します。地方交付金や補助
金のため、陳情に行く時間と労力を無くします。
2-3、知事と衆院議員とは、次項で述べるように、総数600人を選出し、
任期中にその両者を経験するを原則とし、地方(郷)益と国益とに共に関与せざ
るを得ない仕組みに変更すると共に、同一地位に長く止まって利権と癒着する
のを防止します。
2-4、国会議員が、国政(国益)に当てる時間と精力はわずか20%で、残
余の80%は選挙(次回の当選)と自分らの勢力(党や派閥)の維持拡大に浪費せざ
るを得ないような現況は、早急に変革しなければなりません。
2-5、知事と国会議員が、郷益と国益のための任務に専念できるように
します。いわゆる党人は、自分たちの思想信条政策の宣伝、党益や派閥益(党
や派閥の勢力拡充、当選者の増加等)を任務とする活動を続け、議員とは兼務
できなくします。一方、知事や国会議員の在任期間中の『党人』活動を一切禁
止します。

3、知事と衆院議員の選挙は、任期4年の同時選出となります。
3-1、全国150の郷で、4年に1度の選挙を行います。当選者は4名、準当
選者も4名とし、解散制度は廃止します。不測の事態に備え、リコール制度は
残します。
3-2、当選者は、出席衆院議員、在郷衆院議員(郷会議員を兼務し、衆院
での議決権を持ちます)、郷知事(内部部局担当)、郷知事(渉外、計画、非常事
態担当)の4つを、原則1年毎の回り持ちで就任します。国政と地方自治の双方
に関与する訳であります。
 (注) 衆院議員総数300人を国会出席議員と在郷投票議員に分ける理由は、
次の通りであります。
 ア、出席議員を少数精鋭にして、全員が討議に参加するのを旨とします。
 イ、出席議員を半分にして、コストダウンをはかります。
 ウ、中央と地方の両面から、日本国の再生を考えて頂きます。

3-3、第1位当選者は、4年の任期の内3年間につき、前号4つの任務の中
から、希望のものを希望の時期に優先して選択できます。第2位当選者は、2年
間につき、優先して選択できます。ただし、総理大臣に選任された場合は、最
長4年間その職に止まる事ができるものとします。
3-4、準当選者は郷会議員となり、欠員が生じた場合(当選者の死亡辞任
等)は、第5位、第6位、第7位、第8位の順に当選者となります。これで、補欠
選挙に伴う経費と労力が不要となります。
3-5、在郷衆院議員と準当選者は、最低月に1度は国政に関する意見書、
提案を発表提示する義務を負います。これは地方にあっても、常に国家的観点
を維持して頂くためであります。

3-6、出席衆院議員150人の中から、思想信条政策の似通った総理大臣2
名(1人は内部省庁と構造改革担当、1人は国家方針、対外的問題と非常事態担
当)を、在郷衆院議員を加えた300人で選出します。国際会議等と国会における
会議の重複によって、政治が停滞するのを防止します。加えて総理が超多忙の
ため、健康を害するような国家的損失を解消します。
3-7、総理が4年の任期中に退任した場合、残余期間は出席衆院議員に復
帰せず郷会議員となり、国家的観点から地方の発展を目指して頂きます。
3-8、他の大臣は現職国会議員からは選びません。両総理が推薦し衆院
の承認を得ます。行政、立法の両機関の分離を強めると共に、議員の大臣病
(数回当選の暁に大臣になれる?)を、当初から払拭します。

3-9、郷知事を2名で交代制にして、多忙を緩和すると共に、多選や癒着
による弊害を予防します。郷の方針決定は2知事の合致を原則としますが、不
一致の場合は郷議会の決議によります。
3-10、郷議員の定数は、50名前後とスリムにします。民と官のリストラ
を断行するためには、日本全体の議員定数総体の削減から始めないと、国民や
公務員の納得は、決して得られません。(a17ksl4.txt)

次回に参院選挙と首相公選制、議員内閣制を述べる予定であります。


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