214−2.正確な買春旅行情報



初めてメールいたします。私は今ロンドンで観光学を研究している
島川と申します。
毎回ためになるコラムをどうもありがとうございます。外交は私の
専門ではありませんが、観光学でも、大いに外交は関わってきます
ので、とても参考になります。
日本は世界第2位の観光大国になっているにもかかわらず、観光学
は日本ではあまり盛んに研究されていない関係上、観光についての
情報が日本内のみならず、世界に誤って伝わっている節が多々あり
、少しずつ、私もここロンドンで、日本に対する誤解を解く努力を
続けている次第であります。

そこで、前回kawafujiさんから寄せられたコメントに大きな事実
誤認がありますので、お知らせしたいと思います。

ドイツのおやじが日本のおやじのように買春旅行に
出かけたことはないはずです。日本のおやじが東南アジアの女性を
性の対象に見るようになったのはいつからか、そしてもし「侵略の反省」
があったのなら何故それが変わらなかったか自分の手で調べて自分の頭
で考えてみてください。買春旅行は彼女たちの貧困に付けこんだ悪徳
なものですが、人に対してそんな失礼な旅行を「反省」があった国の
人間がやることだとは私は思いません。日本のすべてのおやじが行った
旅行ではありませんが、そんな旅行を何年にも渡って許す社会通念が
そこにはあったという証拠です。

と言うくだりですが、タイのセックスツーリズムを撲滅するNGOで
あるECPATが調査した結果、ある年のセックスツーリズム関連で
の逮捕者総数で見ると、アメリカが40件でダントツの1位、2位がドイツ
で28件、3位がオーストラリアで22件、あと英国が19件、フランスが
10件と続き、日本は7件であったそうです。
もちろん日本も6位なので偉そうなことは言えないのですが、世界に
広がっている「セックスツーリズムといえば日本」という認識と現状
は程遠いものがあります。
なぜ、こういうことになったのか、よく調べてみると、観光学の研究
者の中で、特にアメリカ人とドイツ人の研究者が日本のセックスツー
リズムを強調しているのです。自国に都合の悪いデータは使わず、
イメージを植え付けているのです。
観光学に日本人の研究者がいないため、反論が無く、他のヨーロッパ
の研究者も日本に罪をなすりつけてれば自国に非難が及ばないことに
なるので、特に反論を試みないのです。

もちろんセックスツーリズムは許されたものではありません。しかし
、セックスツーリズムはもっと複雑な要因が絡んでいます。この点で
は中国も登場してきます。長くなりますのでここでは省略しますが、
日本が反省をしたからといってなくなる代物ではないのです。本当に
アジアの発展を祈るのならば、バイアスのかかっていない正しい情報
を伝え、諸悪の根元を絶つことが重要だと思います。日本批判は、そ
のセックスツーリズムをより持続可能にするためのスケープゴートに
されているのです。

私は観光学の範囲でしか分かりませんが、今後の国際関係ではあらゆ
る分野において超覇権国による恣意的な情報操作がますます行われて
いくと思います。それを無批判に受け入れるのではなく、まず情報を
疑ってみることも今後は大切になってくるのではないでしょうか。

今後とも、そういった意味でも、この国際戦略コラムには期待してお
りますので、よろしくお願いいたします。
島川
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指摘するまでもないと思い、傍観しておりましたが、
K.Oさんの御意見を拝読し、メールすることにいたしました。

> もちろん、ドイツがヨーロッパだからとか日本がアジアだからとか
> ではありません。ドイツのおやじが日本のおやじのように買春旅行に
> 出かけたことはないはずです。

東南アジア(特にタイ)に於けるドイツ人の買春はとても盛んで、
バンコクのパッポン通りやソイ・カウボーイで見かける白人は、
そのほとんどが米国の兵隊あがりかドイツ人です。専門店も多いので
ポン引きに「German bar」と言えばすぐ案内してくれるでしょう。
また、サムイやプーケットでは、ドイツ語+英語の2か国語対応の
フリーペーパーが発行されていますが、紙面はエスコート・ガールの
広告であふれています。需要のないところに広告は集まりません。
大柄な自国女性では‘燃えない’ドイツ男性はとても多いそうで、
その種のパッケージツアーもたくさん売られています。
Fさんのご指摘(200-2)にあるように、知識不足といえましょう。

JUN―2
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(Fのコメント)
島川さん、JUN−2さん有り難う。事実はやはり、ドイツのおやじ
の方が日本のおやじより、すごいのですか?
勉強になります。

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