965.久保コラム



大阪靖国訴訟補助参加 第三回口頭弁論

私は伊勢の山奥の氏神様をお守りする三代目宮司 久保憲一です。
また大学の教員として比較政治論、比較憲法論を専攻しています。
 ちなみに私の伯父はフィリピンのレイテで戦死し、勿論靖国神社
に祀られております。

私は此処で神職として申し上げたいと存じます。そもそも神道とは
所謂単なる「宗教」とは言い難い側面を持っています。
神道はもはや我が国の社会秩序・伝統となり、日本の歴史や文化を
語る場合、天皇や神道抜きには語れそうにありません。日本人の
生活規範・慣習・しきたりそのものとなっているからです。例えば
、七五三やお雛様など数え上げればキリがない程ありとあらゆる
神道儀式が身の周りで日々行われています。すなわち広い意味の
「神道」とは「日本教」であり、わが民族固有の信仰なのです。
その理由として神道は他宗教のような明確な教祖や教義は持ってい
ません。ご神体も多種多様です。敢えて申し上げれば、教義は「古
事記」「日本書紀」。教祖は皇祖・天照大神または神世の神々たち
。教主はさしずめ宮中三殿に額ずかれ、世界の平和、国民の安寧を
毎日祈られている今上天皇ということになりましょう。

外国の宗教や国王をイメージする方々にはおそらくピンと来ないこ
とかも知れませんが、大半の日本人は誕生祭や結婚式は神社。葬儀
は仏教。初詣や新車の祈祷を行い、神社からお札やお守りを受けな
がら、お盆にはお寺に参る。クリスマスやバレンタインデーには
一億総にわかクリスチャンに変身する。
 ある日本人は自らを「無宗教・無神論者」などとウソぶきますが
、これらの人こそ典型的「日本教徒」すなわち「神道信者」だと私
は思うのです。というのはその発想、行動はまぎれもなく日本教徒
すなわち神道信者だからです。「神に対する憎しみ」から発した
西洋ニヒリズムに基づく無神論とは全く意味合いを異にしています。

 ところで靖国神社は日本人の鎮魂思想に基づき、民間有志の発議
を以て国家の責任と援助により幕末の戊辰戦争より今次の戦争まで
の国に殉じられた二百五十万もの御霊をお鎮めするため設立された
ものです。
 まさにこの神社は国内、国外を問わず、日本国のために殉じられ
た英霊が一堂に会することのできる日本で唯一の場なのです。
 それゆえ国事に倒れた斃れた幾多の人々の英霊の場「靖国神社」
に攻撃を加えるということは、日本人及び日本文化、すなわち日本
の習慣習俗、伝統を破壊しようとするに等しい行為なのです。

 わたしはかつて我が友邦台湾・高砂族の住む烏来郷の慰霊碑にお
いて旧日本兵の台湾の皆様と共に斎主として慰霊祭を行いました。
また友邦パラオ共和国でも二つの神社において過去二回、護国の英
霊の慰霊祭を執り行いました。勿論、靖国神社のお札をお納めしま
した。
 ところで旧日本兵・台湾(内省人)の方々同様、パラオの皆様も
靖国神社をとても大切に崇敬されております。先年亡くなられた
パラオ共和国政府顧問異な簿イナボ・イナボさんもその一人で、
イナボさんは「日本人は靖国神社をあまりにも粗末に扱いすぎる」
と嘆いておられました。「イナボさん!靖国神社で会いましょう」と
言って亡くなった戦友との約束通り、彼は来日すると先ず一目散に
靖国神社にお参りされていました。

 今回靖国神社が訴えられ、被告にされたことは、日本の恥として
私は慚愧に堪えません。今次の大戦に参加された我が国の英霊や
そのご遺族のみならず、台湾やパラオをはじめとするアジア諸国の
旧日本軍人、また英霊やそのご遺族の心情を思うとき、 私は一日
本人、一神職として皆様にどのようにお詫びしたらよいのか、心か
ら申し訳なく思い、今回の申し立てに加わることに致しました。

           水廼舎/久保憲一
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