6407.米国の戦略は大国間共謀に



月曜日有料版0章途中までをお送りします。 

米国の関税が確定したが、この交渉を見ると、大国間共謀になって
いる。ライバル国に優しく、温厚な同盟国や近隣諸国をいたぶる路
線へ変化した。この内容と今後を検討しよう。  津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2024年12月4日45,014ドルの史上最高値更新、2025年8月1日は43,588
ドルで、4日は585ドル高の44,173ドル、5日は61ドル安の44,111ドル
、6日は81ドル高の44,193ドル、7日は224ドル安の43,968ドル、8日
は206ドル高の44,175ドル。

先週、株価は600ドルの上昇。8月1日の雇用統計で、9月の利下げを
折り込まれて、NASDAQとSP500が大きく上昇したが、NYダウも上昇
したが、上昇が少ない。

これは既存業種の企業の業績は落ちている。巨大IT企業だけが業績
を伸ばしているが、今年に入ってからの解雇発表は806,383件で、金
融危機以来2番目に多い。株式市場には、米国への巨大な投資と9月
の利下げ観測が、良い影響を与えているようだ。

それと、トランプ氏が401(K)で暗号通貨を購入することを許可した
ことで、その関連銘柄の上昇も起きることになる。新しい薪を景気
維持のために投入し続けている。

また、トランプ氏は、企業の意思決定に介入ためらわないようだ。
コカコーラにサトウキビ由来の砂糖使用を要求し、NFLの「ワシント
ン・コマンダーズ」にチーム名変更を迫り、インテルのCEOの辞任も
要求などであり、皇帝気分で、本当に米帝国になってきた。

トランプ氏は、インドにロシア産原油を購入しているとして、25%の
関税を上乗せして、関税50%とした。これに対して、モディ印首相は
不満を表明し、米国もロシアからウランを買っているのに、インド
だけを問題視するのはフェアーではないという。トランプ氏は、米
国のウラン購入を知らないから問題視しないという。

そして、トランプ氏は、中国にもロシアから原油を買ているので、
懲罰関税をかけると思いきや、中国への関税増加をしていない。中
国が、レアアースを武器に交渉するので、米国も中国に融和的な対
応をするしかない状態であり、ロシアへの制裁がバラバラな対応に
なっている。

一番おかしいのは、ブラジルに対する50%関税であり、トランプ氏の
お気に召さない国には、懲罰関税をかけるようだ。米国の関税には
法則がなく、トランプ氏の恣意的な部分が大きい。スイスやカナダ
も同じだ。日本やEU、韓国に対しても厳しい。

このため、インドは中国と仲直りをし、BRICS諸国の結束を強化する
ことになる。BRICSとは、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフ
リカであり、それにトルコやイラン、インドネシアなども入り、こ
こが貿易面でも結束することになりそうだ。このBRICSを中心に貿易
協定ができる可能性が高まったようだ。反米組織にもなる可能性が
出ている。

このため、米国、豪州、日本、インドのクワッド軍事協定が崩壊す
ることになる。戦略的な構想を米国はどう描いているのは、見えな
い状態になっている。経済と軍事は繋がっていることをトランプ氏
は無視している。対中共同戦線が崩壊したようだ。

それと、トランプ氏は、中南米に対し厳しい姿勢を強め、麻薬カル
テル対策として軍事力の行使も辞さない構えである。メキシコ外務
省は8日、自国領内への米軍配備を「受け入れない」と述べた。この
ように、中南米諸国の了解がないと、戦争が起きることを意味する。

すると、中国が仲介する必要になる。この面からもBRICSが強化され
る。中国が前面に出てきて、米国の横暴で、中国が台頭する可能性
が出てきた。

ということで、関税を武器にした外交は、「大国間共謀(great power
 collusion) 」であり、ライバルとの競争から、温厚な同盟諸国や
近隣諸国をいたぶる路線へ変化したようだ。

以後は有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争の動向と世界情勢



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