6391.日米交渉で激突か



月曜日有料版0章途中までをお送りします。

日本と米国の関税交渉が始まったが、双方の主張が大きく違い、交
渉は難しいようである。それを検討しよう。  津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2024年12月4日45,014ドルの史上最高値更新、2025年4月25日は
40,113ドルで、28日は114ドル高の40,227ドル、29日は300ドル高の
40,527ドル、30日は141ドル高の40,669ドル、5月1日は83ドル高の
40,752ドル、2日は564ドル高の41,317ドル。

先週、株価は1200の上昇。トランプ氏の過激発言もなく、関税交渉
も続いていることと、中国とも関税交渉に入る可能性があるという
ことで、1週間連騰した。しかし、1Qの経済成長はマイナス0.3%とな
ったが、雇用統計で4月米非農業部門雇用者数が17.7万人増で、予想
13.8万人増より強く、NYダウは上昇した。このため、関税問題は折
り込まれたようにも見える。

しかし、この雇用統計が強いので、景気後退とは言えず、5月のFRB
の利下げは期待できないようだ。

中国からの小荷物の関税免除もなくなり、中国SHEINは、米国での売
価を最大377%値上げした。また、ロサンゼルス港のコンテナ取扱量
が、急減し前月に比べて30%減になっている。

というように、今後は、関税による貿易の縮小で、景気後退が起き
るかどうかに焦点が移っているように見える。

米玩具メーカーは、1980年代から製造を中国に移してきたことで、
トランプ関税で危機に直面している。倒産の懸念も出てきたが、米
国に工場を戻すこともできない。賃金が高すぎることで、コストが
掛かりすぎるためである。

このため、トランプ支持も同時期の歴代大統領の中で最低水準にな
り、ワシントン・ポストは39%、NYタイムズは42%であり、これにト
ランプ氏も「彼らは病気で、まさに国民の敵だ!」という。しかし
、何かしかの対応が必要になってきた。

このため、どうも米国から中国に交渉を持ちかけたようである。中
国も米国との交渉を検討し、フェンタニルの米国への輸出を制限す
るようである。145%関税は、フェンタニル麻薬での関税であり、こ
の問題が解決すれば、50%以下の関税になる。

一方、中国での世界最大級の雑貨卸売拠点・義烏の越境電子商取引
業界は、壊滅的な打撃を受け、中小企業がすべて営業を停止して、
中国経済はコロナ禍よりも景気後退の可能性が出ている。中国政府
も対応を取る必要になっている。

米国も、中国の雑貨などの軽工業を国内に戻すつもりはなく、一刻
も早く、輸入再開する必要になっている。50%関税であれば、中国で
関税コストの吸収が可能とトランプ氏は見ている。または、中国か
らインド・ASEANなどに移す必要になっている。

米国が国内に戻したい工場は、自動車、スマホなどの高級電子製品
や機械産業とその素材である鉄鋼・アルミなどのある程度付加価値
のある産業で、衣類や雑貨は国内回帰を考えていない。

このため、日欧が得意をする分野が、米国が国内に戻したい工場と
なり、日米交渉も米欧交渉も難しいことになるが、5月2日の赤沢担
当大臣とベッセント財務長官の交渉でも、自動車と鉄鋼・アルミの
関税交渉はしないという。この関税は25%のままである。

このため、日本からの輸出のほとんどが、交渉できないことになり
、石破首相も米自動車追加関税は「絶対にのめない」と言う。

そして、加藤財務相は日本が保有する米国債について、関税交渉の
カードとしてはあると発言した。

米国は日本のメイン商品輸入を拒否するなら、日本も米国への外貨
準備を減らすということである。それより、進んでNISAの米国株投
資を除外すると、円キャリートレードの巻き戻しになり、米国株が
大暴落するが、それはまだ、手の内に取ってあるようだ。

NISAを日本株に限定することで、日本株の値上がりが起きることに
なるが、まだ、それはしないようである。日本株のPERは14倍であり
、米ナスダックのPERは35倍、NYダウのPERは25倍であり、大きく違
う。

トランプ政権は、自動車船の入港料を大幅に値上げして、輸入車の
負担を大きくし、かつ、自動車部品の輸入に対しては、完成車生産
用部品に輸入関税を2年間一定限度の免除枠を設けるという。

以後は有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争推移
3.中東情勢・印パ情勢


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