ウクライナ戦争とともに、米国、中国の経済状態がおかしくなり、 世界が混沌とした状態に向かっている。日本の幕末のような雰囲気 になってきた。この現状と今後の検討をしよう。 津田より 0.米国と世界の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、 2022年1月4日に36,799ドルと最高値更新となり、2022年10月10日は 29,202ドルで安値となり、2023年9月1日は34,837ドルで、5日は195 ドル安の34,641ドル、6日は198ドル安の34,443ドル、7日は57ドル高 の34,500ドル、8日は75ドル高の34,576ドル。 先週、株価は下落した。中国がiPhoneの庁内使用を政府職員に禁止 するという報道で、アップル株が大幅な下落に伴い、全体の株価も 下げた。 アップルの時価総額は458兆円であり、株価が6.4%下落して、時価総 額が28兆円の減少になっている。アップルの中国での売り上げ規模 は全体の19.3%もあり、影響は大きい。 また、中国のファーウェイは、中国SMICの半導体を利用した5Gスマ ホを販売開始した。このスマホができたことで、米国製スマホの使 用を禁止しても、影響が少ないと判断したようである。 このため、エヌビデアなど半導体株全体に影響が出ている。 ということで、米国の中国経済制裁は裏目に出ている。中国は自立 自供の政策で、どんどん、最先端分野の製品や機械を開発して、制 裁を潜り抜けている。 この影響はテスラにも出ている。中国での販売がBYDに抜かれて、中 国で販売数が2位になっている。高価格の維持できずに、値下げもし ているが、同等の性能であれば、BYDの方が安い。 1.日本の状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 日経平均株価は、コロナで2020年3月19日に16,358円まで下げ、2021 年9月14日に30,670円で31年ぶりの高値になり、2022年3月9日は 24,717円の底値になり、7月3日は33,753円とバブル崩壊後高値とな り、9月1日は32,721円で、4日は228円高の32,939円、5日は97円高の 33,036円、6日は204円高の33,241円、7日は249円安の32,991円、8日 は384円安の32,606円。 先週、株価は下落した。特に週後半に大幅な下落となった。特にア ップル株の下落に連動して、半導体株の下落が大きかった。 この上に、4-6月期の実質国内総生産GDP改定値は、前期比年率で4.8 %増(市場予想5.6%増)、前期比では1.2%増(同1.4%増)と、速 報値の6.0%増、1.5%増から下方修正された。 設備投資は前期比1.0%減(市場予想0.7%減)と、速報値の横ばい から引き下げられた。個人消費は速報値(0.5%減)をわずかに下回 る0.6%減だった。 下方修正の原因は、足元で外需の伸びが弱いことで、自動車とイン バウンド絡みは底堅いが、それ以外が世界経済の減速に伴って動き が慎重になっているようである。 しかし、中国現地メディアは「日本への旅行客のキャンセル続出」 と報じるが、日本国内の旅行会社は「影響はあまり感じていない」 という。厳格に統制された現地メディアは、中国政府の政治的な意 図を受け、影響を過大に喧伝しているようだ。 このため、今後の中国からのインバウンドが、外需と内需の落込み をどこまでカバーするかで、経済成長率を決めるようだ。 それと、今年1-8月の倒産件数は前年同期比37%増え、8月は54%増と なった。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の特例措置が切 れて、その返済が必要になり倒産する企業が増えた。 世界経済の減衰と歩調を合わせて、日本経済も縮小する可能性があ り、落ち込みをカバーできるのは、インバウンドだけであり、どう 世界の富裕層に来てもらい、日本の良さをアピールできるかであろ う。 2.ウクライナ戦争の推移 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ウ軍は、ロ軍のロボティネ付近の第1防衛線を突破して、ベルボベの 街に入ったようであるが、ロ軍はクピャンスク方面にいた第41連合 軍と、バフムト方面にいた第76空挺師団を南部の第1、第2防衛線に 投入するようである。 解任されたロ軍のポポフ司令官が、「予備もなく、休憩もできない ロ軍将兵はくたびれている。ウ軍の攻勢を守ることは難しい」と言 っていたことが現実になっている。 ロ軍に予備兵力がなく、前線を突破されると、逆襲ができず後退し ているが、ロ空軍が、ウ軍後方への空爆を行うしかない。 ロ軍は北東部で攻撃を行い、南部戦線では防御という戦略をとり、 ウ軍は北東部で防御し、南部で攻撃をする戦略あったが、ロ軍は、 北東部での攻撃部隊を南部に転用することになり、全方向で防御と なって、戦略的な負けの状況になったということである。 ウ軍は、バフムト方面とオリヒウ軸の両方で攻勢に出ている。 ・クピャンスク方面 第41連合軍を引き抜かれて、ほとんど攻撃できない状態になている。 それでも、ロ軍はシンキウカに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。 ロ軍は地上攻撃はできないため、ロ軍は航空優勢であることで、空 爆をシンキウカやコトリャリウカなどに行っている。 ・スバトバ方面 ロ軍は、地上攻撃でゼレベツ川渡河に成功して西進してノボイエホリ フカまで到達したが、そこでウ軍に止められた。ロ軍が攻勢に出て成 功しているのは、ここだけである。 ウ軍は高台まで後退して、高台からロ軍の攻撃を観察して、砲撃を加 えている。 ・バフムト方面 北西では、ウ軍はザリズニャンスケに攻撃して、ロ軍はザリズニャ ンスケから撤退したという情報が流れている。 南側では、ウ軍はクリシチーウカで攻撃を続けているが、それを阻 止しようと、ロ軍も攻撃して戦闘になったが、ウ軍はロ軍に大きな 損害を与えて撃退した。その後、ウ軍はクリシチーウカの掃討を行 っている。 ウ軍は、アンドリーイウカ全域をウ軍砲兵隊の火力管制下にあるの で、ロ軍部隊への補給や援軍を送っても砲撃で破壊されている。 しかし、まだ、アンドリーイウカの街の一部にロ軍が残っているよ うだ。 ウ軍は砲兵戦で、ロ軍砲兵に勝っている。対砲レーダの性能が良い ことと、ロ軍砲の射程距離が25km程度であるが、ウ軍砲は、長射程 弾を使えば射程距離40km程度であり、かつ、クラスター弾を使うと 精度を少し甘くても破壊できる。それと、補給路や弾薬庫のGMLRS攻 撃で、弾薬が砲兵隊に補給されないこともある。 もう1つ、ウ軍の火砲ソフトウエアの進化で、設定・発射まで数十 秒ででき、ロ軍砲兵隊が砲撃後の移動する前に砲撃が可能になって いるということである。 ウ軍は、既存兵力を使い、バフムトで攻勢を強めている。ロ軍は南 部に精鋭部隊を回したが、ロ軍の状況は厳しい状況になっている。 ・ザポリージャ州方面 1.ベルカノボシルカ軸 東では、ノボドネツク、ノボマヨルシケ、シェフチェンコに攻撃を 開始した。この方面のロ軍の布陣が弱いと見たようである。数週間 も偵察部隊を出して、探っていたからである。そして、ノボマヨル シケの市街にウ軍が突入し、最初の建物を奪取した。この地域の防 衛を行うロ軍部隊からは悲鳴が出ている。 中央では、ウ軍は、ザビトネ・バジャンニャを攻撃しているが、ロ 軍も抵抗して、ウ軍は前進できないでいる。 逆にプリュトネ周辺では、ロ軍が反撃して、支配地を広げて、ウ軍 は後退して、再編になっている。 2.オリヒウ軸 ウ軍は、ロボティネの南ノボプロコピウカを攻撃している。このノ ボプロコピウカからトクマクの間に、ロ軍の中では最強な第72空挺 師団を入れて、防衛しているが、開戦当初のキーウ攻防からバフム ト攻防戦などに投入されて、再編を繰り返しているので、どこまで 強いかは分からない。ジワジワとウ軍は前進している。 このウ軍のロボティネの攻略が成功した理由は、戦術を変更して、 より小さなグループに分かれて前進を試みた結果であり、大量のレ パルト2戦車を使っていない。Ka-52ヘリの攻撃をかわすにも小グル ープの方が良いという。 もう1つが、ロ軍砲兵を制圧し砲撃がなくなり、工兵が地雷原を処 理できるようになり、小グループの歩兵が毎日少しずつ前進してい るからである。 このノボプロコピウカを攻撃するウ軍に対して、ロ軍は攻撃を仕掛 けたが、撃退されている。ウ軍は、トクマクから23kmの位置にいる 。このため、砲撃をトクマクに行えることになる。鉄道での補給は 完全に止まっている。 ウ軍の主力は、ロボティネの東、ベルボベ方向に前進して、第1防衛 線を突破して、ベルボベの北西で市街の入口付近を確保して、徐々 に支配地を拡大している。 東部から第41連合軍を南部に移動させるとして、やっと到着したよ うである。トクマクの街を守る第2、第3防衛線に投入するようであ る。現時点でもロ軍は、第2防衛線で塹壕を掘り続け、新たな地雷原 を作って、防衛体制を強化しているようだ。しかし、ウ軍榴弾砲の 砲撃の中の作業であり、どれほどのスピードで構築できるかが、問 題である。 それと、ウ軍は、ノボプロコピウカの東の166高地のロ軍を攻撃して いるが、戦車壕と竜の歯を越えた当たりで、ロ軍の激しい抵抗があ り、戦闘中である。 更に東のノボポクロウカ方向にウ軍は前進していたが、市街戦での ロ軍の抵抗が激しく、前進できなくなっている。 ロ軍もオリヒウ軸には空挺師団を配置し、兵員の質が違い、激しい 抵抗をしているが、逆に言うと、その抵抗を押さえるとロ軍の崩壊 が始まるようである。 この後には、第41連合軍部隊が防衛であり、ベラルーシで訓練され た部隊であり、それほどの練度はない。7月から8月にかけて、ベラ ルーシに駐留していたロ軍兵士の数が激減したが、この部隊が第41 連合軍部隊であり、規模は11,000人程度であろう。 そして、ロ軍の兵力配置は、南部全体で均一ではないようで、ロ軍 の弱い所をウ軍は探すために、偵察部隊を送り、ドローンでの偵察 を繰り返している。 ・ヘルソン州方面 ウ軍はアントノフスキー橋、コザチ・ラヘリ、ピシチャニウカの橋 頭保の拡大に着手している。 ・その他方面 ロシア南部ロストフ州ロストフナドヌーにある第58連合軍とロ軍総 合軍司令センタ近くで7日、ドローン攻撃があり、爆発が起きた。 モスクワでは、連邦関税局のビルでドローンが突入して火災が発生 しているし、ジューコフスキー空港付近でも爆発があり、高層ビル の窓ガラスが割れて、地上に降り注いだ。 ブリャンスクでも2日間、大きな爆発があり、電子部品工場で火災が 発生している。両日ともにドローン攻撃であろう。 このようなドローン攻撃であり、かつ電子戦耐性のドローン攻撃で あり、物理的な破壊が必要となり、とうとう、ロ軍は戦闘ヘリによ る自爆ドローン迎撃部隊を編成したようである。 逆に、ロ軍は、8日未明と朝に自爆型無人機とミサイルで攻撃した。 南部ドニプロペトロウシク州クリヴィー・リフでは、8日朝の砲撃 により、25人の負傷者が判明している。 ロ軍は9月6〜7日夜、スームィ州とオデーサ州の穀物インフラを33機 のシャヘド136/131ドローンで攻撃し、ウ軍は、うち25機撃墜したと いう。 穀物輸出に関しては、ドナウ川からルーマニア経由で輸出するよう であるが、その民間船への攻撃を抑止するために、英空軍は黒海上 空をパトロールしている。 ・ウクライナの状況 ブリンケン米国務長官は、キーウを訪問して、9月19日に国連総会に 出席するゼレンスキー大統領と会談をして、汚職問題への対応を確 認した後、「制裁を受けたロシア人オリガルヒから没収した資産を 米国は初めてウクライナに譲渡する」とした。 それと、総額10億ドルの支援を行うと表明したが、その内容はクラ スター弾などの弾薬類が多く、かつ劣化ウラン弾の提供もするとい う。 この訪問は、米国世論で、米国民の55%がウクライナ支援に反対して いる状態であり、その状況でも米国はウクライナを支援するという 意思表示であろう。 米国防情報局DIAのトレント・モール分析部長は、「ウ軍は2023年末 までに、ウクライナ南部のロ軍防衛線全体を突破できる現実的な可 能性が出てきた。」という。 米国も早く戦争を終わらせないと、世論の反発が強くなるので、早 期に停戦に持ち込む必要があり、そのために、プーチンが核を使用 しない範囲で最大限の軍事援助をするしかないようである。 このため、G7の米英加と安全保証合意の協議が開始され、日ウでも 安全保証合意の協議を開始することになった。米国が停戦後の安全 保証合意をウクライナに与えて、ロシアの侵略が再度繰り返した場 合には、ウ側に立ち参戦することになる。NATO加盟までの暫定協定 であるが、日本もそれに加わることになる。 そして、ウ軍は、ロ軍第1防衛線で掘り起こした大量の対戦車地雷を ドローンに搭載し、ロ軍陣地に投下して爆発させている。この威力 は大きく、効果がある。ウ軍も最大限の努力をしている。 それと、ウ軍は電子戦兵器で無効化されるドローンの対電子戦耐性 を持ったドローンを開発して、主にモスクワなどへのドローン攻撃 に使用し始めた。いろいろなドローンを開発して、ロシア本土を攻 撃している。 ウ軍は、1200km射程のミサイルも開発中だという。徐々に戦争はロ シアに戻っていくという事実が積み重なっていくことになる。 ・ロシアの状況 ロシアは、現在、ルーブル暴落・兵員不足・兵器不足の三重苦にさ いなまれている。 ロシアは、総動員体制を取らないが、徴兵後1ケ月で契約軍人に切替 え可能にした。これで、春と秋にそれぞれ15万人の徴兵があるが、 年間30万人の兵員を確保できることになるが、9月地方統一選挙後に 2回目の部分動員がある可能性が高い。 ロ軍の前線での兵員不足は、戦線維持ができないほどであり、日々 500名以上の戦死者があり、1月で1万人以上が死んでいる。負傷兵は その数倍あり、前回の部分動員30万人も底をついてきたし、それ以 後20万人が契約兵として登録されたというが、徐々に契約数がすく なくなり、海外からの移民や中央アジア諸国や同盟国での兵員募集 をしているが、これもキーバなどのように、問題視され始めている。 若いキューバ人を騙してロ軍に参加させた人身売買グループの関係 者17人が逮捕されたことで、キーバは、ロシアへ抗議している。 このため、自国民の強制的な動員が必要である。2024年3月以降は、 総動員体制が取れるので、そこまで南部戦線が崩壊しないような部 分動員が必要であり、ショイグ国防相は、9月中旬以降、秘密の動 員を行い、20万人を集めるという。これはあくまでも動員ではなく 、契約兵であるとするようだ。 この動員後に必要なのが、装備と兵器、弾薬であるが、北朝鮮での 軍備生産が頼りになっている。北朝鮮は、経済封鎖下でも軍事物質 の生産を行っている。ここで、弾薬や兵器などを提供してもらい、 その代わりに、北朝鮮が欲しい宇宙衛星技術や原子力潜水艦技術を 提供するようである。この締結をプーチンと金恩正委員長が会談し て決定するようである。 ロシアは、国連の常任理事国であり、北朝鮮への経済制裁などを決 めた国であるが、その制裁処置を失くしてでも兵器や弾薬が必要な のである。 北朝鮮は、ロシアの技術援助で戦術核攻撃潜水艦「第841号」を進 水させている。ロケット技術も大きな進展を遂げている。北朝鮮の 核、軍事技術の発展は無視できないレベルになってきた。 ロ軍がアルバニアから抜けて、アルバニアは、米軍との共同演習に 走り、キーウにもアンナ・ハコビヤン首相夫人が来て、人道援助す るとしたことで、完全に親ロシアから欧米陣営に乗り換えた。 ロ軍はシリアからも撤退して、イスラエルは、反シリア政府武装組 織を再活動させ始めている。ロ軍がいなくなった地域では、紛争が 再発している。ロシアの影響力が減少していることになる。 3.世界の再構築を −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 米国人の70%が家計に心配であると回答し、米国成人の52%が、2020 年3月のコロナ前と比べても経済的心配が増大しているとした。この ため、米国がウクライナなど他国を支援するより、自国民を支援す る方が先であると。これが、ウ軍支援で米国民の55%が反対している 理由だ。 米国は、ホームレスが激増している。カードローンの焦げ付きも増 加して、8月に23件の大型倒産も発生している。金利上昇で住宅ロー ン金利も上昇して、住宅不況にもなる可能性が出ている。 2024年11月大統領選挙では、このような米国の状況であり、トラン プ主義者の当選が考えられる状況になり、欧州を中心にトランプ主 義の米国と、どう付き合うのかの模索がされている。 特に英国は、EUからの離脱で、独自路線を進めることができるよう になり、英国が目を付けたのが、日本である。日英同盟の復活しか ないと、英国側は見ている。このため、TPPにも加盟した。 それと、スナク英首相は、メローニ伊首相を引き込み、行動を共に している。それが日英伊の次期戦闘機開発である。ということで、 イタリアも引き込んだようである。しかし、基本は日英同盟である。 日本は、まだ米国への期待が大きいが、2024年11月以降の世界情勢 は、大きく変化することが、避けられないようである。 しかし、ドイツでも鉱工業生産は3カ月連続の減少で、ユーロ安が進 んでいるなどで、極右政党のAfDの支持率が急上昇している。フラン スでも右翼政党国民連合が支持率を上げている。 マリーヌ・ル・ペン党首時代に穏健化したが、プーチンの影響があ り、2021年9月13日に党首をジョルダン・バルデラ氏にしている。 ドイツもフランスも自国優先主義であり、米トランプ主義者と同じ ような政策になる。 ということで、グローバルな観点で、世界を考える国が少なくなる ことは確実である。 ロシアと中国は、自国優先主義より他国侵略主義の国であり、米独 仏よりも気を付けるべき国である。 そして、この中国の習近平国家主席もプーチンもG20には出席しない で、BRICS+での自陣営構築の方向のようである。この2ケ国は反米で 一致している。 中国もバブル崩壊でデフレであるが、地方政府の政策が違うので、 地域により景況感も違うようである。国民が暴動を起こすことはな い。しかし、海外への投資はできないことで、一帯一路の推進力は 落ちる。発展途上国へのインフラ投資はなくなる。中国の影響力も 落ちてくる。 というように、米中ロともに、世界への影響力が落ちてくる。世界 は、混沌とした状態になり、大変な時代に突入する。世界が日本の 幕末のような雰囲気になっている。 日本は英加豪や北欧諸国と、どのような世界を作るべきかを協議し て、理念を明確にする必要が感じている。 武力での自国拡張主義をもう止めて、経済で自国民を豊かにするこ とや個人の自由を優先した施策を打つことが国として重要であろう という主義を確立することだ。 自国内に閉じこもると、豊かさはあまり増えないので、個人の自由 も制限されることになり、個人の自由が制限されるとイノベーショ ンが起こりにくくなり、豊かさを世界で増強できなくなる。 グローバルな活躍ができる環境の整備と、ローカルな豊かさの調和 が必要なのであろう。優秀な人たちは国境を越えて世界で活躍して 、イノベーションを起こし、普通の人たちは、自分の幸福を実現す るために、地域経済を豊かにするというような社会が必要なのであ ろう。 インドの人たちが、インドを超えて米国で活躍できることは、世界 の発展に寄与していることであり、しかし、米国民が貧しくなると 、その国際的に開かれた環境を破壊することになる。このため、米 国民全体も豊かさを享受する必要がある。 米国は、白人と黒人、南米からの移民など多様な人たちで構成され ているので、どうしても、人種差別などの問題が出ている。 単一や数種の民族国家には、このような問題が出にくい。今までは 欧州全体で、そのような国家体制であったが、移民を積極的に入れ たことで、人種差別的な国家になってしまった。このため、自国優 先主義のような政党が支持されることになる。 この失敗を教訓にして、日本は現地で工場を立てて、現地でそこの 国民を教育して、労働に従事してもらって、その問題をクリアして きた。結果、移民をしなかった。そして、そこの国が豊かになった。 しかし、日本は、少子化によりサービス産業の労働力も不足し、現 地産業が発展して、日本企業を打ち負かし始めたことで、日本も現 地化から国内化が必要になっている。 どうも、現地化と国内化のバランス状態や移民政策の限度などがど こかという課題が、日本企業や日本社会に課せられているようであ る。中庸の概念であろう。現状の問題に対して、何処が最適解かの 見極めが重要なのである。 そのバランス状態の確立が、日本の使命でもあるようだ。MMTも日本 だけが成功して、欧米諸国はインフレになり、金利を上げ、MMTを放 棄することになっている。この成功は、補助金を国民全員に過度に バラまいたか、企業を介して給与を保障して、過度なバラマキをし なかったかの違いである。 このように、欧米は理論が確立すると、過度な政策に陥ることが多 い。地球温暖化の政策でも同様であり、過度な政策が横行する。そ の結果は失敗になる可能性が高くなる。 日本の政策は、徐々にコンセンサスを作り、過度な政策をしない。 このため、日本の政策は保守的だと、欧米諸国からは非難されるが 、中庸の精神で、国民全員の合意を優先した緩やかな政策進行であ り、大きな失敗をしないで済むのである。 今後の世界秩序政策を英加豪とともに北欧、独仏伊などとも一緒に 世界の調和した安定社会をどう作ることが良いのかの協議を重ねて 、米国なき世界の秩序維持システムを構築してほしいものである。 日本が、東洋的な中庸の考え方を世界に実現する時が来たように感 じている。日本が世界の手本となる時代が来たようだ。 さあ、どうなりますか?