5805.トランプの選挙公約はどうしたのか?



トランプの選挙公約が、徐々に退化して、クリントンより富裕層を
喜ばせるようである。

メキシコ国境の壁はフェンスになり、不法移民の強制送還は犯罪者
だけになり、オバマケアの廃止といったが、ほとんどを残し、一部
改正のみになるともいう。

米国が世界の警察を止めて、孤立政策を取るというが、ネオコンが
外交の中心を占める可能性もあると報道されている。世界と関わら
ないということとネオコンとが結びつかない。

まだ、トランプ政権の政策が固まっていないので、評論ができない
ような感じである。株価も徐々に、落ち着いてくるようだ。

しかし、公約のうち、減税は公約通りに行うようである。この減税
は富裕層に恩恵があるが、貧困層には関係がない。年間5万ドル以
下の家庭は所得税なし。

5兆ドルの財政赤字になり、巨額の国債発行で金利は上昇し、イン
フレが起こり、一番困るのが貧困層ということになる。1%が喜び
、99%はより苦難になる。

投資家は、インフレ・ヘッジを行う必要があり、それは今の局面で
は金融株、素材株、工業株などになりますと広瀬隆雄さんは言う。
このため、メガ銀行株が上がっている。

JPモルガンの講演会では、今後は内需株と言っていたが、どうもそ
うではないようだ。

さあ、どうなりますか?

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記事
広瀬隆雄2016年11月14日 19:26
トランプ参上でワシントンDCはプロレス会場と化した! 
代議士の本能をくすぐる究極のディール・メーカーとしてのトラン
プ
ドナルド・トランプが大統領に当選したのは、投資家にとってサプ
ライズでした。

しかし見落としてならないのは、「今回は負ける」と言われていた
上院でも共和党が勝利したという事実です。

これが重要な理由は「大統領+下院+上院が皆、共和党なら、法案
が通りやすい」という稀有な状況が出来上がったからです。

問題は「それで一体、なにをやる?」ということです。

大統領選挙の結果が判明し、未だ一週間も経っていないけど、共和
党は、「手始めに税制改革に着手する」という方向でモメンタムが
ついています。

およそ、税制改革ほど共和党の代議士たちの気持ちをひとつにまと
める議題はありません。

喩えて言えば、プロレスみたいな状況です。

そこでは皆が血潮をたぎらせ、「パフォーマンス」を演じるわけで
す。

それは議員さんたちが最も好むゲームであり、「よそ者」であるト
ランプが共和党のお歴々たちと「こころのきずな(bonding)」を結
ぶ、絶好の機会なのです。

1月にトランプが大統領に就任すると、議員さんたちは絶え間なく大
統領に面会を求めるでしょう。そこでトランプは延々と個々の議員
さんの「大人の事情」を汲み取らなければいけないわけです。

トランプは師匠、ロイ・コーンから交渉術を仕込まれているので、
丁々発止(hustle)は得意中の得意とするところです。実際、昔、
彼が出した本のタイトルも「The Art of the Deal」です。

一方、株式市場の参加者は、減税が大好きです。

いや、もっと有り体にいえば、ウォール街に共和党支持者が多い理
由を突き詰めれば、「共和党は減税してくれるかもしれないから」
ということになります。

共和党がガチで所得税減税に取り組むのは、かれこれ30年ぶりでは
ないでしょうか?

ときならぬワクワク感に市場が包まれている事情とは、つまりそう
いうことです。

さて、今回の減税が実現すると米国連邦政府にとっては5兆ドルもの
減収になると言われています。それが意味するところは債券安であ
り、インフレです。

かつてミルトン・フリードマンやアラン・グリーンスパンの指導教
授だったアーサー・バーンズという経済学者が居ます。

彼はコロンビア大学で学生に対し「諸君、インフレの原因は何だね
?」と聞きます。

誰も答えられないでいると「それは政府がお金を使いすぎることが
原因だ」と喝破します。

つまり均衡財政を実現するガッツが無く、支出を抑制せずに減税に
走る事は、インフレへの道を邁進することに他ならないというわけ
です。

すでに債券市場はこれを敏感に嗅ぎ取って売られています。

すると、我々投資家が考えなければいけないのは「インフレ・ヘッ
ジに適した株」の選別です。それは今の局面では金融株、素材株、
工業株などになります。




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