3283.幣原喜重郎首相と憲法第9条



幣原喜重郎首相と憲法第9条   久保

いささかタイミングを逸した気がするが、3日の憲法記念日に寄せて
ー言申し上げたい。

 『憲法全体は基本的に押し付けだったのに、どうも問題の憲法9
条だけは、占領軍から押し付けられたものではなく、日本の幣原喜
重郎首相の側から持ち出したものらしい。』という評論家・立花隆
らの主張に関し、幣原喜重郎首相の御令息・幣原道太郎獨協大学教
授は「言いたいことも言えず、書きたいことも書けないまま、80
歳の生涯を閉じた父の無念さを知る私にとって、第9条を金科玉条
のごとく考える風潮と、第9条幣原提案説だけは、どうしても我慢
できない」と反論する。

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私自身、幣原喜重郎首相と憲法第9条についての幣原道太郎氏から
の書簡を保持している。

『拝復
(略)
小生 先考喜重郎が天皇を最高戦犯ととして東京裁判付託の人質に
とられ、涙を呑んで受け入れた祖本、総司令部草案を戦後の痴志、
無知な国民が平和と繁栄の生みの親として奉戴し、日米安保の片務
条約に依存しつゞける現状看過するに忍びず、多年に互り亡父雪冤
の戦を戦って来ました。小生の憲法改正に関する所見は、

(ー)現行憲法改正
(ニ)新憲法の制定
(三)明治憲法の復元改正

の三論中、教育勅語復権も加え、(三)を支持していますので(ー)(ニ)
すら至難の戦後の世論に鑑み、祖国回天の至業達成のため、微カを
致し居ります。

神道指令の失効も小生の心願であります。
尊台の御健勝と御健闘を祈り居ります。 敬具

十一月ニ日 幣原道太郎
久保憲一様 

久保憲一


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