生保に関する目次 千代田生命、AIGに譲渡  大正生命、あざみ生命に譲渡
協栄生命、更正特例法申請  千代田生命、更正特例法申請  生保のソルベンシーマージン比率
保険会社の更正手続き  戦後の破綻生保  生損保の「第3分野」解禁

千代田生命、AIGに譲渡

 平成12年10月に更正特例法を申請し、経営破綻した千代田生命保険の更正管財人は平成13年2月23日、支援先に米大手保険のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)を選定したことなどを盛り込んだ更正計画案を東京地裁に提出した。
千代田生命の更正計画案によると、債務超過額は当初予想の343億円の20倍近い、約5950億円になる見通し。正確な債務超過額は3月中旬に決まるが、AIGが支払う「のれん代」と契約者の保険金減額で穴埋する。これに伴い、契約者に予定している運用利回り(予定利率)は現在の4%台から債務超過の金額に応じて1〜1.75%に引き下げられる。「生命保険契約者保護機構」による資金援助は回避されそうだが、保険契約者の負担を大きそう。
大正生命、あざみ生命に譲渡

 平成12年8月に破綻した大正生命保険の保険管理人は、平成13年2月23日、ソフトバンク・ファイナンスと大和生命保険の共同出資会社「あざみ生命」に大正生命の保険契約を引き継ぐと発表した。
 大正生命の予定利率も1.0%に引き下げられ、貯蓄性の高い商品ほど減額幅が大きくなる。例えば、平成3年に20歳の女性が一時払い終身保険に加入したケースだと、支払い保険金の削減幅は最大で89%に達するという。
  あざみ生命は異業種との連携と、インターネットと従来の生保営業を融合させた新業態で従来の生保との差別化を目指し、株式公開も視野に入れている。

協栄生命、更正特例法申請

□ 00/10/20、中堅生保の協栄生命保険が、生保版の会社更正法である更正特例法の適用を東京地裁に申請、経営破綻した。協栄生命の契約件数は約6百万件、負債総額は4兆5297億円。
□ 北米最大の生保プルデンシャル保険との資本提携の道を探ってきたが、条件面で折り合わず断念。千代田生命の破綻が解約の追い討ちをかけ、財務の悪化が深刻化したことから自主再建を断念した。9月末の時点で約45億円の実質的な債務超過に陥っていた。
□ 協栄生命は自衛隊や教職員の市場に強い。これまでの生保破綻と同じようにバブル経済記の高利回り商品の販売が、超低金利時代になり足を引っ張った。保険お支払い利回りが資産の運用利回りを上回る「逆鞘」の額は年間750億円にも達し、財務体質を年々悪化させた。

千代田生命、更正特例法申請

□ 00/10/09朝、突然テレビのニュースで千代田生命の破綻のニュースが流れた。 ニュースの要旨は次のようなものである。
□ 経営不振に陥っていた中堅生保の千代田生命保険は9日、自主再建が困難となり、東京地裁に更正特例法の手続き開始を申し立て、受理された。 負債総額は2兆9366億円で、金融庁によると、今年9月末見込みで343億円の実質債務超過だった。
□ 生保破綻は5社目だが、千代田生命は全国に約150万人(00/03末)の契約者を抱え、保険会社の破綻としては戦後最大。
□ 同社の保険契約についてはテイキつき終身保険の死亡保険金や江料保険の入院給付金は基本的に全額支払われるが、保険契約の解約・転換などは当面停止される。
□ 米山令士社長は、「受け皿」保険会社として米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に支援を要請、交渉中であることを明らかにした。再建へ向けた更正計画は、来年春を目途に策定される見通し。
生保のソルベンシーマージン比率
(2000年3月末)

日  本  1095%
第  一   865%
住  友   675%
明  治   731%
朝  日   732%
安  田   808%
三  井   676%

太  陽  1050%
大  同  1004%
富  国   906%
協  栄   210%
千 代 田   263%
日本団体   425%
東  京   446%

保険会社の更正手続き


1 保険会社が裁判所に手続を申出

2 裁判所では
 ○ 保全処分
    保全管理人選任
    解約などの業務停止
 ○ 更正手続き開始決定
    更正管財人選任
 ○ 更正計画
 ○ 裁判所が計画認可


3 再建計画遂行
 ○ 予定利率引下げ
 ○ 受け皿探し、契約移転
更正特例法とは


 千代田生命保険が申請第1号となった更正特例法は、会社更正法の金融機関版として2000年6月に施行された。手続きを簡素、迅速にして、資産劣化を最小限に食い止めようとする狙いがある。
 更正特例法では、「事業継続は困難」と自ら判断した保険会社が、裁判所に手続き開始を申し立て、裁判所は新規契約や解約受付などの業務停止を含む資産の保全処分を行う。
 手続き開始決定後は、更正管財人を中心に更正計画がつくられ、裁判所の認可が出れば、保険契約の移転先佐賀市や予定利率の引き下げなど、具体的な再建作業を開始する。
ソルベンシーマージン比率


 将来の保険金支払いに充てる準備金などの合計額を、保険金が増大するリスクなどを数値化したもので割り、百分率で表す。数字が大きいほど健全性が高い。
 1,998年3月期決算から公表が義務付けられた。200%を割り込むと、生保を監督する金融超が生保に経営改善計画の提出を命じる「早期是正措置」を発動できる。





千代田生命保険


 1904年創業で、東海銀行と密接な関係がある。バブル期の拡大路線のつけで多額の不良債権がある上、資産運用利回りが予定利率を下回る「逆鞘」が経営を圧迫。
経営の健全性を示すソルベンシーマージン比率が2000年3月期に263%となり、金融当局による早期是正措置発動の目安となる200%近くにまで低下した。2000年3月末の総資産は3兆5000億円で業界12位。従業員数は約1万3000人。


戦後の破綻生保

協 栄 生命 2000/10/20
千代田生命 2000/10/09
大 正 生命 2000年8月
東 邦 生命 1999年6月
第 百 生命 2000年5月
日 産 生命 1997年4月
外資などの傘下に入った生保会社

旧社名 移転・支援先 備考
日本団体生命 仏アクサ 買収
平和生命 米エトナ 買収
ニコス生命 クレディスイス 買収
あおば(日産)生命 仏アルテミス 破綻
東邦生命 GEエジソン 破綻
第百生命 マニュウライフセンチュリー 破綻
協栄生命 米プルデンシャル 破綻
オリコ生命 英プルデンシャル 買収
大正生命 ソフトバンクファイナンス・大和生命 破綻
千代田生命 米AIG 破綻
生損保の「第3分野」解禁 (00/10/12)
金融庁は、外資系保険会社などに限定されている医療保険など「第3分野」商品について、国内生損保 に対しては、来年1月に子会社の販売を解禁、本体の販売は来年7月とする二段階の参入方式を決めた。
日米保険協議の焦点だった第三分野の解禁時期が固まったことで、生損保各社の販売体制整備が本格化し、商品開発な どでの提携の動きも加速しそうだ。ただ、両業界の利害調整に手間取り、本体参入が約半年遅れる形となり、価格競争 による保険料引き下げなどのメリットが顧客に浸透するには時間がかかる見込みだ。
第三分野とは、生命保険(第一分野)と損害保険(第二分野)に含まれない傷害、介護、がん保険などの保険商品を指す。


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