能力値を考える
不定期連載


・・・という程、たいした事は書かないと思いますが・・・。

■高すぎる!? 冒険者の体力点 1998年8月16日

FFのルールでは、キャラクターに【体力点】という能力値が設定される。 いわゆるHP(ヒットポイント)だ。
その初期値は、12+サイコロ2個分。範囲にして14〜24点、 平均的キャラクタは18点〜20点あたりになるハズだ。

これが、実は恐ろしく人間ばなれした数値であると感じている方も多いのではないだろうか?
FFシリーズに登場する "強敵" とされる怪物たちを例に取ってみると・・・ 『火吹山の魔法使い』 に登場する "龍" の体力点が12点(『モンスター事典』のデータでは補強されているが)、 『死のワナの地下迷宮』 の "地底怪獣" が15点。 その他 『モンスター事典』 のデータで体力点14〜24というのは、とんでもない化け物ばかりだ。
冒険者達には、ティラノサウルス以上の強靭な肉体が備わっていることになるのか?

この事態をどう解釈すればいいのか。 そのヒントは、FF各作品ルール説明部分に記されている次の文句。
原体力点は、もともとの体力、また生きのびようとする意志の強さ、やりぬく力と総合的な体調をあらわし、原体力点が高ければ高いほど、長いこともちこたえられるわけです。

怪物たちには、「生きのびようとする意志の強さ、やりぬく力」が欠けているに違いない。 きっとそうだ。あるのは、ただ単に戦いや流血への飢え、あるいは動物的本能、何も考えてないか。
それに対し冒険者たちは、目的意識、冒険への情熱、富と名声に対する欲望、死への恐怖、愛情や友情などから引き出されるパワー ・・・といったモノを持って冒険に望んでいると思われる。 物語の主人公(ヒーロー)とは、えてしてそういうものだ。 ここに、決定的な体力点の差が生じているのかもしれない。

他にも 「病は気から」 とか、 「健全な肉体には、健全な魂がやどる」 なんて言葉を聞くが、いずれも肉体と精神とは、切っても切れない関係であることを言っている。

ついでになぜか思い出したのは、ファミコンゲームの『キャプテン翼』。 知る人ぞ知る、コマンド選択式のRPG風シミュレーション風サッカー風ゲームだ(個人的には結構ハマッた)。
このゲームでは、各登場キャラクタのスタミナを表すパラメータ名が "ガッツ" だった。 キャラクタは試合中に、パス・ドリブル・シュート等の行動を取るたびにこの "ガッツ" を消費していく。 「○○シュート!」 などという必殺技を放つには、さらに大量のガッツを必要とする。 "ガッツ" の足りなくなったキャラは 「クッ、ガッツが足りない!」 という言葉を発し、プレイ不能になるという素敵なシステムだった。
"ガッツ" とは、なんとも熱血スポーツマンガらしいネーミングだが、ここでも肉体と精神力とが結び付けて考えたれていたという例。
余談。「ガッツポーズ」というのは、元ボクサーのガッツ石松が、 現役時代によくとっていたため、その名が付いたという話を人から聞いた(真偽は保障しない)。

ご存知 『ソーサリー』 や 『アドバンスト・ファイティングファンタジー』 では、 体力消費型の魔法システムが採用されている。 これらも、以下の結論の根拠とするには十分な材料だ。

FFにおける [体力点] = [肉体的耐久力] + [精神力]


■運点について思うこと 1998年4月22日

FFのルールでは、キャラクターに【運点】という能力値が設定されている。

仮に、【運点】が高いにもかかわらずサイコロの目に恵まれないため 【運試し】に失敗ばかりしていたとしよう。

果たしてこのキャラクターは運がいいのだろうか?


■技術点とは? 1998年5月9日

FFゲームブックのルールでは、キャラクターに【技術点】が設定されている。

これは、ゲームブックを始めた当初は純粋に【戦闘技術点】だと思っていた。 現に主なFFシリーズのルール説明部分には、次の様に記述されている。

君の原技術点は、剣士としての腕前と戦い全般にどれだけ熟練しているかを表し、高ければ高いほどよいのです。

これはどう解釈しても技術点は【戦闘技術点】ということになろう。 しかし、ゲームブック中では戦闘以外の場面でも、しばしば技術点だめしを行う局面に出くわす。例えば・・・

・体当たりで鍵のかかった扉を打ち破るとき
・錠前を剣で壊すとき
・目標に向かって物を投げつけたりするとき
・重いものを持ち上げるとき
・何らかの危険を回避するとき
etc・・・

などのケースで、サイコロ2個を振って、技術点以下を出せば行為成功、技術点をこえたら行為失敗・・・というやつだ (これらのケースについては、そのうちまとめてみようと思ってたりする)。
TRPGの世界では "能力値の下方ロール" はよくある判定方法であるが、 戦闘技術点だと思っていたパラメータのチェックで、 様々な事象が解決されてしまうのは、しっくりこない。

まあ、技術点は【冒険技術点】である・・・ということで納得してみよう。 TRPG版ファイティング・ファンタジーである『謎かけ盗賊』のルール説明では次の様に記述されていることだし。

技術点は力の強さ、敏捷さ、頭のよさなどを表します。

しかし、これではキャラクターの個性が出なくて、ちょっと寂しいかも。 例えば「戦闘は得意ではないが、それ意外の細かい作業で活躍する冒険者」 や「体を動かすのは苦手だが、知識と機転で問題を切り抜ける冒険者」 というようなキャラクターの再現は難しいだろう。 もっともAFFでは"特殊技能"システムがあり、キャラクターの個性を出せるようにはなっているが、 結局はすべての特殊技能は、たった1つの【技術点】に依存してしまっている。

また、【運だめし】と【技術点だめし】の使い分けも、結構あいまいで難しいところだ。 能動的な行動は【技術点だめし】、受動的行動は【運だめし】で判定する、と言えなくもないが必ずしも明確ではない。 それに【運だめし】を要求される場面でも、冒険者自身の裁量が影響を及ぼすのでは?と思われるケースもある。


以上を踏まえた上で、ルール拡張の方法を考えてみた。

1.技術点(特性値)を複数もたせ、キャラクターの個性を明確にする。

「戦闘系技術点」「移動(運動)系技術点」「盗賊系技術点」「知識系技術点」と目的別に技術点を設け、それぞれ別々に点数を決める方法。
これは「アドバンスト・ファイティング・ファンタジー」上巻の173ページにある【特殊技能リスト】のグループ分けを参考にしてみた。

あるいは「器用度・敏捷性・筋力・生命力・精神力・魅力・知力・直感力」などと、行為判定用の特性値を設定する方法。
従来のFFの "戦闘のための技術点" は「器用度・敏捷性・筋力」の合計値から導き出し、 "体力点" は「生命力・精神力」の合計値から、 "運点" は(ちょいと強引かもしれないが)「魅力・知力・直感力」の合計値から導き出す・・・等とするのがおもしろいかも。

これらは無限に方法が考えられるが 「いかにFFのもつプレイアビリティーを殺さずにルールを拡張して遊ぶか?」という点は十分考慮するべきだとは思う。

2.全ての行為判定は、それぞれに対応した技術点(特性値)チェックで行う。

その場で使える技能を取得している場合は、もちろんそれをプラス要素として判定する。

3.行為判定に失敗したときの救済処置・最終手段として【運だめし】を用いる。


と、こんな感じが結構スマートだと思うんですが、どうでしょうか?



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