チャカ・カーン
チャカ・カーン

一昔前、今のようなR&BがSOULとかブラック・コンテンポラリーとかモータウン・ミュージックとか言われていた70年、80年代、ダイアナ・ロス、アレサ・フランクリンと並んで、黒人音楽の代表するシンガーでした。その後、ホイットニー・ヒューストン、マライヤ・キャリーなどスターが出ていますが、チャカ・カーンはそうした栄光とは別に、本当に才能のある、どんな音楽のジャンルでも歌いこなせるキャパシティを持った人として、私は本物として評価しています。
また、必ずしも品行方正というわけではなく、アル中寸前になったとか、ノイローゼになりかけたとか、色々とスーパースターでありながら挫折というか、ほかの上記のシンガーがそうしたにおいをみじんも感じさせないところからエンターテイメントをしているのに比べて、チャカ・カーンがステージで光を放っている裏に、歌以外では結構すさんだ生活をしているんだなぁと思うと、本当にこの人は歌を歌うことが人生そのものなんだなぁと思うと、なんか好感を持ってしまいます。(今、どうなのかはわからないけれど)
で、ヒットしている音楽は数限りなく、カバー曲でも独自のチャカ・ミュージックにしてしまう独自性が歌声にあります。(「I feel for you」はプリンス、「everywhere」はフリートウッドマックなんだけど、「I feel for you」で、チャッチャッチャッチャッ、チャカカーン!と始まるインパクトやスティヴィ・ワンダーのハーモニカとかアレンジしまくりで有名)
テクノ風な音楽(主にユーロビート)から、ジャズまで歌いこなす音楽性は、随一といってもいいと思います。アレサフランクリンはどちらかといえば、ジャズだし、ドナ・サマーはユーロビートよりだし、他は、R&Bかソウルに当てはまるのに対して、あっ、この歌声はチャカだナァと思わせるそんな存在感もあります。
声の質は重くもなく、軽くもなく声量を固持するわけでもなく、時には母親のように、時にはかわいい女性のように悲しみも嬉しさも表情豊かに歌うチャカ・カーンは、女性ボーカルの中で安心して聴けるはずれのない歌姫です。
そんな中から一枚選べといえば、かなり独断と偏見もあるのだけど、プリンスがレスペクトして全てプロデュースしたアルバム「Come to my house」を勧めます。チャカ・カーンを聴きたいのであれば、とりあえず、ベスト盤とかを聴けば分かるのでそこら辺の中古にいけば買うことが出来ます。しかし、このアルバムは多分、滅多に中古には出回らないでしょう。
ねっとりとした、ファンクやプリンス独特のリズムに乗せて怪しく歌うチャカ・カーンはすごく聴きごたえがあります。1曲目から、すごく面白いリズムとねっとりとした歌が被さり、そのアルバムにかける意気込みが分かるはずです。(プリンスの手がけたアルバムの中でも最高にアルバムです)

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