2024.10
合理的配慮で町を豊かに---ユニバーサルツーリズムが拓く地域の未来
合理的配慮にどう取り組むか(野澤和広)
- 2016年の障害者差別解消法では合理的配慮を規定して公的機関には法的義務とし,民間企業には努力義務とされたが,2024年の改正障害者差別解消法では法的義務とされた.
- 合理的配慮は1973年のアメリカでのリハビリテーション法の施行規則とされる.1990年のいわゆるADA(アメリカ障害者差別禁止法)で明確に定義され,2006年の障害者権利条約に盛り込まれたことで世界各国に広がっていった.日本では2011年の障害者基本法の改正について社会的障壁を取り除くためと言うことで合理的配慮が登場した.
- 対象は個人ではなく企業や団体などの事業者である.しかしあらゆる障害に対応しないと行けないとなると大変であり,合理的配慮が義務にならないのは過度な負担にならない範囲でということになる.かといって何もしないというわけでは無く建設的な対話が求められている.
- 障害者当事者だけではこの合理的配慮への取り組みが難しい.よって福祉に従事している関係者の役割は重要である.福祉の専門知識及び技術を持って福祉サービスを提供する事業者は日頃から障害に関する理解や障害者の人権・権利擁護に関する知識を深めるとともにより高い意識と行動規範を持って障害を理由とする差別を解消するための取り組みを進めていくことが期待される…
- 2000年から地域移行が政策目標とされ2006年の障害者自立支援法から地域生活をするための施策が拡充してきた.そのため交通機関によるバリアフリーが図られるようになっている.障害者の社会的な活動やツーリズムが盛んになっているため,この合理的配慮がますます重要になってきた.
- 民間でも障害者の参加を促すような取り組みが増えると,そうした取り組みをしていないところに比べてアドバンテージが生まれて客数の増加が見込まれる.
移動や観光ニーズの広がりと合理的配慮の提供(佐藤聡)
- アメリカでは旅行に行けば障害者でも普通の人と同じようにギリギリの場所まで行くことが出来る.日本は危ないという理由で途中までしか行けない.
- 日本ではまだまだ駅にしてもホテルにしても障害者への配慮は限定的であり少ない.
- 交通,観光地,宿泊施設,飲食店などでどの程度バリアフリーが進んでいるのか.近年ユニバーサルツーリズム(UT)と言う言葉が流行っているらしい.
- 2023年に旅館業法が改正され,カスタマーズハラスメント対策としてホテルや旅館は迷惑客に対して宿泊が拒否できるようになっている.しかし,障害者への合理的配慮は除外されており,障害を理由に宿泊を拒否することは違法行為である.その中にフロントで筆談を求める,視覚障害者のある人を部屋まで誘導する,車いすで部屋には入れるようにベッドなどの移動を求めることなど…
- こうしたバリアフリーの対策をすることでむしろ宿泊利用者の客層の増加につながりむしろビジネスとしても拡張すると言われている.
私たちに出来ることーユニバーサルツーリズムの動向から(勝野裕子)
- UTは2011年から官公庁が促進事業を開始して,様々なアクターが取り組んでいる.UTは和製英語で,英語ではアクセシブル・ツーリズムという.UTの定義は高齢者や障害者などの有無にかかわらず全ての人が楽しめる旅行とされているが,高齢者や障害者のためのツーリズムと思われている.
- 1964年に東京で初めてオリンピックが開催され同時にパラリンピックも開催された.外国人が選手村で楽しみ,日本の障害者は施設や療養所から往復している格差から障害のある方の社会進出に対する意識が変わるきっかけになった.
- 2020年のパラリンピック大会のレガシーは共生社会の実現.これはユニバーサルデザイン2020関係閣僚閣議でユニバーサルデザイン化された公共施設・交通インフラ,心のバリアフリーの推進を含む,ハードとソフトの両面で共生社会の実現に向けたユニバーサルデザイン2020行動計画が定められた.
- 心のバリアフリーとは,1,障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務である-障害の社会モデル,2.障害のある人や家族への差別を行わない-合理的配慮の不提供を行わない,3.自分とは異なる条件を持つ多様多他者とのコミュニケーションを取る力を養い,全ての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を養う.
レポート
- 兵庫県におけるユニバーサルツーリズム推進のための取り組み(万博にあたって多様な来訪者の受け入れ→UTの推進)
- ユニバーサルツーリズムから考える合理的配慮(障害者の自立支援活動を行っているNPOによるUTの取り組みについて:官民協働)
- 合理的配慮がもたらすユニバーサルな地域づくり(バリアフリー相談窓口による実践)
参考文献