2023.8
市町村社協を知るーこれからも地域福祉の中核であり続けるために
インタビュー 市町村社協を知るーその歩みと核となるもの
- 1983年に市町村社協が法制化されてから40年.1951年に社会福祉事業法が出来て,共同募金と社協が民間組織として位置づけられた.当時は,都道府県には社協があったが,市町村では実態がなくその時は規定されなかった.
- しかしながら共同募金の市町村への配分,高度成長期における市町村での在宅サービスの拡充などがあった.市町村の法制化は,行政が社協に事業やその人件費の予算をつけようとすると何で法的な根拠が無いところにお金を出すのか.とその対応で法制化が必要であった.また住民参加や行政だけでは福祉は不十分である.地域に基礎を置く福祉にという声も法制化に寄与した.またコミュニティオーガナイゼーションという考え方が広まり,市社協においても国庫扶助で専門職をおいてほしいと要望した.
- 市町村にあり,コロナでの生活福祉資金の特例貸付や災害でのボランティアの組織化などに力を注いだ実績が市社協の存在意義を高めている.
- いまは地域共生社会という大きな目標のもとでかなりやることが整理されている.その中で社会福祉法人と社協の連携はますます重要視されている.それは社協をプラットフォームとして組織化をしていくことが求められている.もちろん,住民主体の地域づくりとの両輪で行うべきである.
- 実績が見えやすい事業は予算が付きやすいが,それだけではなくチャレンジするとか地域で活動をしている人たちのサポートをするということも大事であるが,昨今その機能が低下している.またその地域が5年・10年後にどうなるのかという中期的な視点で事業計画を立てていくマネジメントが必要である.
- またお金を出さないと協働も呼びかけても動かない.お金を集めて,それを一緒に使う,良い活動をしている団体に支援すると言うことを本格的に考えるべきである.
座談会 市町村社協を知るー共に地域を支えるために
- 社会福祉法の改正によって仕組みとして動き始めたことで福祉施設を経営する福祉法人と市町村社協の距離が近づいた.
- 1985年に国が福祉ボランティアのまちづくり推進事業で,市町村社協への補助金が一気に膨れあがる.そのおかげで地道にやっていた民間のボランティア協会と市町村社協がコラボするようになり,WiN−WiNの関係になることが出来た.同様に1998年のNPO法も同様に市社協との協働が進んだ要因である.
- ソーシャルワークや福祉事業は税金でまかなうべきであり,自立と言う名の予算カットとは一線を画するべきである.
- ボランティアの組織化には制度的にはお金が付いておらず,また行政の下請的な位置づけになっているのが気になる.また組織間の異動が多く,ノウハウの蓄積にも不安がある.またボランティアセンターの仕事も兼務がほとんどで専任職員がいない.事業費が削減されている.また住民を社会資源として捉えており,主体として捉えるべきである.また事務局長や常務理事が天下りであり,行政よりの事業をそのまま鵜呑みにしているとか,在宅サービスで採算の取れないサービスを市社協で請け負っていて,ちゃんと行政と話し合えていないとか…
- 市民が主体的になることが大切だが,今の社会は市民の顧客意識が強くなり,お客様化社会になっている.現在は地域福祉サービスという面だけ捉えられ,地域住民がそのサービスの顧客になってしまっている.自治会の加入率の低下など顕著である.
- 現状では事務仕事が多く,地域に出て行けないとか財源が非常に厳しくて定期的に職員を採用することが困難である.
- なぜボランティアや募金をしないのかという調査で最も多いのが頼まれなかったからとのこと.それはどのように声をかけるのかということが問われている.
レポート
- 福祉で遠野づくりを目指して
- ともに生きる力を育む地域福祉活動実践
- 福祉施設と連携・協働した一人一人の暮らしを守る取り組み
報告 数値から知る市町村社協の現状
- 全市町村に設置
- 職員数は40年間で8.4倍.ただし非正規雇用率は66%以上.
- 財政規模は平均3億円.収入では介護保険事業・障害福祉サービスによる収益で全体の40%を締める.人件費は73%弱である.
- 住民主体の地域福祉活動は8.7万箇所のふれあい・いきいきサロン
- 約6割がコミュニティソーシャルワーカーを配置している.ただし専任での配置は11%強である.
- 約4割が困窮者への相談支援を実施.またコロナ特例貸付には382万件に他雄牛,日常生活自立支援議場利用者は5.6万人,約3割で法人後見を受任.
- 約6割で訪問介護事業を実施し,やく9割にボランティアセンター機能があり,災害対応や被災地支援を行っている.