2023.4.
協働ですすめるソーシャルワーカー養成
ソーシャルワークは当事者の顔をしているか,当事者からの言葉で語られているか(空閑浩人)
- ソーシャルワーク(以下,SW)はその時代や社会状況の中で生きる人々とその生活に関わる営みである.よって,今の時代の中でSWはなにが求められているかという問いから見出されるべきである.
- 支援困難ケースと括られる人々の立場に立てば,専門家はうるさいと思われているかもしれない.医療でも教育でも福祉でも,定義権は常に専門職の側にあった.
- 支援というのは,しばしば人と人の間に線を引き,人を何らかのカテゴリーに押し込み,支援者ー被支援者という立場を固定化させる.支援する立場の人が生活のこと場から乖離して社会的役割から物を言っても,それは相手が変化していく力にはつながりにくい.
- 2021年にSWとPSWの新カリキュラムがスタートした.そこでは相談援助からソーシャルワークとなったこと.
- SWは人々の尊厳や権利が侵されている状況に徹底して抗い,そこで暮らす誰もが,尊厳や権利が守られる権利や社会づくりに向けて機能しないといけない.
- これから踏むべき技術的段取りは,さしあたって,科学的な実践語言語をその出生の地に,日々の生活に帰してやること.
- 当事者を単なる支援の対象として他者に追いやるのでは無く,支援者がともに歩むべきかけがえのない他者としての認識に上で,連帯の関係を築いていくその過程こそが,その時代に求められるSWの専門性,そして支援の可能性を拓くと考える.
- 連帯や協働によるSWが大事だといくら言っても,そもそも当事者や地域の人々がSWerを信頼し,一緒にいたいと思わなければ,連帯も協働も成り立たない.人々に拓かれた知識や方法とその実践がと求められる.
座談会 SWer養成における実習強化の意義と必要な対応
- 社会福祉士の新カリキュラムでは地域共生社会の実現に向けた取り組みが求められることから「地域福祉と包括的支援体制」という科目が新たに設けられている.
- また実習も180時間から240時間に拡充し,それに伴い1箇所から2箇所への実習が求められた.
- 背景には,現在の地域課題の複雑・多様化があるといえる.
- 自治体レベルの重層的な支援に必要なプラットフォームを作るとか,既存の組織をアップデートするとかそうしたデザインやブルダーとしての役割をSWが担う必要がある.
- 子どもに福祉の魅力を伝えて誰でも優しいまちづくり.
- 社協として取り組んできた過疎地におけるまちづくり.
- 講義,演習,実習が双方向の関係になる学修循環.
- 社会福祉法人改革では地域における公益的な取り組みが責務化された.制度の枠組みでは解決できない地域課題には,時には他法人との連携を行い積極的に取り組んでいます.新しい社会資源を開発するプロセスや地域住民を巻き込むための交渉スキルや促進能力など実習を通じて実践能力を習得することを意識しなくてはならない.
- 現職のSWも学び直しが必要であり,また養成校を卒業してからも学びの循環が求められているのではないか.
- 実習先を二つ以上となれば,前半と後半でのバトンタッチや情報の共有なども出来ればいいと思う.
- 実習を受け入れることで,人材のアップデートにも活用できる可能性があるという観点から組織的にもメリットはあると思う.また実習を通じて,学生がやりがいを感じて福祉人材として定着することも期待できる.
子ども家庭福祉分野のソーシャルワークにおいて現状をどの用の捉えるか(栗原直樹)
- 長らく子ども家庭福祉は親子や家族に対する支援という認識が長くあり子ども本人中心からはじめる支援のあり方の視点は乏しかった.
- しかし,これまで子ども家庭福祉のSWとは制度を当てはめるだけという批判されてきた.生活困窮→生活保護受給,子どもが知的障害→療育手帳の交付の説明だけとか.
- 虐待対応においては,法的対応は児相という行政機関の通常業務である.重要なのは,親政をするという機関決定と決定後の展開をどこまで想定して家裁に説明できるか.そして子どもの成長を支える実践の進行管理を行うことができるか.それが子ども家庭福祉SWの担う業務である.
- しかし,児相には児童福祉司が半数とか専門性が低いためOJTがうまく機能しないことがある.
- 相談種別は大人の側が便宜的に分けているだけで,本人は要保護児童であるとか知的障害児であると言った認識は無い.
文献