2023.1

社会保障の行方ｰ「全世代型社会保障」を新に実現するために

てい談 「全世代型社会保障」が目指すものと実現のために必要な事

• 自民党→民主党→自民党と政権交代があった中で議論された社会保障のあり方．四つの柱があり，1)普遍主義，2)支えあいの支援，3)未来への投資，4)負担と給付の対応関係．全世代型と言われながらも社会保障の充実ではなく，切り下げの民脈で使われる展開もある．
• 現状，少子高齢化と孤立/困窮の問題がより進展し，また財源でも防衛費を2％あげるという議論の中でそれだけでは増税できないから，社会保障も…といういつもの文脈で使われている．
• 子育て世代や就職氷河期世代の困窮など制度のはざまにある人々がコロナ禍で見事に浮き彫りになった．
• 全世代型社会保障が目指すものは，給付と負担をセットで考えること．また社会保障の問題は，経済成長と財政再建，そして社会保障の維持・強化を一体で考えることである．
• 現在，格差が拡大して，また政治も左や右に偏りすぎている．社会保障の役割は広がっている格差を縮め，中間層を守ることである．それは民主主義を守ることでもある．そして政治，社会，経済の安定化につながることである．分配のゆがみがある．1300兆円の財政赤字の一方で，企業は500兆の内部留保，特定の高齢者層に偏る1千数百兆円のストックがある．そして企業も高齢者も成長のために投資をしようとする意欲が全体的に低い状態である．
• 政治家は都合の悪い話は聞きたくなく，負担には目をつぶり，給付ばかりをする．
• 社会全体が良くなることで前進していくこと．それが社会保障の役割である．
• 伴走型支援とか地域包括ケアシステムとか地域共生社会，新しい居場所など制度の狭間を含めた社会的包摂策が登場していることを解説．
• 構築会議では，子ども・子育て支援，勤労者皆保険，医療介護制度の三つの作業チームを立ち上げて，年内には報告書をまとめることになっている．中でも勤労者皆保険は，いわゆるパートなどの非正規では社会保険に加入していない人が多く，適用を図ることで格差の問題が解決される．その時にはDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め，所得捕捉が出来るようになり，所得比例で保険料を決める仕組みが出来る．

論点1 女性のキャリア支援 武石惠美子

論点2 いま改めて相談支援のあり方を問い直す 朝比奈ミカ

論点3 リスクを分かち合いともに生きる幸福を作る居住支援 石川久仁子

論点4 全世代型社会保障の構築に向けて社会福祉法人が取り組むべき事 久木元 司

論点5 地域の持続可能性を高めるために 川北秀人

論点6 全世代型社会保障構築会議の議論の中間整理から考える社会保障制度改革 駒村康平

てい談

前田正子 自治体の子育て支援策と少子化・人口減の実情について | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390009224824237440

香取照幸 分配政策と財政 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390577618925303296

武石惠美子 女性の活躍推進と働き方改革」 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050007082697687808

朝比奈ミカ 総合相談の実践から「社会福祉の総合化」を考える | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001288044896256

石川久仁子 大阪の社会福祉法人による居住支援の現状と課題 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390300611760587520

博士論文：「複合的不利地域」におけるコミュニティ実践に関する研究 : 京都・東九条を中心に | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1110564260132441472?

駒村康平 中間層の現状と未来 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390016427484720896

全世代型社会保障構築会議 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/index.html