2022.8
地域における公益的な取り組みを広げ深める
座談会 「地域における公的的な取り組み」を広げ深めるために欠かせないこと
- 社会福祉法人改革(2016)により,非営利・公益性の高い事業への取り組みが求められた.それから5年がたったが,実施状況は65%となっている.
- 簡単に言って,地域に根ざした活動とか制度のすき間への対応とか,要するに介護保険とか障害者など加算や報酬を得るサービス提供以外のことを指している.あるいは社協や他の法人との連携でネットワークを構築するなど…
- 公益的な取り組みをすることで,施設内で完結していることが外に視点を移すことが出来,そのSW的な感性を施設のサービスに取り入れるなど質の向上が図られることが出来る.
- また連携する中で最初は意味があるのかなど懐疑的なところもある.しかし,今後どうなる変わらないけれど集まってみようと,成果と急ぐよりも話し合っていくことを大切にした.ネットワークを作るときは,中核となる組織の選定,見える化,アウトリーチが大事である.
- 各種企業からの協賛金でネットワークを維持しているところもある.企業としては,地域住民のニーズやコネクション,あるいは人脈づくりのメリットがあると感じられ,最近は金融機関の参加も増えているとか.
- 生活困窮者への支援として公益的な取り組みがとても期待されている.困窮者は生保受給というだけではなく,生きづらさが根底にあり,障害者分野のノウハウは活かされると思う.また一時金や緊急的な住居の提供などは連携している社会福祉法人が拠出して原資となっていることがある.
- 公益的な取り組みをすることで施設の知名度も上がる.また職員も自己有用感が生まれ,職業意識の向上をもたらし,事業所の機能も向上させることが出来る.また人材確保にもつながるとのこと.
- もともと社会福祉事業は公益的なとりくみであったし,柔軟性や地域密着力が高かった.社会福祉法人はその原点に帰って,チェンジメーカー然とした心意気や行動力を持つべきである.
- 社会福祉法人はこうした地域の課題に対して,資金のみならず,人的,物的,様々な資源の一部を地域に再投下して,社会の仕組みを変えていく社会改革を担っている存在だという評価を得ることを最終的な目標にしてほしいと思う.
レポート
- 市区町村社協を中核とした法人間連携(フードバンク,社会資源ガイドなど)シェア板橋
- 豪雨災害の被災地を多団体連携で支える(災害ボラセンターとの連携など)
- 制度の狭間にある課題への対応(フリースペース)
- 社会参加・就労支援の取り組み(生活困窮者などの雇用)
- 困窮者への住まいの提供(無料低額宿泊所)
備考
いわゆる公益性の高い事業を行う組織,NPOなどと同じように社会福祉法人はサードセクターと言われる.しかしその一方で,企業の社会貢献≒社会的企業や公共セクターとの境界も曖昧になっていると言われる.
社会福祉法人におけるサードセクターは主に税の優遇を受けている割に,公共の取り組み,社会的な貢献事業を行っていないことが批判されている.しかし,そもそもサードセクターとは国家においてどのような位置づけにあるのかという議論が他の分野で行われている大きな議題でもある.
災害時におけるサードセクターの役割に関する一考察 東日本大震災での事例をもとに | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390855267554453376?lang=ja #CiNii
政府とサードセクター関係における制度主義の意義── カテゴリ編成、期待の創出、ルールの設定── | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050287750862813952?lang=ja #CiNii
社会福祉法人改革と地域福祉 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390582154177131776?lang=ja #CiNii