2022.5
子どもを中心においた支援を実現するために
論点が
- 子どもの権利を守る
- 貧困家庭の子どもに私が出来ること
- 障害のある子どもとともに育つ
- 民間で支える子どもホスピス
- 「非行のある少年」の社会復帰を支援する.
- 社会的養護施設退所者を支えるために
- 被虐待児を守る
- 子どもの健やかな育ちの保障〜保育が持つ可能性と課題を考える.
であった.このように多岐の問題について取り扱っているので,それを一つ一つ論じるのは省略.特集の視点にあるように,日本が子どもの権利条約に批准して20年以上が経過.2016年に児童福祉法の中に子どもの権利や最善の利益という言葉が盛り込まれた.2021年,2023年度のできる限り早期に子ども家庭庁を創設するとの方針を発表した.私たちは今ようやく子どもを主語(主体)とした社会の実現に向けて動き始めようとしている.
こどもまんなか社会を実現する上で,軸となる子どもの権利について再考している…という内容になっている.
参考文献
2の論者(岡本拡子さんの共同研究)
世帯の経済状況と小中学生の食生活・教育状況との関連:大泉町子どもの生活実態調査(2016) | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1390575351691838080
6の論者(谷口純世さんの論文)
子どもの語りからみる社会的養護で育つということ | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050577354309425024
社会的養護を要する子ども・若者を守る支援の現状と課題 | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050010457773045888
てい談 子どもを仲人に置いた社会を作る上で必要なこととは
- 2020年からコロナ禍による重大な影響を受け,2021年の出生数は過去最低になる,また一斉休校,登校自粛,テレワークなどで子ども家庭にひずみが凝縮される.児童虐待や配偶者虐待,アウトリーチの制限などで潜在化してしまった.
- 児童虐待でも,神奈川県の児童相談所で把握していたにも無くなってしまった事件があった.2023年に子ども家庭庁の創設が予定されている.子どもを18歳までとするのではなく,自立して円滑に社会生活を送るまでの成長過程として捉えることが謳われている.
- しかし,子どもを中心に据えると言っても,地域共生社会を目指す中で,高齢者も子どもの問題も地域でどう捉えるかという地域課題がある.また全世代型社会保障が目指される中で,子ども政策への投資は現在投資だけではなく,未来投資であるという理解が共有されるか疑問である.
- こども家庭庁という場合の家庭とは,従来の近代家族のままではなく,こどもの権利を尊重するための家庭という発想である.
- 審議会児童部会社会的養育専門委員会の報告書では,こども家庭支援について,切れ目のない支援を目指し,地域にかかりつけの相談機関を設置する,各種の子育て支援事業を法制化する,関係機関や地域の人々が協働で支援する仕組みのサポートプランを作成するとなっている.さらに都道府県によるこどもの意見・意向表明支援の体制を作る.こども家庭福祉に関する制度・政策の検討会議にこどもや社会的養護会見者を参画させると言った提言をしている.
- 総合的な相談の体制,ネットワークを作るために中核となるような専門職の配置などが求められる.言い換えると,制度間をシームレスに動ける人材がプラットフォームの司令塔を担うことが大事だとのこと.特に今後は教育関係と福祉関係が横串でつながる事が大事.すでに養護教育や幼稚園,保育園はつながっている.
- 自立援助ホームなども地域の状況で機能していないところもあり,地域特性や需要に応じて事業供給をデザインできるようにする必要がある.
- こどもを真ん中にするというのは,決してこどもだけの幸せを求める社会ではないこと.そのことであらゆる世代が幸せになることである.
- 地域共生社会の理念が提唱され,高齢者と障害者は地域包括的で切れ目ない支援体制の構築がすでに始まっているが,子どもの分野はまだで至るところで分断の溝が生じている.こども家庭支援分野で地域共生社会が始まろうとしていることに期待したい.
