2022.12
コロナと福祉ーコロナ禍の3年で見えたこと
座談会 コロナ禍の実践知とこれからの福祉
- 社会福祉法人としてコロナで貧困に陥った家族への弁当の配布などの貢献事業に参加してきたことを紹介.楽晴会
- 社協の貸付の状況についての報告.あるいは,コミュニティソーシャルワーカーの取り組みについての説明.小地域でのプラットフォームづくりをしている.豊島区社協コミュニティソーシャルワーカー.貸付には相談支援が伴うべきだが,あまりに申請が多くてその余裕は無かった.ただし課題のある人などは本人に同意を取ってCSWと連携した.
- ホームレス支援をしているNPOの活動について説明がある.ホームドア(home door).届ける→選択肢を広げる→暮らしを支える→働くを支える→再出発に寄り添う→伝えるというコンセプトで行っている.コロナ以前から若い世代の相談が多く,以前にギリギリに生活していた人がコロナによって困窮状態に陥り,裾野が広がった感じがする.
- 案外,今回は外国人の困窮が多く,貸付などでは社協は非常に文化的な意味でもコミュニケーションが難しかった.また,外国人がコミュニティを作っていると思っていたが,案外孤立している人が多いこと.あるいは,仕事は知人の紹介が多かったのでハローワークの使い方などをガイダンスしたなど.
- とりあえず少しでも働いてお金を得たい,あるいは就労支援でも早く仕事を探してくださいとプレッシャーが強く,長期的に働ける仕事を前提にした支援がされていなかった.自分らしい生活の継続という意味で考えると,まったく出来ていなかったとみるべきである.
- コロナによるクラスターでの施設内対応について.ICTが進んだとかリーダーシップの発揮とか.
- ギグワークをうまく活用して,隙間時間を利用するとかちょっと働くとかそういう柔軟さを就労支援に取り入れて行きたい.
- 当事者の声をよく受け止めることが大切.
インタビュー コロナ禍で見えた人権問題
- ハンセン病による偏見と差別の問題がコロナでも起こったと思うと言うことで,ハンセン病資料館の人から話を聞いている.
- コロナを医療や経済の問題として捉えることがほとんどで,社会的弱者のところに一番被害が及ぼす人権問題という発想にはならない.
- 人権侵害として,まず感染者やその家族への誹謗中傷.さらに範囲が拡大して,職種の人や学校,会社にも向けられた.対象が非常に広かった.そして,治療やケアを受けて生活している高齢者や障害者,経済的困窮者に必要な支援を受けることが出来ない故にさらに厳しい立場に置かれたこと.最後に,加害意識が希薄で自分たちは正しいことをしている,正義の味方だと思って相手を攻撃していたこと.
- すべての差別に関する法制化を進めた施策を講じることが非常に大事.
- 人には防衛本能があるので,危険なものを避けることは自然であるが,それが広がってくる(般化)が時に差別や中傷へと走らせてしまう.それぞれがそれぞれの立場で物事を見ている.その立場で相手を攻撃したり,されたりする.だから法律による共通の尺度や価値を提供するので,異なる立場の人に橋を架ける.
- ノルウェーでは,患者の権利を遂行するためにアドボケイトという制度がある.通常,患者と医者の権力関係から,患者が思っていることが言語化できない.よってアドボケイターが医師と患者の間に立って,対等な話し合いをしていくという.福祉職にはぜひアドボケイターとしての役割を担ってほしい.