2021.7
共生は進んだかー国際障害年から40年
障害に関する共生社会づくりはすすんだのか(小澤温)
- 共生社会という言葉は,これまで障害者福祉分野でよく使われてきた.しかし,障害以外で使われるようになったのは「ニッポン一億総活躍プラン」2016年の中で地域共生社会の実現が提唱されたことが大きい.この中で支え手と受け手に分かれるのではなく,お互いに協力し合って生きていくことが強調される.障害者福祉分野では傷害の有無を超えてインクルージョンを推進して行くこと.ノーマライゼーションからインクルージョンへと社会は変化した.
- ノーマライゼーションの推進は1981年の国際障害者年(それ以前の1975年の障害者権利宣言の具体化,計画化)→1982年国連は障害者に関する世界行動計画を採択した.→1983年から1992年までを国連・障害者の10年として,計画の具体化を各国の求めた.→条約よりも拘束力の低い国連決議として障害者の機会均等化に関する標準規則が1993年に採択された.
- 2001年に障害者の権利に関する条約の制定が提案,2008年に正式に発行.ここに置いて,インクルージョンの概念が登場する.最初に地域社会で平等に生活する権利を有している.その上で,地域社会での生活は社会に完全に包容され,参加することが求められている.
- 制度改革でも半数が障害者当事者によって進められ,障害者基本法の抜本的な改革,障害者差別解消法,障害者総合支援法などの制定など行われた.2011年には障害者虐待防止法が成立した.キーワードは合理的配慮である.
- 障害者差別禁止法に関する国の基本方針の中でインクルーシブ教育の推進による児童期からの啓発活動やグループホームや施設の設置に周辺住民に対する同意の必要性などこれまで以上に具体的に示している.
- 共生社会において,障害者というカテゴリーとして見るのではなく,個別に見ること,障害故の行動であることを理解する意識が必要である.
インタビュー ともに生きていける社会になるには
- 外国人の取って共生社会というのは日本だけ.むしろ他は協働社会という.
- 共生社会=福祉というなんとなくのイメージはあるモノの,責任の所在が曖昧に映る.共生社会を作ろうと言うとスローガンになるが,誰かが作ってくれるだろうという他人事になる.
- 表面上は優しい社会になってきたと思うが,その反面障害児教育では健常者と一緒の学級ではなく特別支援学校を増設させている.それでは,小さいときから健常者と障害者の住み分けになってしまう.
- 福祉系の番組に出ているが,そこから広がりが感じられない.障害のある人があたりまえの存在として社会で受けられているのであれば,障害のある人が,障害者だからという理由ではなく番組にもっと登場するべきだが,現状はそうなっていない.
- 障害者が権利として主張したことがわがままだという理由でSNSで炎上したことがあった.障害の無い方にはぜひ自分だったら堂だろうと考えてほしい.不便さを感じていないからこそ他人事になり,わがままという批判が出てくる.それではともに生きていける社会にはほとどおいと思う.
- もちろん障害のある人の意見は全て正しいということではなく,意見がぶつかることを恐れて腫れ者のように接することが問題である.対話が大事.
その他