2021.10
高齢者虐待を防ぎ,権利を守るために
高齢者虐待が起こる背景と必要な支援(福冨昌城)
- 高齢者虐待にかかる通報やシステムについては,厚労省のマニュアルなどを参考のこと.
- 高齢者虐待の種類の中にはセルフネグレクトは入っていない.しかし,それに準じた対応をしないといけない.この他,虐待かどうかのグレーゾーンもある.
- 虐待は高齢者の権利侵害の状態であること.施設での虐待はケアワーク技術の破綻ということもある.ケアの質の担保が必要.
- 被虐待者がかばうこともあり,援助者の関わりを拒否することもあり援助者はストレスを感じることもある.しかし,粘り強く働きかけることが必要.
- 高齢者虐待の現況については,令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果参照のこと.
- 大まかに養護者によるものは通報3万4千件,内虐待認定が1万7千件,施設は通報が2千件,うち6百件が認定されている.重度認知症はネグレクトされることが多い.
- なぜ虐待が起きるのかということは諸説があり一定では無い.明確に説明が難しいとされる.ただ,認知症のBPSDを増悪させたり,不適切な介助による悪循環が背景にある.
- 施設に関しては,ストレス,組織風土,チームアプローチなどによって負の連鎖によって引き起こされることがある.安全優先,施設都合,家族優先,放棄・諦めなど.
論点 1 高齢者施設における虐待をどう防ぐか
- 不適切なケアとは,たとえ職員の自覚が無くても,利用者の心身を傷つける場合や利用者が望まない場合に行われる非意図的なケアと定義している.
- グレーゾーンなど不適切なケアについては,身体拘束及び高齢者虐待の未然防止に向けた介護相談員の活用に関する調査研究事業報告書参照.
- 虐待防止として取り組むことは,
- 虐待防止はトップ自らが推進役になること.
- 組織は理念を明確に示し,ソレをより良いケアの実践につなげること.
- 組織は情報の共有と開示を積極的に行う.
- 虐待の温床となる環境要因を分析し,速やかに対処すること.
- その他,チームアプローチによる虐待防止とか,地域や技術の取得に向けた教育をすることなどが言及されている.
この他,色々とな論点で論じられている.