2020.6
ボランティアの潮流
(てい談)社会あの変化でボランティアは変わったのか
- 1960年代は子どもや青少年,女性がするものだという意識があったが,現在は男性も珍しくなくなった.また当初は僧侶や宮司が多く,昔から奉仕という言葉があるのだからボランティアなんて聞き慣れない言葉を使うなと言われたとか.
- 1990年代になると,国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」を出し,機会があればボランティア活動に参加してみたいと考えるようになった.
- 1995年の阪神淡路大震災(ボランティアの発見)から1998年のNPO法成立へと続いていく.下地として,夏季ユニバーシアードなどでの神戸でのボランティアの動員などがあったりして震災時の市民参加が活発になった.
- NPO法人は市民の手で問題解決するために組織化できるようになったが,組織化することで改善するための批判力が弱まったとも言われている.
- これまでボランティアの担い手は青少年,大学生などであったが,今の大学生は忙しいし,仕送りが減っていることもありアルバイトなど生活費を稼がないといけない学生が増えた.専業主婦も減り,現在の中心は高齢者となっている.高齢者のボランティアに問題はあるが,生きがいとか認知症予防としても十分機能している.
- 有償か無償かという問題として,現状,学生などは交通費や食費を負担してあげないとなかなか参加できない.労働の対価としてあるいは責任の所在などを含めてある程度の有償化は良いのではないか.
- 日本はお客さんにはおもてなしをするが,見知らぬ人には冷淡である.ボランティアは知らない人へのサポートを通じて,我が事として理解するチャンスを与えてくれる.孤立化が進む社会の中で居場所づくりをする活動は重要.ボランティアが意識的に作っていくことが必要である.
SDGs時代のボランティアへの期待(新田英理子)
- ボランティアを経験すると価値転換が起こりうること.このSDGsもまた自分事としての価値転換が必要である.
- SDGsは持続可能な開発目標であり,分野は多岐にわたる.参考にしたサイト
- ボランティアには企業による社会貢献も含まれていること.企業の福利厚生に一環としてのボランティア体験も価値観の転換に一役を担う.
座談会
- ボランティアの変化について,暮らし方が変わりみんながお客様になり,地域行事などもできにくくなっている.高齢化も顕著である.
- ボランティアを通じて,人のためになにかしたいという意識から,自分のやりたいことに取り組んで地域を活性化させたいとする人が増えた.また生活困窮者自身が担い手になったり,ソーシャルビジネスとして事業体としてお金をきちんと循環させたい人など多様化している.
- 宿泊者が宿泊施設の業務を手伝うことで宿泊費を無料にしてもらうフリーアコモデーションをボランティアと呼んでいる人がいて,お金をもらわないと言うだけでそれをボランティアと呼ぶのは違和感がある.
- 地域活動を世話役だったり誰かがやらないといけないモノと思い,ボランティアと思っていない人もいる一方,自分の生活を犠牲にしてまで地域の役をしたくないという世帯もある.
- ボランティアはそもそも贈与であるが,ソーシャルビジネスやフリーアコモデーションなどは交換へと変化している.
- ボランティア支援で大切にするのは,評価したりしない居場所づくりと出番を作ってあげることである.人と人をつなぐことが得意な市民コーディネータをたくさん見つけたり,増やすことがしたい.