2020.10
SDGsは福祉に何をもたらすか
インタビュー:SDGsで社会はどう変わるか(国谷裕子)
- SDGsを知っている人はここ最近増えたが,2020年時点でまだ30%位であった.
- SDGsの思想の根本は,今のように生産と消費を続けていけば,地球環境は人間にとっても持続可能な者ではなくなるという危機感と,あらゆる人々の人権を守るという,地球を破壊から護ること,誰ひとり取り残さないことを柱としてかがげている.
- 2030年までに達成する目標として,17のゴールと169のターゲットにこめられている.詳細は,SDGsとは何かを参照のこと.
- 2000年頃にミレニアム開発目標(MDGs)があったが,これは主に途上国の貧困の解消を目指したものであった.しかし,先進国も途上国の援助のみならず,自分たちも取り組まないと行けないという発想に変わった.
- 気候正義という言葉がある.先進国がまき散らす二酸化炭素で,温室効果ガスを出していない貧困国に農業などでダメージを与えているという発想.
- 日本においては,教育や技術レベルは高いと評価されているが,著しく遅れている分野では気候変動やジェンダー平等である.またパートナーシップで目標を達成しようという項目も遅れている.SDGsを目標とだけ捉えず,議論の物差しとして捉えて話し合うことが大事である.
- SDGsがあるおかげで企業や他の業種との共通言語として福祉を認識してもらえることができた.コロナのため誰もが貧困状態になり福祉の対象者になることもあり得る.そうしたときに,SDGsの誰ひとり取り残さないことという思想に沿って実践することが大事ではないか.
- 我々は地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれないという危機意識がある.その際,20台30台の若い世代に合意形成の中心に入ってもらい,長期的な視点で目指したい社会像を明らかにして共有し,そこに向かった戦略を立てていくべきだと思う.
SDGsをどう活用するか—経済界の取り組みより(長沢恵美子)
- もともと日本に経済界には売り手良し,書いて良し,世間良しという三方良しの考えがあった.しかし,いまやそれは古いとされる.
- 企業の目標としては,環境に関する三つの目標13,14,15を考慮しつつ,経済的成長を促す目標に集中的に投資することが重要であり,その結果,社会的な目標1〜6に投入できる収益を得られるとする.
- SDGsを用いたコミュニケーションは,相手が消費者であれ,投資家であれ,政府であっても共通理解を促進し,新たな連携や協働が創出されるきっかけを作る.
- Society5.0とはAIやIoTなどの革新技術を社会に取り入れることによって実現する新たな未来社会のこと.
- その他いろいろとした企業の取り組みについて,手順なども紹介されていたが,省略.
- 福祉関係者には,誰ひとり取り残されない社会の構築というSDGsの目標に向かってプラットフォームを作ってほしいこと.企業と連携するときは,こんな価値を生み出せるという強みを具体的に提案することが大事なんだそうな.