2020.1
高齢者の生きがいと安心を支える
インタビュー:高齢者が寄り地域で活き活きと暮らすためには
- ノンフィクション作家からインタビュー:作家自身はサ高住に入居している.
- そのサ高住は入居者とスタッフが一体となって運営をしていて,入居者も送迎車の運転や厨房の片付け,庭の整備などもしている.
- 介護保険が始まる前の有料老人ホームは単身者か子どもの要望で入ってきた人達がほとんど.介護保険が始まってからは子どもの要望で入ってきた人達がほとんどとなる.最近は,非正規雇用の若者も増え子どもが当てにできない.家族には期待できずに,自分で選ぶ人が増えてきている.
- サ高住に入っている人たちは職業もう生まれもバラバラで,夫婦で入っていても別の部屋に住んでいるとか…ある程度家族と距離が取れることでお互いよい関係が築けている.また入居者の男性も昔のような悪しき家父長制のような価値観が少なく,柔軟になってきている.
- またネット通販なども慣れているし,高齢者は住み慣れた場所で過ごし,最後は自宅で看取られたいとするイメージは昔の話である.家族に重きを置かないことも大事.
- 介護に携わる人たちには,介護の領域は病気とは異なり,治す物では無い.人間が置いていく自然のプロセスをどのように支えていくかが中心になる.機能が衰え判断は遅れるのであれば,それを待てばよい.
- できない部分をちょっとだけ手伝ってお世話をしすぎず,本人が嫌がることはしない.一見簡単そうだが,実際にはとても難しい.テンポを合わせるのが難しい.
社会的フレイルを予防し,高齢者の健康生活を持続させるために:山田実
- 高齢者の健康生活を維持するためには,1:運動,2:よい食習慣,3:社会参加の習慣という三つの習慣を獲得することで,特に3:社会参加の習慣は健康維持に重要である.
- フレイルとは加齢に伴い,生理的予備能力が減少し,さまざまなストレスに対する脆弱(ぜいじゃく)性が亢進した状態,つまり要介護状態の前段階を指す.これは,身体的要素のみならず,心理精神的要素,社会的要素ががありこれらが複雑に関連し合いながら要介護状態を引き寄せる.
- 社会的フレイルとは身体や精神的なフレイルよりも軽視されているが,影響力は大きく適切な対処が必要.社会的フレイルを図る指標として,1:近所づきあい,2:独居,3:社会参加,4:主観的経済状況のうち2項目以上該当する場合は社会的フレイルとして判定する.
- さらに他のフレイルについても短期的効果のみに目を行くのは間違いで,長期にわたる効果を測定するとか,長期的展望に立った取り組みが求められる.運動にしても,勘弁活習慣化しやすく身近に感じられる運動などが重要になる.要介護ハイリスク者を対象とした介護予防のための教室も短期集中型で行われているが,効果は7年で消失する.食事や運動などは継続性が大事である.
- 高齢者が主体的に運営する通いの場は低コストで,各地で広範囲にあり,継続できることである.特に継続できることは習慣化できることであり,運動だけでは無く,食事会や茶話会,趣味活動などが中心の通い場であっても介護予防に有効である.
- この他,ボランティアに参加するとか,薬局やスーパーなどに定期的に通っているなども社会的フレイルの解消に役立っている.よい行動習慣化の鍵は一日これだけは欠かせないとする一日ワンポイントの固定である.
- 社会的フレイルは健康生活の阻害要因であり,要介護を招くリスクファクターである.社会参加の促進によって要介護リスク軽減につながることは明確である.
- この先生は,このフレイルについていくつかの研究を行っており,山田実(2020)「サルコペニアとフレイル」『脊髄外科』34,12-19,山田実(2016) 「サルコペニア・フレイルの予防と改善」『体力科学』65(1)など