2019.11
ソーシャルワーク教育の新しいステージ
座談会 社会福祉士・精神保健福祉士養成課程の見直しとこれからのソーシャルワーカーに求められるものとは
- 養成課程の見直しと今年6月にカリキュラム案が示されている.ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割についてがとりまとめられており,その概説など.社会福祉士を個別支援と地域支援を一体的にできる人材を養成すること.言い換えると地域共生社会を担える人材を見据えた地域福祉と包括的支援体制という科目を設定できたこと.
- 精神保健福祉士は,長期入院患者の社会復帰支援を担うこと主目的として制度化された.また障害者総合支援法などで地域生活する精神障害者が増加し,制度化された当時からかなりすすんできているので,カリキュラムの見直しをした.
- 今回の見直しでは,ソーシャルワークを前面に出して話し合ったことが良かった.国際的な定義では,エンパワメントから社会変革まで含むものだが,日本ではミクロレベルにとどまっている.また属性で縦割りとなっている.また精神と社福が一体的にカリキュラムを見直したのが画期的だと.
- どこまでが精神で,社福なのかという棲み分けも大事だが,実際には精神障害者の高齢化に伴う介護問題など,境界の設定ができない事象がたくさんある.すみ分けや切り分けはできない.
- カリキュラムの見直しでは,相談支援=個別支援であったが,アセスメントの段階では個人,家族,地域,政策と一通り全体を見ながらすすめることが大事となる.また,社会調査も社会福祉調査の基礎という科目に変わり,ソーシャルワークに対する評価が教科の内容に入ったこと.
- 地域福祉,地域へのアセスメントは,住民主体に基づいて専門職として地域の差別や排除の構造について考察し,誤った方向に行かないようにしていくスキルが求められる.それは地域生活課題をさまざまな関係者がどう協働して解決していくのか,そのための包括的支援のシステムを学ぶことになる.
- 実習時間を60時間増やした.これは介護福祉士は480時間,看護師は1000時間を越えているに社会福祉士は180時間…個別支援と地域支援ができるようなプロセスを現場と教員が協働して行っていくことが大事だと思う.同じように多職種連携についても科目が必要とする話もあったが,結果,まぶすことで落ち着いている.しかし,最終的には科目として位置づけていきたいと思っている.
- アセスメントの段階で地域全体を見て連携を含めたプランニングができるような教育が必要だと思う.多職種連携をすればするほど,あなたは何者かと職業のアイデンティティが問われることになる.ややもすれば医療教育ベースの多職種連携になりやすいので,ソーシャルワークを軸にした連携教育のあり方,利用者サイドに立つあり方を演習や実習でどう作っていくかはこれからの課題.
