2018.3
施設経営におけるイノベーション
鼎談(ていだん) 福祉施設での働き方を考える
- 福祉の離職率の高さは低賃金であると言うよりも,職場の人間関係である.効率化が重視される中,コミュニケーションがますます激減している.また職員が自分の人格を尊重されていなければ,利用者の人権を尊重することはできない.コミュニケーションを回復し,職員がまもられる環境を作っていかないといけない.
- 介護業界では,特に3年未満の人が離職する率が高い.やりがいを求めて入ってきても,現実と理想のギャップに悩み,またそうした悩みを聞き取ることなく諦めてしまうケースが多いのではないか.
- 長時間労働にならないためにも,PCやタブレットの活用などを行うことは有効である.また,施設長などの上役は早く帰るようにしている.
- 子育てや出産で長期離脱しても,自然と戻ってきてガンバリマスと言ってバリバリ働ける環境こそが求められている.
- 全国社会福祉法人経営者協議会では,2016年に人材確保マニュアルを作成した.その中でも定着の取り組みが一番難しい.
- 外国人の労働力確保のために,環境を整えておくことは大事である.また日本の風土を押しつけるのではなく,外国の良いところを化学反応で良いものとして醸成していくことが大事.
人工知能×福祉(御代川 知加大)
- 前半は,人工知能の類型についての話で割愛.
- 医療面では,心拍数,遺伝子データ,環境データから,人工知能が健康上のリスクを児童で教えてくれる.ウェアラブルによって血流なども把握され,心筋梗塞のリスクなどの回避など未病の段階での対応が可能になる.
- 移乗や移動のプロセスを全て担えるロボットが登場する.人工知能が人の表情や文百まで理解して,コミュニケーションが今以上の精度で行うことができる.
- 人工筋肉の発達でピンピンコロリが可能となる.いずれにしろ,介護はコミュニケーションに特化して,力仕事などはAIなどに任せるべきである.
先人に学ぶ突破する力(蟻塚昌克)
- もともとこの先生は,社会福祉士を中心に月刊福祉で長く連載している人.
- 制度外で先駆的かつ柔軟に福祉課題に取り組んできた福祉活動は,関係法の整備を促し,社会福祉の制度を発展させる役割を担ってきた.つまり地道な活動が新しい制度を作っていく契機になってきた.その一方で,法律により社会福祉事業と位置づけられると,規制の対象となり,創造的であった福祉活動の自由度は低下していく.
- サービス基盤整備を追い風に福祉活動の経験を持たずに,いきなり制度の中に入ってきた事業者には,地域の福祉課題を発見して住民と共に解決するという意識が欠けている例も散見される.
- よって,制度の中の福祉活動が常に自己革新を図り,制度外の福祉活動も射程に入れて地域の人たちと協働して社会福祉を発展させていくことが大事である.
- 先人からそのフロンティアスピリットを学ぼうと言うことで,佐々木五三郎,長谷川保,中条イマ,高江常男をちょっとだけ紹介.興味があれば自分で調べようというスタンス.