2017.2
地域で育む新しいかたちの支援
鼎談(ていだん) これからの地域を支えるためには
- 社協の見守り活動などについての実践報告.地方の大合併で小さな集落と大きな世帯を抱える地区が一緒になっていてそれをどう結びつけるかが課題になっている.日常生活圏駅をどう設定するか.
- 大きな地区でも歴史とか人口構造や高齢化率が違う.地域包括ケアができて高齢者からはじまり現在様々な人を対象にしようとしている.
- 集落単位での見守りは息苦しいというデメリットもある.もちろん見守ってほしくないという世帯もあるが,かといって見放すわけにも行かないのでそっと見守るという話になっている.しかし,自治会に入っていない人までなんで見守らないといけないのかという意見もある.地縁に結びつくことの息苦しさはある.
- 見守りネットワークには,日頃からの交流,民主的に話し合える合意形成力,そして課題発見力が必要である.
- 生活困窮者自立支援法ができてから制度のはざまにいる人たちへの支援ができるようになり活動の幅も広がった.また,地域住民主体で行ってもらっても最後は社協とか行政が責任を持つ必要がある.
- 相談支援包括化推進員とか自立相談支援機関とかワンストップで,複合的な問題にも対応できる職員の人材育成が求められる.また地域包括支援センターと障害の相談支援事業所を1箇所にして重なり合うところをがんばってもらう計画があるとか.
- 個人情報との絡みでは,住民同士の合意の元で見守りを推進しているとか.しかし,専門職と住民,民生委員をどのように結びつけるのか.民生委員が包括に頼るときに,果たして問題を抱えている住民は納得するか.
- 認知症の講座とかいろいろと住民と話し合う場を作ることが大事.
対談 ゆうゆうがめざす支え,支えられる地域作り(大原祐介)
- 最初障害児を預かるサービスをはじめたが,その後さまざま拡大して2005年にNPO法人を立ち上げた.現在は障害者の就労支援,高齢者の社会参加などビルトインしている.福祉には特別な人が特別な人に支えられているという空気があるが,そうではなくて,地域に開かれたかかわりを持つことである.その後,2013年に社会福祉法人へと発展した.社会福祉法人になれば税制上の優遇措置が講じられ,その分事業を展開しやすくなる.
- 障害者にお手伝いするという住民の意識では無く,住民があそこに行ってご飯を食べようと行った施設に行くのでは無く,場所として認知されるようにした.
- 地域を巻き込むかたちで,有償でのボランティアを立ち上げ現行の福祉制度ではできないサービスを行ってもらうように,ボランティア登録をしてもらっている.犬の散歩や通勤支援など,プロよりは平易だけどボランティアよりは少し高度なことであるため座学を儲けている.
- 国が示すような枠組みを推し進めていくだけではうまくいかない.それよりもこの街にこんな機能があったらいいと言うことを洗い出し,理念を整理しみんなでどうになっていくのかをきちんと話し合うことが必要.
- その時に福祉の文脈で話し合うのでは無く,商業や農業などのほかのステークホルダーの中で語り合うことが大事.相手の土俵に入る勇気が必要である.
- 地域のピンチは福祉のチャンスとして捉えること.全国の地域では担い手不足で倒れる組織や衰退する産業がある.しかし,その担い手を障害のある人や高齢者,生活困窮者などが勤めることで地域を維持,発展することができる.自分たちの力量や技術のなさを棚に上げて支援される人たちの可能性を狭めていないかと自問すること.
- 対談者の大原祐介氏はかなり有名な方だった.論文とかは無いけれど,街づくりに関してはいくつかの賞を取り,モデル事業としても取り上げられている人であった.
地域共生社会の実現に向けて(原田正樹)
2013年社会保障制度改革国民会議で,21世紀日本モデルを提唱し,21世紀型のコミュニティ再生を打ち出した.その後2015年厚労省は全世代・全対象が他地域包括支援体制という新しい提供ビジョンを発表.2016年に一億総活躍プランを示した.コレに基づき地域共生型社会が提示されている.
支え合いとか労働力確保とか,介護難民による社会的損失とか…安上がりな住民による監視体制とか…生活困窮者自立支援についての説明とか…地域社会の構築には,一つに地域創生,一つに福祉関係者による地域組織化による地域作り,そして,個別的なことを地域で支え合う地域作り.
最近では多職種・他機関連携,相談支援の構造化(相談圏域の重層化1次,2次,3次),ソーシャルワーク機能の明確化というキーワードとして上がっている.
そして共生社会を支えるには教育は不可欠である.社協とか小学校中学校での基礎教育の段階から位置づけていくことが重要.そして社協は縦割りでは無く,総合支援型社協に発展していかないと行けない.そして,地域福祉計画に自治体でしっかりと位置づけていくことである.