2013.4
福祉教育の今とこれから
レポートでは、10年前に学校教育の中で総合的な学習の時間というモノが作られ、ボランティア活動とか校外学習などが盛んに言われた時代があった。地域活動としても郷土の歴史とか命の大切さを知るために身近な大人から聞き取りをするなどの活動がある。よって福祉教育はそうした総合学習の一環として、いまでも細々と行われている活動である。水俣病の事を知ってもらいたい、高齢者のことを知ってもらいたい、あるいは災害からどのように防災をするべきか、あるいは地域で出来ることは何か。それらの紹介となっている。
福祉教育実践の新潮流(原田正樹)
- ・昔は例えば、視覚障害の疑似体験をして生活のしづらさを知ってもらうことが福祉教育であったが、それは単に生きづらさを知るだけでむしろ、負の体験である。ICFの視点に立って、最近では視覚障害者の人がみんなの前で、出来ること・出来ないことなどの生活を語ってもらうようにしている。
- ・学校教育でも体験したことをそのままにしないで、感想文を書いて終わりではなく、感想文を元に他の人の意見を聞くなどの、その後自分がどうするべきかの行動指針までを描くリフレクションの手法が取り入れられている。
- ・災害に関しては、より実践的な思考方法を取り入れるため、HUG(避難所運営ゲーム)というものを取り入れている。
- ・また単に学生への教育だけではなく、地域住民が福祉のことを学ぶためにも啓発活動を行うことも福祉教育である。熱心な取り組みな所では社会福祉協議会や地域包括が緊密に連絡しあい、そうした学べるプラットフォーム的な場を形成している。
- ・福祉教育は、福祉施設の建築反対、ホームレスへの襲撃事件、マイノリティへの差別、生活困窮者への社会的排除などを取り上げて啓蒙していくことでもある。それは共生社会の実現を軸にしているのである。
米国のサービスラーニングと日本の福祉教育(村上徹也)
サービスラーニングとは、サービス(社会貢献活動)とラーニング(学習)を結びつけた取り組み。アメリカでは1980年代に活発化している。もともと開拓気質のあるアメリカでは、社会奉仕活動は当たり前であるが、それに加えて、より明確に社会貢献と学習の目標を設定しつつ、それを実現できる合理的な手法を計画する教育プログラムとして登場した。ただし、ここ最近では色々あってあまり活発ではないらしい。
内容的には、なぜその活動をするのかについての入念な下調べや調査を行い、実践五はその結果どうなったかの振り返りと次への計画まで行っている事例が紹介されている。
2014.11.5