2012.7
未来を拓く介護福祉士
鼎談
- 介護福祉士は入浴、排泄、食事の介護をいかに上手にできるかから身体状態に応じた介護が求められるようになった。2012年の介護報酬の改定から医療行為の一部が行えるようになったなど制度化が進んでいる。(介護福祉士の領域は広がり認知もされるようになった)
- 潜在的資格保有者がたくさんいることや介護職の人材離れなどについては、給与と言うよりも介護は大変だとするネガティブキャンペーンによるところが大きいのではないか。または誰でもできる仕事だと言われ、仕事としてのやりがいを奪っているのではないか。
- 介護を通じて社会や家庭、そして地域を見ていくというケアマネジメント的な発想を持つと介護はやりがいのある仕事になると考える。むしろ、マクロの視点を持つことで生活支援を広く考えることができる。
- 2007年の改訂では、介護福祉士に「誠実義務」「資質向上の義務」(キャリアパス制度)が追加された。
- 介護福祉士は臨終の場にいる事も多い。死生観を持つことは大事である。またアンチエイジングが行き過ぎれば、老いたこと、病気をしたことの落胆は相当なものである。甥を見つけることもまた大事な作業である。
- 認定介護福祉士制度の説明があったが、よく分かりません。中間管理職のよう生徒課らしい。
- 介護福祉士を多く取る施設とそうではない施設による介護の質が客観視されるように慣れればよいが。定量化などは難しい課題である。
- 今後急成長する、あるいは期待される産業として介護がある。
- 生産性という概念を変え、前はできるだけ少ない人数でたくさんの生産物を生み出すことが主流であったが、今後は逆に人手を使って環境の負荷を抑える環境効率型という観点で捉えること。それはケア労働は人でばかり掛かってアウトプットがないという批判に応えることでもある。
介護福祉士を取り巻く職場環境の現状と課題(藤井賢一郎)
- ・介護福祉士は余り大きな評価を受けていない。加算が着いているが、診療報酬における看護師、准看護師、看護助手の明確な差には及ばない。
- ・介護人材の専門性や獲得方法がバラバラである。アセスメント能力やエビデンスに重きを置くのか。気づきや察すること等現場を重視するのか。コミュ力や接遇などの介護技術に求めるのかなどである。
- ・低賃金や離職率に関しても、離職率は二極化していること。介護福祉士を取得している人未取得の人も一緒にカウントされているため論拠が薄い。しかし一緒にカウントされるということはそれだけ介護福祉士のアイデンティティがわかりにくいと思われている証左である。
- ・介護福祉士の専門性を高めるには、頂を高くすることと、より多くの人が参入する裾野を広げることを同時に行うこと。登る山があることは登山をしようとする人を引きつける。
- ・職場での資格取得を促すこと。頂の環境を整えることなどの提言を行っている。
2014.11.23