2011.11
EPAによる介護人材などの受け入れがめざすもの
これまでのEPAによる介護福祉士・看護師候補者の受け入れから見えてきたもの(安里和晃)
- 2008年からインドネシアやらフィリピンから経済連携協定として看護師候補・介護福祉士候補者の受け入れを行っている。介護の質の低下も懸念されたが、勤勉なことなどから概ね変化はなかったという結果になっている。しかし、民間に委託されているため、研修のための人員負担や高い費用負担などから受け入れは縮小している。
- また賃金の支払いは不当なものはないようだが、勤務日数などでの意思疎通が上手くいかないで、労使紛争を招いている事例もある。
- そもそも資格を取って貰うことが目的なはずの制度であるが、就業内での学習の時間について看護では多く取っているところとそうでないところに二極化されているが、介護の方は全く学習時間を就業内に設けていないことが多い。
EPAによる「専門的・技術的分野の外国人労働者」の受け入れ(菅原淳一)
- そもそもEPAとは経済連携協定といい、特定の国・地域間でお互いに関税を削減したり、撤廃したり規制緩和をしたりすることでその国との貿易や投資を円滑にし、経済関係の緊密化を図る取り決め。この介護福祉士の交流はもの・サービス・人・金の交流のうち、人の移動として位置づけられている。
- 当時日本の看護師資格を有する外国人に在留資格「医療」による7年の在留期間が設けられているが、フィリピンとのEPAでは看護師資格を持たないものが取得のために日本国内での研修の制度が設けられ、取得後の就労が3年かつ更新が可能という在留期間の制限無しで認めれたいわば特例である。国家資格取得の候補者として入国・一時的滞在が認められ、所得のために支援されるのは看護師・介護士以外には現時点では存在しない。
- 日中韓やEUとのEPA が検討され、TPPでも人の移動として労働力や高度人材の受けれも進むだろうが、在留期間などの制限を掛けながら大量に受け入れるという事態には陥らないと思われる。
2014.11.23