2010.8
成年後見のこれから
Q&A
大まかな制度の紹介。後見人は特別な資格は必要なく、なれない欠格事由として未成年、後見人を解任された者、破産者、被後見人に対して訴訟した者、行方の知れない者の5つを定めている。法人後見は、個人のように病気などで後見活動ができないと言ったことががなく長期的な活動が可能となる。
レポート:事例から学ぶ成年後見の流れ
2事例の紹介。
成年後見関係事件の概況
2000年に比べ、2009年は4倍の2万7400件の申立となっている。本人の子による申立が39%、市区町村による申立も9%と割合高い結果になっている。一人暮らしの高齢者や身寄りのない人の増加がある。また、親族後見人に対しての継続的な啓蒙などの支援は現在、家裁しかなく、他組織がまんべんなく行える体制が必要である。
座談会
- 禁治産制度に比べて、権利擁護の観点が強くなった。
- 法定後見については、お金のあるなしで市民後見か専門職かという区切りがあり、また、所得の低い方がなかなかこの制度に結びつかない。
- 身上配慮義務と自己決定権の尊重という指導原理が入り、財産管理以外での活動が明確化さて居る。
- 知的障害や精神障害者が成年後見開始審判を受けると選挙権を失うことは問題だ。
- 市民後見の場合は、身近に会いに行けたり、親密圏での対応が可能というメリットがある。しかし近づきすぎて、買い物に付き合ったり、病院の付添をしたりと身上配慮義務の線引きができていない場合がある。
- 親族後見に関しては、濫用とか親族虐待などもあり得るが、一概に否定するべきではない。また、親族の場合はどうしたらいいのか分からない場合もあり、その意味で相談センターを作りいつでも相談できるようにしておくことが重要である。
- 医療契約を締結する権限は後見人にあるのに、医療同意権はない。このことで、適切な医療が補償できないという問題がある。
- 成年後見制度全体を見渡す所管庁が無くバラバラになっており、予算の執行なども滞ることがある。また本人と成年後見人を結びつけるコーディネーターが居るとより継ぎ目無く対応できるはず。
論文:市民後見人の理念とこれからの課題:岩間伸之
- 市民後見人とは権利擁護の枠で捉えるだけではなく、地域福祉や市民参画という視点で捉える必要がある。
- 支え合いノ延長線上にあり、同じ地域住民というフラットな関係を基礎として展開される。
- また後見人も、活動を通じて地域に深く関与することができる。
- 背景には社会福祉基礎構造改革における住民主体へとシフトしたことであった。それは市民や住民が福祉に参画していくことが求められるようになった証左である。
- 市民後見人が活動するに当たり、どのような活動ができるのか、あるいは市民後見人へのサポートなどが何処で受けられるのか。要請と活動支援を持続的にするためのシステム作りなど課題は山積している。
2014.11.4