2010.1
利用者本位への改革はどこまですすんだか(社会福祉法誕生から10年)
利用者本位への改革が目指したもの(河幹夫)
社会福祉基礎構造改革の転換は,社会福祉は市民社会の中に存在する(措置制度から市民社会論へ),それを下支えするものとして経済的な社会的費用(介護報酬や支援費)と法律的な権利擁護が挙げられる.つまり公権力による措置から契約への,それは市民の公平性と対等性を担保するために,費用と法律を整えたと理解するべきである.
座談会
- 茨木の福祉工場でひどい虐待をしていたのが福祉に目を向けたきっかけになった.その後権利擁護の制度ができるなど社会福祉基礎構造改革ができた.利用者本位とは何かを議論したい.
- 介護保険分野ではかなり浸透してきてはいるが,個別のケアプランまで反映されているかと言えばまだまだである.またプランに対して在宅の人は自分の意見を言える状況になりつつあるけれど,特養などではまだまだである.地域包括支援センターの設置は画期的であった.今後は困難事例への対応や地域への展開を通じて権利擁護の推進を図る必要がある.また,ケアマネの質向上も必要である.
- 母子生活支援施設では契約制度になったが,施設数が少ないので選択できる状況ではない.しかし第三者機関や苦情快活制度なども設置され意見が反映できるようになっている.しかし,ほんとうはいりたくて入ったわけではないという人も多く,自己決定という意味ではまだ到達していない.また地域での子育て相談を広げていくために子育て版の地域包括支援センターのようなものと設置していきたい.
- 社協はこれまで住民と共に在ったが,法律的も位置づけられて明確化されて活動がしやすくしなっている.また,地域福権利擁護事業を社協で行えるようになっている.日常生活自立支援事業では,福祉ニーズだけではなくさまざまな生活全般に関する問題を抱えている人も多くいる.権利擁護の観点から専門職の養成や人的確保などが一層求められる.また成年後見制度の普及などにも努めていきたい.
- 情報公表についてもより積極的に行う必要がある.選択の観点からはやり複数の施設の情報を比較して初めてできることである.今はウェブ上でしかないが紙での公表も必要である.
- 共通して,人材育成こそが利用者本位のサービスを提供する方法であるとのこと.モラルの向上など.
利用者本位,利用者主体を実現するための情報活用とは(生田雅幸)
福祉情報分野では必ず出てくる先生.情報公表制度の活用に加えて,利用者にとっても参考になるような身近な情報提供を心がける必要があることを述べている.また,自施設のサイトの充実の他,一般的な情報公表の場においても定められた情報を載せるだけではなく,利用者や家族に参考になるようなものを乗せていく努力が必要である.