2006.1
地域の福祉力
市川一宏「地域の福祉力を高めるために」
近年急増している虐待の原因の多くは孤立状態である。要介護者と介護者、子供と養育者の、狭められ、閉じこめられた関係を、どのように、友人、親族、住民、社会福祉従事者が関わる「地域の関係」に広げられるかが、緊急の課題となっている。青少年も同様であり、自分の居場所を求めて彷徨っている。
今、職場や学校、施設と家庭の間に、土間や縁側などを作るような地域との関わりの場を作る実践を通じて、地域の再生をめざした地道な草の根活動が広がってきている。地域の福祉力とは、
- 地域資源を開拓し、活用する力〜地域資源とは、人、もの、金、とき、知らせである。
- バリアフリーや共生の街づくりを進める力〜物理的、心理的、地域参加、情報のバリアフリー
- 地域の生活課題に協同して取り組む力〜ボランティアなど既存のサービスとの連携、事業や政策などに関わる従事者間の連携、広域圏での市町村単位での連携、国、都道府県、市町村の連携
- 子供たち一人一人の「縦軸の育ち」の場となる力〜子供の発達に即したトータルケア
- サービス利用者の自立した生活を支え、自己実現の機会を提供する力〜介護予防など
- 災害時に発揮できる力
- 計画の策定に関与する力
福祉力を強めるための留意点
- 地域のおける住民の個々の問題を早期に発見し、生活課題として理解し、共有すること。
- 地域性を重視した発想力、構想力〜資源の配分や期待される機能は地域ごとに違うこと
- 活動・サービスの拠点となる圏域の設定
- 地域福祉を推進する専門職の配置
- 関連専門職間、当事者間における連携・協働の具体化
- 生活の動線を重視した街づくり
- 都道府県などの役割〜高所からの助言などが求められる。
この他、レポートが7本であり、見所はあまりない。もともと版元が社協さんなので、2006年のはじめの号はこんな感じで…
付録として、高齢者虐待防止法、トピックスで障害者自立支援法の成立と附帯決議文が載せられている。
2006.10.11