地 球 の 温 暖 化
(1998.5.20)
 
 もうかなり前から地球の温暖化現象が騒がれている。 原因は大気中の炭酸ガスやメタンガスの濃度の増大。 大気中の炭酸ガスやメタンガスが増えると、熱を地球の外に逃がしにくくなる。 これを温室効果と呼ぶのだそうで、結果として熱が溜まり、地表の気温が上昇する。
 そこで大気中に排出する炭酸ガスなどの量を減らそうと、 昨年の温暖化防止京都会議で先進国の炭酸ガス排出削減目標が決められたことはご存じの通り。

 温暖化が問題にされるのは、 それによって様々な弊害が引き起こされるからである。たとえば異常気象。 昨年から今年にかけてのこれまでにない大規模なエルニーニョ現象 (南米のペルー沖の海面水温が一時的に上昇する現象)とそれに伴う異常気象は、 地球の温暖化に関わりがあると言われる。そのほか、 北極や南極の氷が溶けて海水面が上昇するとか、 穀物の作付け可能面積が減少(結果として穀物生産量が減少) して地球規模で食糧不足が起きるとか、いろいろと言われている。 南のある島国では、海水面の上昇で国土が水没の危機に晒されているそうだ。

 温暖化がさらに進むとどうなるか。気温の上昇に伴って海水の蒸発が盛んになり、やがて地球は厚い雲に覆われるようになる。 こうなると雲が太陽からの熱を遮断するので、地球は一転して寒冷化に向かいはじめる。つまり、温暖化の次に来るのは氷河時代、というわけである。

 野草の世界でも、すでに温暖化の影響が現れているようだ。 植物図鑑によるとセイヨウタンポポとノゲシの日本における花期は 春から秋にかけてで、冬になると地上部は枯れて花は咲かない。 少なくとも私の子供の頃には真冬にタンポポやノゲシの花を見た記憶はない。 ところが最近は枯れるどころか真冬でも花が見られる。 写真のノゲシは今年(1998年)の2月に東京都大田区京浜島で撮影したもので、 真冬であるにもかかわらず見事に花を咲かせていた。 このように花期がずれる現象は他の野草でも見られ、 たとえばビロードモウズイカが植物図鑑で調べた花期よりも、 二ヶ月も三ヶ月も早く花を咲かせていたりする。

 花が早く咲いたり、何時までも咲いていたりする程度なら、 せいぜい季節感を損なうくらいのことで済むが、さらに温暖化が進めば、 おそらく野草の分布域が変化するだろうし、種類によっては絶滅、 と言ったことも考えられる。 現在でも絶滅が危ぐされている野草は少なくないそうで、 その一因として大気の汚染や乱獲などが上げられているが、 気候の温暖化もその一因となっている可能性もないとは言えない。

 近頃は冬が暖かいので助かる、などと気楽なことを言う人もいるけれど、 状況がさらに進めば、野草ばかりでなく人類の生存までが脅かされることになりかねないのだ。 的確な対策を地球規模で実施し、一日も早く温暖化を食い止めて欲しいものである。


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