ルノー、F1からの撤退を発表


Last updated, Jun.22 1996

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 6月21日付、朝日新聞夕刊の報道によると、フランスのルノーが20日、来年末まででF1から撤退すると発表した。記事によるとルノーは「80回もの勝利を通じて、ルノーは既に技術の卓越性やスタッフのレベルの高さを十分に証明できた」とし、数ヶ月後に新たなスポーツ活動について発表すると記してある。

 現在F1にはルノー、メルセデス・ベンツ、プジョー、フォード、ヤマハなどが参戦している。その中でルノーはここ数年「トップ」の位置を不動のものとしてきた。そのルノーが何故ここに来て撤退を決めたのだろうか。正論で言えば、ルノーの発表通り、「強さ、技術力は十分証明した」ということだろう。しかし、ここに来てホンダのF1復帰のうわさがかなり具体的に浮上してきている。これが影響しているとも言えないだろうか?。まずホンダ(マクラーレン・ホンダ)は1992年、ルノー(ウィリアムズ・ルノー)に完敗して活動休止に入った(エンジンのパワーでは勝っていたが・・・)。だから今度復帰する時には「打倒ルノー」を照準に復帰してくると考えれれる。
 ホンダがF1活動を休止して4年。しかし、エンジンに関するレギュレーションは排気量が3500ccから3000ccに下げられただけで、技術的に大きな変化は少ない。排気量が小さくなった分高回転で(ルノーエンジンは17,000〜18,000回転まで回ると推測されている)パワーを稼いでいる。しかしその「高回転、高出力」は本田宗一郎時代からのホンダのお家芸であり、休止中にも基礎研究を続けているとのことだから、復帰後早い時期にルノーを上回るエンジンを送り込んでくることは案外容易であると予想できる。それを迎え撃つルノーにとっては、トップを維持するため更なる開発が必要となり、開発競争がより激化してコストもより膨らむことになるだろう。ルノーはそれを避けるため、ホンダが復帰する前、言わば「勝ち逃げ」のかたちでのF1撤退を決断したとは言えないだろうか。
 ホンダにしてもルノーの撤退は、復帰の決定に微妙に影響してくると思う。常勝のルノーを破るという目標が無くなった今、それに代わる目標が定めにくい。ただ「勝つ」という単純な目標で参戦しそれを達成したとしても、結局過去に何度かあったホンダ締め出しのためのレギュレーション変更といった事態も起りかねない。だからホンダはよりF1界への貢献を意識した目標を掲げ復帰する必要があると思われる(複数チームに供給する、限られた予算内で活動する等)。
 ホンダF1復帰が囁かれる中でのルノー撤退はやはり残念。できればルノー対ホンダのバトルをもう一度見たかった(もちろんホンダが勝つ!)。あとは、プジョーやメルセデス、フォードにより頑張ってもらって、ホンダの手強い相手になってくれるのを願うしかない。いずれにしてもこんな中で、ホンダがどのようなかたちでF1復帰を発表するのか注目である。