名古屋空襲

 

初空襲

昭和17年4月18日、米空母「ホーネット」から発進した米B−25爆撃機による所謂ドーリットル空襲行われ、愛知

県には2機が来襲し、名古屋市内6か所に投弾され、死者8名、負傷者31名を出した。

 

昭和19年

昭和19年7月、サイパン島の守備隊が玉砕すると、ここが日本本土に対する空襲の基地となり日本本土は空襲の

射程距離内に入った。

11月5日には東海地方上空にも、B29爆撃機が1機現われ偵察を行った。当初の目標は東京都の中島飛行機

名古屋の三菱重工、北九州の八幡製鉄所であったといわれる。

同年12月13日、B29爆撃機90機による、航空機関係の工場であった三菱発動機大幸工場(現:ナゴヤドーム)

に対する初の本格的空襲が行われた。

 

昭和20年

昭和20年2月15日には、焼夷弾約2万発が市中心部(千種区)にあった三菱発動機工場の周辺地域に落とされた。

3月12日の夜には、名古屋市の市街地(西区)に対する大規模空襲が行われ、市街地の約5%が焼失したとされる。

 

3月19日の午前2時頃、B29爆撃機230機(310機との説も有る)による市街地に対する大規模空襲が行われた。

この空襲により一夜にして15万1332人が被災し(死亡826人)、家屋3万9893棟が焼失し、市中心部は焼け野原

となった。

 

6月 9日には熱田空襲が行われ、愛知時計電機の従業員・動員学徒を中心に約2,000名にのぼる死者をだした。

 

その後も名古屋市街に対する空襲は行われ、その回数は68回とも云われている。他の大都市と同様に壊滅的に破壊

され、市街地は焦土と化した。

 

被害概況

(但し、資料により差異有り)

死者 約8,000人、負傷者 約10,000人、罹災者 約520,000人、家屋の被害 約140,000戸

被災地面積 約23%(但し、東区・中区・熱田区では50%超)

 

終戦後、更地となった名古屋市中心部には、久屋大通・若宮大通が作られた。

 

被害統計

拠出:愛知県警察本部発行「愛知県警察史」

年月日 機種、機数 主な被災地区 被害状況 備考
焼失家屋 罹災者 死者 負傷者

昭和17年

4月18日 B25 2 市内6ケ所 8 31
ホーネット発艦

昭和19年

12月13日 B29 70
千種区、東区、北区、中村区、中区
264 811 330 356
三菱発動機第四工場
12月18日 B29 1
港区
13 0 46
三菱航空機大江工場
大同製鋼大江工場
名古屋造船
B29 70
西区、瑞穂区、港区、南区、鳴海町、天白村
323 1,211 334 207
12月22日 B29 62
南区、東区、熱田区、瑞穂、天白村、守山町、鳴海町
3 10 0 3
三菱発動機第四工場
12月31日 B29 1
瑞穂区、昭和区
 

昭和20年


1月 3日
B29 70
西区、中村区、栄、昭和区、熱田区、中川区
3,588 16,336 70 346
高田派病院全焼
栄郵便局全焼
中央電信局全焼
名古屋ホテル全焼
1月 4日 B29 1
中川区
4 10 4 5
 
1月 8日 B29 1
瑞穂区、熱田区
15 60 1 7
 
B29 1
昭和区、中区、熱田区、中川区
18 53 1 2
1月 9日 B29 1
西区
26 149 1 9
俵校半焼
B29 1
鳴海町山林
B29 20
瑞穂区
南区
29 117 2 7
1月14日 B29 60
熱田区、中川区、港区、南区
194 694 94 98
三菱航空機大江工場
1月15日 B29 1
守山町山林
 
1月16日 B29 1
北区
0 2
 
B29 1
中川区
4 20 1 6
 
1月23日 B29 1
千種区、東区、栄
112 504 23 65  
B29 70
千種区、東区、北区、中村区、栄、昭和区、瑞穂区、守山町、天白村
4 10 4 5
三菱発動機第四工場
1月24日 B29 1
天白村
5 51 4
 
1月25日 B29 1
瑞穂区、南区
64 375 4 21
 
2月 1日
 2日
B29 1
大府町
 
2月11日 B29 1

西区

9 40
 
1月12日 B29 1
西区
78 402 28 21
 
2月15日 B29 60
東区、千種区、熱田区、南区、中村区、港区、守山町
709 3,755 61 52
三菱発動機第四工場
2月21日 B29 1
瑞穂区
被害ナシ
2月25日 B29 1
天白村山林
被害ナシ
3月 3日 B29 5
港区、南区
1 1
 
3月 4日 B29 1
熱田区
1 24 1 19
 
3月11日
〜12日
B29 200
千種区、東区、北区、西区、中村区、栄、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、
区、港区、南区
25,734 105,093 519 734
丸栄百貨店全焼
中区役所全焼
昭和区役所全焼
熱田区役所全焼
熱田神宮全焼
3月12日 B29 1
栄、西区、南区、猪高村、天白村)、守山町、南陽町
3 13 7 23
 
3月13日
〜14日
B29 1
港区、南区
2

0

1

0

74
3
 
3月18日 B29 1 中川区 1  
3月19日 B29 230
千種区、東区、北区、西区、中村区、栄、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区
39,893 151,332 826 2,728
愛知縣護国神社焼失
高田派本願寺別院焼失
大須観音焼失
3月30日
〜31日
B29 27
千種区、東区、昭和区(御器所)
185 749 29 9
三菱発動機第四工場
3月24日
〜25日
B29 130 千種区、東区、北区、西区、栄、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山町、楠村 7,066 35,911 1,617 770 三菱発動機第四工場
4月 6日 B29 1
港区
4 5 53
 
4月 7日 B29 160
千種区、東区、北区、中川区、猪高村
5,191 17,139 302 133
三菱発動機第四工場
5月 8日 B29 1
守山町の田
 
5月14日 B29 440 千種区。東区、北区、中村区、栄、昭和区、南区 21,905 66,585 338 783 名古屋城焼失
徳川園焼失
5月17日 B29 100
千種区、東区、西区、中村区、栄、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区。南区
23,695 92,390 505 1,300
熱田神宮本殿焼失
5月22日 B29 1
千種区
22 57 9 10
 
6月 9日 B29 42 熱田区、港区、南区 1,843 5,400 2,068 1,944 愛知時計電機船方工場
愛知航空機船方工場
愛知発動機
6月26日 B29 120
千種区、東区、中村区、栄、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、天白村
4,016 17,334 426 327
名古屋造兵廠千種工場
名古屋造兵廠熱田工場
愛知航空機永徳工場
日本車両製造(株)
B29 1
港区
51 5 4
 
7月15日 B29 100
南区、東区、西区、北区、鳴海町
6 6 20
 
7月24日 B29 71
港区
262 167 208
愛知航空機永徳工場
7月26日

B29

1 昭和区 14 2 6  

合計

  2,136   135,357 516,584 7,850 10,442  

 

名古屋港 10号石炭埠頭

愛知県名古屋市港区

被爆灯台

 

被爆灯台に残る機銃掃射の弾痕

 

千種公園

愛知県名古屋市千種区

名古屋造兵廠千種製造所外塀

碑文

第二次世界大戦の末期、再度の名古屋空襲はこの地にあった名古屋造兵廠千種製造所に甚大な被害を

与えた。この碑は、その爆撃による痕跡を残す外塀の一部を移設し戦争の記録として残したものである。

昭和六十二年一月

 

  

名古屋造兵廠千種製造所外塀 機銃掃射の弾痕

 

慰霊碑

碑文

ここに涙あり されど平和を永遠に

ここは元名古屋造兵廠千種製造所の所在地であって 大正八年開所以来 兵器を製造して国家の要請に

応え多大の貢献をした由緒ある地である

太平洋戦争において全従業員は祖国愛に燃えて職域を固守したのであるが 不幸にして昭和二十年三月

以降数度の爆撃を受けて六十九名の犠牲者を出し これに戦前の公務による死亡者五名を加えて 計七

十四名の殉職者を出したことはまことに痛恨の極みである

ここに有志相諮り旧構内にこの碑を建立して記念とし あわせて永遠の平和をこいねがうものである

昭和四十三年六月  元名古屋造兵廠千種製造所 関係有志一同

 

愛知縣護國神社

愛知県名古屋市中区

250kg爆弾

説明版

平成9年2月20日、南警察署(名古屋市内)の新庁舎工事現場で発見された爆弾(後略)。

 

都市空襲

更新日:2010/04/25