海軍大尉 小灘利春
沖縄方面の回天関係戦没者
平成14年 3月21日
米軍が沖縄に来襲する直前の昭和二〇年三月、陸上から発進する最初の部隊「第一回天隊」が光基地を出撃し
那覇に向かった。
便乗した第十八号一等輸送艦は到着予定の三月十八日未明、米国潜水艦と遭遇し交戦一時間ののち
遂に那覇北西の粟国島至近の地点で沈んだ。
隊長河合不死男中尉以下一二七名は全員がこのとき戦死したと見られる。
輸送艦乗員二二五名も全員が戦死した。
沖縄本島周辺で米艦隊を攻撃した回天特別攻撃隊「多々良隊」の伊号第五六潜水艦は四月五日米国駆逐艦と交戦し、
久米島西方で沈んだ。回天搭乗員は福島誠二少佐ほか五名。潜水艦乗員一二二名が戦没した。
また伊号第四四潜水艦は沖縄東方で四月十八日、航空機、駆逐艦群と交戦して沈んだ。
回天搭乗員は土井秀夫少佐ほか三名。潜水艦乗員一三〇名が戦没した。
次いで、洋上を航行する敵を求めた「天武隊」の伊号第三六潜水艦から沖縄水域で四月二七日、
回天搭乗員、八木悌二少佐ほか三名が敵輸送船団めがけて発進、戦死した。
伊号第四七潜水艦も沖縄東方で五月二日および七日、回天搭乗員柿崎 実少佐ほか三名が発進、戦死した。
五月二日「振武隊」の伊号第三六七潜水艦から沖縄東方水域で回天搭乗員は千葉三郎少尉ほか一名が発進、戦死した。
五月三〇日「轟隊」伊号第三六一潜水艦は沖蝿東方海域で米空母搭載機と交戦、戦没した。
回天搭乗員は小林富三雄少佐ほか四名。潜水艦乗員八一名が戦没した。
「多聞隊」伊号第五三潜水艦からは沖縄南方水域で七月二四日から八月四日にかけて勝山 淳少佐ほか三名が発進、
戦死した。
八月十一日、同伊号第三六六潜水艦からは沖縄東方水域で搭乗員成瀬謙治少佐ほか二名が発進、戦死した。
七月二八日から九月十一日にかけ同隊伊号第五八潜水艦から沖縄東方水域で伴 修二少佐ほか四名が発進、戦死した。
沖縄水域で戦没した回天搭乗員は合わせて四四名、回天を搭載し戦没した潜水艦は計三隻、その乗員は三三三名。
また輸送艦一隻が沈み乗員二二五名が載没した。
戦没者の氏名は、第一回天隊が長年にわたる調査にかかわらず僅かに十四名のみの判明にとどまり、
今も調査を続けているほかは、全員が判明している。
上記の回天関係戦没者はこの未判明者以外、いずれも沖縄本島南部の「平和の礎」に氏名を刻銘されている。
注:轟隊伊36潜の回天搭乗員、伊165潜の搭乗員及び乗員は戦没地点が沖縄水域外なので対象から除いた。
隊名 |
潜水艦等 |
戦没者 |
|||
回天搭乗員 |
基地員 |
潜水艦搭乗員 |
計 |
||
総員刻銘 |
総員/刻銘 |
総員刻銘 |
総員/刻銘 |
||
第1回天隊 |
|
7 |
120/ 7 |
|
127/ 14 |
第18号輸送艦 |
|
|
225 |
225/225 |
|
多々良隊 |
伊 56潜 |
6 |
|
122 |
128/128 |
伊 44潜 |
4 |
|
130 |
134/134 |
|
天武隊 |
伊 36潜 |
4 |
|
|
4/ 4 |
伊 47潜 |
4 |
|
|
4/ 4 |
|
振武隊 |
伊367潜 |
2 |
|
|
2/ 2 |
轟隊 |
伊361潜 |
5 |
|
81 |
86/ 86 |
多聞隊 |
伊 53潜 |
4 |
|
|
4/ 4 |
伊366潜 |
3 |
|
|
3/ 3 |
|
伊 58潜 |
5 |
|
|
5/ 5 |
|
合計 |
44 |
120/ 7 |
558 |
722/609 |
更新日:2008/02/24