海軍大尉 小灘利春

 

八丈島教育委員会

底土基地(第二回天隊)回天壕 説明版

平成17年10月 1日

 

人間魚雷「回天」二号壕跡(底土基地)

昭和20年の春、本土決戦に備え特攻兵器の人間魚雷「回天」が、沖縄、九州、四国、近畿の各地方と、

関東では唯一、この八丈島に第2回天隊の「回天」8基が配備された。

そのうちの4基がこの底土基地で、後の4基は末吉地域の石積基地にあり、

回天隊員は、それぞれ格納壕の中で発進時期が来るのを待ち続けていた。

回天隊員の任務は、八丈島へ侵攻するとき先ず艦砲射撃を加えてくる敵戦艦の撃滅であった。

「回天」は、直径m、長さ14.75m、最高速力30ノット、重量8.3トンで、

車輪付きの架台に載って格納壕の中で待機し、発進する時はレールの上を動いて斜路から海に入り、

機械を発動して敵艦に向かう。

しかしながら、その進発の機会は遂に訪れず、終戦となってのち、武装解除のため来島した米国艦隊は、

「回天」全部の爆破を指示したので、回天隊員は自らの手により、各「回天」の爆薬1.55トンを装填した

頭部を切り離して海中に投棄した上、胴体を格納壕に納めて爆破した。

底土の「回天」格納壕は長さ37m、幅3m、高さ3.5mの大きさで、2ヵ所の壕に「回天」を2基ずつ収納した。

陸側の一号壕はのちに崩落したが、海側の二号壕はこのように現在もその姿をとどめている。

 

平成17年10月 1日 (元八丈島回天隊長 海軍大尉 小灘利春撰文) 八丈町教育委員会

 

海軍大尉 小灘利春

更新日:2009/12/06