海軍大尉 小灘利春

 

回天 作戦計画の経緯(菊水隊)

                                          平成16年 2月 5日

 

◎回天兵器採用、使用計画

 

@兵器試作承認 19. 2.26 :海軍省軍務局

 ・第一特別基地隊 10. 7.10 設置

  呉鎮守府附長井満少将 (元佐伯航空隊司令) が司令官に発令され着任

 ・19.6.7〜7.初 ○六金物試作基完成

  19.7.25 ○六金物公式運転成功

 

A兵器採用    19. 8. 1 :海軍省軍務局

 至上命令として「8月末までに回天 100基製造」を指示

 

B兵器整備計画 19. 8. 1以後:海軍省軍務局

 一特基長井司令官に出頭を求め、海軍省軍務局第一課長山本善雄大佐より構想説明

 ・回天の生産は月産 100基を目標とする。

 ・出撃を月 100基を目標に、搭乗訓練を実施すること。

 ・搭乗所要回数を1人 30回とすれば、毎日100基の訓練を要する。

訓練基地は取り敢えず大津島の遠距離魚雷発射場を第一とし、その後数カ所を設置する計画である。

 

C一特基長井満司令官に対し8月下旬、回天第一次攻撃に関する要請内示:軍令部

 ・出撃予定 10月末、遅くとも11月初旬を目途とし戦力化をはかる

 ・出撃基数  12乃至 16

 ・出撃搭乗員は全員士官をあてる

 

D訓練基地大津島   19. 9. 1 開隊  9. 5 搭乗訓練開始

 

◎玄作戦 作戦企画の経緯

@大本営海軍部 19. 9.12 軍令部総長官邸にて奇襲作戦〔玄作戦〕の研究、検討

 ・使用兵力 大型潜水艦6隻  予備2隻  1隻に回天4基

  伊36  41 伊44 伊46 伊26 伊38 伊45 伊54  計8隻

  回天要員は9月末までに 32 基分を用意

  回天搭載工事は 9.27 30 の間に完成させる

 ・作戦時期 10.28 11.5 の月明期

 ・攻撃目標 局地奇襲 空母

  攻撃地点 メジュロ、ケゼリン、ブラウン

 

A軍令部藤森康男部員 19. 9.27 中沢佑第一部長に報告

 ・攻撃目標 ブラウン または マ−シャル泊地   2隻

  アドミラルテイ−諸島              2隻

  マリアナ または パラオ            2隻          計6隻

 ・作戦時期 11月 3日

 

B玄作戦決行準備 19.10 :先遣部隊戦闘詳報 二. 計画

 ・11月上旬に攻撃決行を予定

 ・使用兵力  伊36 伊38 伊41 伊44 伊46          計5隻

 

C玄作戦変更  比島戦局切迫により同方面に潜水艦を集中するため19.10.17最初の計画を中止、新たに計画

 ・使用兵力  伊36 伊37 伊47                   計3隻

 

D連合艦隊司令長官は 19.11.5 玄作戦を発令した「先遣部隊指揮官は左により玄作戦を実施すべし」

 ・西カロリン方面在泊中の敵機動部隊を捕捉、回天にて挺身奇襲

 ・攻撃期日 11月20日

 ・兵力   第15潜水隊の作戦行動中の一部をもって隠密実施

 

E先遣部隊指揮官 (第六艦隊長官) は攻撃地点を決定した           計3隻

 ・伊36 伊47 : ウルシ−

  伊37     : コッソル水道

 

◎初出撃回天搭乗員の選抜

  回天隊の第一次出撃に参加する搭乗員の選抜は昭和19年9月下旬、大津島分遣隊で行われた指揮官

  板倉光馬少佐の面接により決定された。

 

⑴ 第一次発令

  19年10月1日、下記のとおり第一特別基地隊附の20名が〔兼補第六艦隊司令部附〕を発令された。

  :海軍公報(潜水艦5隻分)(仰付、命を含む。2名は水雷科下士官)

  本件基地内では別段の発表はなかったが、出撃記念写真の撮影などが行われた。

  上別府宜紀  仁科関夫   加賀谷武   石川誠三  河合不死男

  吉本健太郎  川久保輝夫  柿崎 実   福田 斉  豊住和寿

  村上克巴   川崎順二   宇都宮秀一  今西太一  佐藤 章

  渡辺幸三   近藤和彦   工藤義彦   古川七郎  福本百合満

 

⑵ 菊水隊発令

  1911月8日回天特別攻撃隊菊水隊の潜水艦3隻が出撃、同日付で「第一特別基地隊兼第六艦隊司令部附」

  の下記12名が〔補第六艦隊司令部附〕を発令された。:海軍公報(士官のみ)

  上別府宜紀  仁科関夫   吉本健太郎  福田 斉  豊住和寿

  村上克巴   宇都宮秀一  今西太一   佐藤 章  渡辺幸三

  近藤和彦   工藤義彦

 

  正式の発令は出撃当日の日付であるが、当然本人はもとより基地内では前広に周知されていた。

  発進出来ず基地に帰還した搭乗員3名は内地帰着後〔補第一特別基地隊附〕を発令され、以前に戻った。

 

海軍大尉 小灘利春

更新日:2008/08/17