海兵七十三期 祭 文
七十三期新聞第一号 「波櫻」
昭和21年 3月 1日 発行
社説
皇国の前途愈多難なる時各位御検討の趣御慶賀に堪へず、茲に我等が所懐
を延べ報国の決意を堅くしたいと思ふ
我等は将に敗れたり其の罪や重し何を以て償はんとする哉 顧れば太平洋
上雌雄を決すべく兵を養ふ二年有余 寒風暑熱もものかは唯殉忠の一念に
燃えて修練之努めたりき 宿望空しからず一億の興亡を担ひて江田島を出
ずるや勇戦力闘精魂を尽して蒼海碧空若き純血もて彩れる戦友幾人ぞ
我等亦戦友の屍を越えて洋上遥か旌旗を進めんと奮迅の意気凄じく戦ひに
戦うも 嗚呼何たる悲運我等が努力至らざりしか力及ばざりしか 悲痛忍び
難し されど皇土尚存する限り皇国再興の途必ずや開かるべく吾人亦之を開
かざるべからず 吾人尚敗戦の屈辱を忍びて生を永うる所以亦茲に在り之
を破砕し之を導き皇国を護持するは誰ぞ 我身己に無し百難萬苦何を恐れ
ん
我等は尊き陛下の股肱たり我等盡く茲に倒れるとも皇統をして無窮たらし
めば即ち足る 栄光必ず我にあり
クラスは心の泉なり 共に喜び共に悲しみ美しき友誼は益々之を厚くし協
心戮力武人の大道を直進せん哉
今は亡き戦友の英霊に謹みて黙祷を捧ぐ
すめらぎの道は一つと思へども 変わりはてたる世の姿かな
春を見んいばらの道は遠けれど 止め置かまし大和魂
更新日:2003/03/07