女王の教室 第6話      Top 
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この物語は

悪魔のような鬼教師に
小学6年の子供たちが戦いを挑んだ

              一年間の記録

 
 和美の住むマンション
 神田家

「おかわり!これ、うまいなぁ〜。おかげでご飯、進んじゃってさ。」



章子
「よかったわね。・・・」

「あ、和美、ハンバーグあげるよ。好きだったもんな。」
和美「うん、」

和美「ありがと・・・」


「そうだ夏休みだしさ、みんなで旅行でも行こうか。」
 ・・・
章子
「どうしたの〜?」


「べつに。おれは、ほら、家族の時間大事にしたいからさ。」

章子
「へぇ〜、とか何とか言って、」
章子
「やましい事でもあるんじゃないの?」


「おまえさ、そ、そういう変な詮索するのやめろよ。」
章子
「料理の事なんて滅多に褒めないのに」
 ・・・
章子
「さっきもメールがき・あぁぁ〜〜!!

「あああ、ぁ、ぁ、ぁ」


「ごめん!こぼしちゃった・・・」


章子
「びちょびちょ。」
 ・・・
 昨日の事を回想する和美
真矢「私の教室では夏休みはありません。
真矢「いままでどうり。」
真矢「毎日、学校に来てもらいます。」
 ・・・
真矢
「スケジュール表を渡しますので各班の班長、班の人に配って。」
児童「はい。」
真矢
「夏休みの間、」
真矢
「毎日出席する度にそのカードに」
真矢「このシールを貼ります。」
真矢
「テストの成績がよかったり、運動や音楽が優秀だったり」
真矢
「挨拶がきちんとできる人にもシールを貼りますから、」
真矢
「全員、首からぶら下げて常に携帯するように。」
真矢
「そうやって、各自のポイントを集計したものを」
真矢
「こうして、グラフにして張り出します。」
真矢
「もちろん、一番得点の低い人と」
真矢
「低い班には居残りで」
真矢「罰を与えます。」
真矢「・・・そうねぇ・・・」
真矢
「みんなが帰るまで、
真矢
「机の上に正座して、反省するのは」
真矢
「どう?」
真矢
「もちろん、
真矢
「今まで以上に雑用も増やしてね」
刈谷「あの先生!得点が高い人は何か良い事があるんですが?」
真矢
「もちろんよ。」
真矢
「夏休みの間にカードのポイントが満点になった人にはその場で卒業証書を渡します。その人は2学期から学校に来る必要はありません。」
真矢
「彼は、こんなものをもらう為に学校に来ている訳じゃないなどと愚かな事を言っていたけど、
真矢
「他の人は、頭が良いから分かるわよね?卒業証書をもらえれば、私立を受ける人は受験勉強に専念できるし、
真矢
「他の人だって朝寝坊しようが、
真矢
「遅刻をしようが、
真矢
「もう、文句を言われないのよ。
 ・・・
和美
「わたしは・・・
 ・・・
和美
「いえ、やっぱりおかしいと思います。」
 ・・・
和美
「しょ、小学校、さ、最後の夏休みなんだし、」
和美
「みんなで、海とか山とか行ったりして楽しい思い出作りたいとか思わない?」
由介
「いいですね〜。海とか山〜。」
和美
「やっぱり、夏休みですしねぇ〜。」

由介
「夏休みですもの〜。」

真矢
いいのよ。
真矢
「来たくない人は来なくても」
真矢
「でも、いいのかしら?自分達が休んでる間に、クラスのみんなにどんどん取り残されても。」
由介
「後からがんばりましょうよ。ね?」

和美
「ねぇ〜、ほらファイト!ファイトー!。」


あたし、来ます!!
 ・・・
 ・・・
「僕も、来ます。」
「僕も。」
「あたしも、」
「あたしも、」
「俺もきます。」
「俺も!」
「ぼくもきます。」

「僕も!」

「俺もきます。」
「ぼくもきます。」
「僕も!」
「俺も!」
「僕も!」
 ・・・
・・・
 起き上がる和美
「よーし、」
 カードとスケジュール表をもって部屋を出る和美
 パンを一かじりし、牛乳を流し込む
和美はい!


章子「ん〜?」
章子「夏休みスケジュールひょぉぉ〜!?」
和美「放課後、先生が説明するんだって」
「いってきまーす!」
 パンを口に放りながら駆け足で出て行く和美
真矢
 「私の言う事をおとなしく聞いていれば」
真矢「泣かなくて済むの。」
和美「私、」
和美「泣きませんから」
和美「絶対、泣きませんから」
 駆け足で学校に向かう和美
 
校長
「大丈夫なんですかね、夏休み無くして?」

教頭「問題ないでしょう〜」
教頭「校長が許可なされば、」
教頭
「昔は、我々教師も自宅研修という名目で休みは取れましたけど、今はもう、」
教頭
「職場研修でしか認められないから夏休みの間も土日以外は登校しなくちゃいけないんですよ。」
教頭
「児童が登校したっていいでしょう。」
校長「あ、並木先生!並木先生?」


呼ばれた拍子に並木が手に持っていたものを落としてしまう。
校長
「あの、どう、おもわれますか?」
並木
「あ〜、やっぱり、あの、アレですね、私も阿久津先生なら、あ、心配ないかな〜なんて、そう思います。はい。」
並木
「そうだ、こっちは有給で家族旅行を計画してて、ぇ〜旅行に、いきにくいぞ〜!!なんて」
並木「アハハハハ・・・」
「どうしたんですか?天道先生。」
並木
「今日は元気ないじゃないですか?いつもなら真っ先に」
並木
「阿久津先生に反論するのに・・・」
天道
「ちょと・・・保護者からクレームがあって、」
校長
「え!?天道先生?なんか不都合な事でもあったんですか?」
天道
「あの・・・学級便りに、ある児童のことを書いたら保護者の方がプライバシーの侵害だって・・・」
教頭
「よくあるパターンじゃないですか?気をつけてくんないとー。」

校長
「そうですよ、担任を変えてくれっていわれないようにねぇ・・・」
天道
「でも、私はそういうつもりじゃ・・・」
並木
「あんまり、気にしないほうがいいいですよ。何かあったらいつでも私が相談に乗りますから。」
天道
「あの・・・阿久津先生ならどうします?」
真矢
「教師なら、ご自分で考えたら?」
 ・・・
「阿久津先生!」
「6年3組の保護者の方達がお見えになってるんですけど。」

教頭
「ああ、とりあえず・・・理科実験室の方、いってもらいましょうか。」


「はい。」
 理科実験室に向かう保護者たち
 理科実験室に向かう真矢
「先生。夏休みが無いって言うのは」
「どういう事なんでしょうか?」

「うちの子塾があるんですけど。」

「うちは実家の方に行く事になってるんです」

「給食はどうするんですか?」

「あの、やっぱり、余分にお金がかかったりするんですか?」
章子
「あたし達も小さい頃楽しみでしたよね?夏休みってねぇ、フフ、」

他の保護者
・・・
章子
「あ、」
章子
「すいません・・・」
真矢
「私が解っていただきたいのは、皆さんのお子さんは今、確実に成長していると言う事なんです。」
真矢
「それなのに夏休みをダラダラ過ごしていいんでしょうか?せっかくの成長が止まり、」
真矢
「全て水の泡になってしまうんですよ。お手元のスケジュール表を見ていただければ御解りになると思いますが」
真矢
「無料の塾代わりと考えて頂ければ」
真矢
「皆様にとっても、」
真矢
「決して悪くないお話だと」
真矢
「思うんですが、」
真矢
「私立を受験するお子さんは、」
真矢
「この夏休みが勝負です。私立を受験する予定の無いお子さんも同級生と」
真矢
「多くの時間を過ごした方が、より、」
真矢
「有意義な毎日をおくれます。」
真矢「なぜなら・・・」


 身を乗り出すように聞き入る親達
真矢
「子供は、子供同士の間で成長するからです。」
恵里花のママ
「うちは喜んで夏休みに子供を学校に通わせます。」
「うちもだわ。」

「うちも。」

「ねぇ〜。」

「うちも〜。」

 

 ・・・
章子「うちもお願いします。」
 ・・・
 遠くの和美達を見る下校途中の進藤ひかる


由介
「どうする?結局親達も真矢に騙されたみたいだし。
このままいくと、夏休みゼロだぜ。」
由介
「やっぱさぁ、俺達だけでふけようぜ。
夏はやっぱり、おもいっきりあそばなきゃ。
なにする?お医者さんごっこなんかどう?!」
和美「わたし、やっぱり行く。」


由介
「え?」
和美
「なんか、ピンチはチャンスって気がするんだよね。」


由介「なんだよ、それ?」
和美
「よくわかんないけどさ、このチャンスを利用して、逆にみんなと仲良くなれるような気がして。」

由介
「大丈夫かよ?またみんなに虐められるかもよ?」

和美
「大丈夫だよ。」
和美
「だって・・・」


由介「だって、なんだよ?」

和美
「あたしはもう、一人じゃないからさ。」


由介「・・・」
由介
「ふぉはは、なんだか、照れんなぁ〜!」
和美
「バカでお調子者でどうしようもないけどね」

由介
「ハァ?」
由介「それどういう意味だよ!?」
和美「あ!・・・真矢だ。」
由介「え?」


和美「バカがみるぅ〜♪」
由介「うわ!この野郎〜!」
由介「ちょっとまて〜!」
「このやろう〜。」
 ・・・
階段を下りていく天道。
携帯に着信が
 
天道
「もしもし、やっちゃん?
ごめんね、昨日。ちょっと保護者とトラブっちゃってさ。
今日?大丈夫だよ。だって久しぶりのデートなんだし・・・」
!!
天道
うん。ごめんね、じゃ、あとでね。はい・・・」
真矢
「トラブルの方は解決したの?」

天道
「あ・・・」
天道
「いいえ・・・なかなか、大変で。」

真矢
「それなのに、デート。」
真矢「楽しそうね。」


天道
「プライベートも、大事ですから・・・」


真矢
「あなたみたいな人がいるから、言われるのよ。」
真矢
「女性は、いいですね。いざとなったら結婚すればいいんだし、って。」
真矢
「いっそ、おやめになったら?恋人もそれを望んでるんだろうし。」
 ・・・
夏休み。
ラジヲ体操をする児童達
 ・・・
校長
「大丈夫なんえすかねぇ。ラジオ体操なんかやらせて〜。」
教頭
「えぇ〜?別に問題ないじゃないですか。昔はみんなやってたんだし。」
教頭
「なんだか、懐かしいですね〜。」
ラジオ体操が終わり真矢のもとに駆け寄る児童達
個人評価カードにシールを張っていく真矢
 
並ばないのは、和美、由介、ひかるの三人。

由介に手招きし、その場を離れる和美
 ・・・
 ひかるにも手招きする和美
 ・・・
 ・・・ 
 ・・・

 ・・・
 二人だけでその場を去る
 テスト中
 一番に解き終わるひかる。
 ・・・
 解けない馬場
 シールを張ってもらうひかる。
 うさぎ跳び
 由介が一着。
由介「やった!やったぁーー!!」
 シールを張ってもらう由介。
由介「おーし。やったー!!」
 ・ ・ ・。
 和美が睨んでいる。
 ・・・
 「〜〜〜!
 ・・・
 ・・・
〜!
 そんな二人をチラッと見る真矢
 家庭科の時間
刈谷「先生〜!」
恵里花「なぁにっ、」

刈谷
「ちょ、これ・・・」
恵里花
「これ食べてくださ〜い。」
刈谷「これ食べてくださーい。」
恵里花
「このお肉おいいしいですよ。」


「これ食べてください。」
「これ、」
「これ食べてください。」
「うるさい、私が1番・・・」

 群がる児童達
 必死で盛り付ける馬場
 すごい勢いで持って行く
 ・・・
 ・・・
 ・・・
真矢
「今日も、最下位は、いつもの二人みたいね。」
真矢
「みんなが帰るまで反省してなさい。」


由介と和美が黙って机の上に正座する。
 ・・・
真矢
「一番成績の悪い班も6班だから、馬場さんと進藤さんはこの二人と一緒に、残って掃除をしときなさい。」
馬場「先生。」

真矢「なんですか?馬場さん。」

馬場「班を代えてください。」
馬場
「二人のせいで私がいくらがんばっても、毎日雑用やらされるし・・・」
真矢「進藤さんならともかく・・・」
真矢
「あなたが、そんな偉そうな事いえる成績をとっているかしら。」
 
 ・・・



真矢「カードもってきなさい。」
真矢
「くだらない質問をして、みんなの貴重な時間を無駄にしたからマイナスポイントです。」
馬場「そんな・・・」


真矢
はやくしなさい。
シールを剥がされる馬場


ベリッ!
ベリッ!

ベリッ!


チャイムが鳴る
きりーつ。

礼。
さよならー。

 
着席する児童達。
 教室を去る真矢
 「ふぅーーーー。」
 帰り支度をする児童たち
由介
「じゃ、またあしたなー。」
和美
「けっこう〜。足、しびれてまぁ〜す。」
由介
「お風呂はいれよ。歯みがけよ〜。」


和美
「お腹こわすなよ〜。冷たいものばっかたべて〜。」
 ・・・
和美
「なんか、みんなの顔がどんどん怖くなってんだけど。」
和美「ねぇ、由介も」
和美
「なんか考えてよ。
楽しくて、みんながのってくれそうな事。」
 ・・・
 !
由介「女子の水着撮影会!」
由介「もりあがるぞ〜」
和美
「あんたの、頭ん中はそういう事しかないの?」
由介
「うっせーな!お前がなんか考えろよ!」
和美
「花火大会とかキャンプファイヤーするのは?」

由介
「あぁ、そんなくだらないことで・」

馬場
早く掃除してください!
和美「ごめん。」


馬場
「あんた達のせいでこっちはほんと迷惑なんだから。」

馬場「ねっ、進藤さん。」
 ・・・
 ・・・
 ・・・
馬場
「わたし、バケツの水くんでくるから、ちゃんと掃除しててね。」

由介
「はい、はい。」
由介「あ!」

和美「いってっ!」

由介「ちょっとまって、」

和美「ちょっとまって、」

由介
「あいつもさ、すっかりいやな奴になっちゃ、」
由介「たぁぁーー!!
和美「ねぇ、」
和美「進藤さんから、」
和美「いってくれないかな?」
和美「一緒に、夏休み楽しもうって。」
進藤
「無駄だから、やめたら?
私立行く人は、真矢の言うとおりにしたほうが都合いいんだし。
実際、3学期になったら学校来ない子もいっぱいいるし。」
由介「え?そうなの・・・」

和美「じゃ、私立行かない人は?」

進藤
「きっと、逃げたいからがんばってるのよ。」

進藤
「卒業証書もらえば、もう真矢の顔みなくて済むから。」
由介「それは、なんとなくわかる。」
和美
「じゃ、なんで進藤さんは学校きてるの?」


進藤
「別に、家にいたくないから。」
進藤
「そっちこそ、そんなに悩むなら来なきゃいいじゃん。」
和美
「私達、決めたんだ。
どんなに真矢にひどい目にあっても絶対諦めないって。」
由介「俺は!」
由介
「無理やり約束させられたんだけどね。」
和美「ぁ、んっー!、ねぇ、進藤さんも、」
和美
「あたし達と一緒にがんばろうね。」
馬場「なにやってんの?」
馬場
「なに、こそこそはなしてたの?」
和美「あのね、馬場ちゃん。」


馬場
わかってるわよ!
馬場「どうせ、私の悪口でしょ。」
 ・・・
馬場
「真矢にチクろうとして相談してたんでしょ?」
由介
「おまえさぁ、被害妄想なんじゃねぇの?」

和美
「なんか、夏休みらしい事しようって話してただけだよ。」
和美「そうだ!」
和美「明日、休みだし、四人でどっかいかない?」
和美「プールとか、遊園地とか、」
由介「おお〜、いいねぇ〜。」

和美「おんなじ、班なんだし」

進藤「わたしは、パス」

馬場わたしだって。

和美
「そんなこと言わないでさ、楽しいよきっと、」
和美「ねぇ、いこうよ、馬場ちゃん!」
和美 「ティヒ。」


進藤「・・・」
 ・・・
由介
「なぁ、もう、一時間もまってんだぜ。
来るわけないって、な。」
由介
「しょうがないから、二人でどっか行く?
なんなら、ホテルとか?」
和美・・・


由介
すいません!
和美「いくわよ。」


由介
「お、おい、ちょ、ど、どこいくんだよ?」


和美「進藤さんの家。」
・・・
由介
「やめたほうがいいんじゃないの?また、すぐ冷たくされるし。」

和美
「わたしさぁ、進藤さんって、ホントはそういう人じゃない気がするんだよね。」

由介
「なんで?」

和美
「なんでって、そう思ったから」
由介
「じゃぁなんでそう思ったの?」

和美
「だめえー?そうおもったらぁ?」
由介「ここかぁ〜。」
 マンションの敷地内へ入る二人
 
・・・
由介「101(イチマルイチ)号室・・・」
 ピンポーン。
 「はぁい。」

和美

「あの、私、ひかるさんと同じクラスの神田といいます。」

由介
「同じく、ま、真鍋でぇす。」
ひかるママ
「ごめんなさい。ひかる、本屋さんに行ったみたいで、すぐ戻ってくると思うんだけど。」

和美
「こちらこそ、すいません。いきなり押しかけちゃって。」
由介
「いやぁ、あの僕はご迷惑だ。つったんですけどねぇ」

ひかるママ
「とんでもない。大歓迎よ。」
ひかるのお友達が来るなんて久しぶりだし。座って、おいしいケーキがあるの。ちょっと、まってて。」

和美
「あ、どうぞ、おかまいなく。」
由介
「あ、じゃ、コイツの分も僕が頂きま〜す。バシッ!いっッ!
ひかるママ
「あの子・・・学校ではどうなの?ちゃんとやってる?」

和美
「進藤さんは勉強しなくてもすっごい成績いいですから」

ひかるママ
「でも、私立に行けって言ってるんだけど・・・ちっとも言う事聞かないの。」
「担任の先生って、どんな方なの?」
ひかるママ
「あの子、学校の事何にも話してくれないから。」
由介
「え?じゃぁ、真矢に虐められた事とか知らないんですか?
「・・・え?!」
和美「あ!ぁ、なんでもないんです。」
和美「ティヒ!」

由介「ハ。」
由介「ティヒ!」
ひかるママ
「おかえり〜!お友達来てるわよ!」
ひかる「なにか、用?」
ひかるママ
「あら、失礼じゃない。せっかく遊びに来てくれたのに・・・。」
ひかる「ちょっと、だまってて。」
 「・・・
 ・・・
ひかる「なに?話って。」

和美
「あの、あぁ、なんていうか、」
和美
「進藤さんの事、もっと知りたいなぁと思って・・・」
   !  
和美「かわいいねぇ、」
和美「ともだち?」
和美「何年生のとき?」
ひかる「いい加減にしてよ!」
ひかる
「これ以上、干渉するの止めてくれる?」

和美
「あ、でも、ほら、私達、親友だし。」

ひかる「やめてよ!!」

 ・・・
 
ひかる
「あなたは、私の親友じゃないから・・・
友達なんていらないから私・・・出てって。」
 和美の手を引っ張り連れて行くひかる
ひかる「でてってよ!!」
 由介を追い出すひかる

 ・・・
由介
「だぁ〜〜から言ったじゃん。止めた方がいいって。」
和美「うるさいなぁ・・・」
 蛍光灯が光り出す
 !!
 !?

 ・・・
 ドン、ドンドン、ドドドドドド・・・
由介「うわぁ、でたぁぁぁ」
由介
「どうする?なんなら引き返す?
それとも、気付かないフリする?」
和美なにいってるのよ・・・
由介「おい、神田〜・・・」
「ツッ、はぁぁ〜。」
 真矢に向かっていく和美
 ・・・
 ・・・
真矢
「相変わらず無駄な努力してるみたいねぇ。
みんなで、仲良く夏休みが過ごしたいとか言って・・・
いい加減目覚めなさい。
向こうは迷惑なだけなんだから。」
 ・・・
真矢
「今の世の中、みんな自分さえ良ければいいの。
周りの人間の事なんかどうでもいいの。
うわべでは仲良くしてるけど、あなたみたいに何も知らないくせに、」
真矢
「心の中に土足で入ってくるような人間が
真矢一番不愉快なの。」
 ・・・
真矢
「もう、諦めなさい。あなたと友達になりたいなんて変わった人間は、」
真矢「彼、以外いないんだから。」
 ・・・
 立ち去る真矢
 立ち去る真矢を見つめる和美
 ・・・
 ・・・
由介「いこうぜ。」
 ・・・
 和美のマンション
 ・・・
「あなたは、私の親友じゃないから」
 ・・・
友達なんていらないから私
「なんか、お先真っ暗って感じ・・・」
 ・・・
「うわ!!」
「きゃぁッ!!」
和美「・・・はぁ・・・。」


「あら、」
「なに悩んでんの?」
和美
「ねぇ、おねぇちゃん。
もし、私みたいのが同じクラスにいたら友達になりたいと思う?」
「ぜ〜ん、ぜん。」


和美
「やっぱ、そうなんだ・・・。」


「プッ、またなんか真矢に言われたの?」

和美
「私と友達になる人なんて一人もいないって。」
和美
「私みたいに何も知らないくせに、心の中に土足で入ってくる人間は迷惑なだけだって。」
「たしかにね。」
和美
「やっぱ、そうなんだ・・・。」

「何も知らないのがいけないんだったら、知っちゃえばいいじゃん。みんなのこと。」
和美「え?」
和美「でも、どうやって?」
「そんなの自分で考えなよ。」
和美「ちょっと、おねぇちゃん!」
和美「ちょっと!ちょっ!!」
 ・・・
「大丈夫〜?」


和美
和美「ありがとう!おねぇちゃん!!」
 ・・・
 リビングを漁る和美
 レターセット
 〜
 手紙を書く和美
 ・・・
 〜〜
 ・ 
 写真を見つめるひかる
 ・・・
手紙を手提げ袋に入れ駆け足で学校へ向かう和美
 家を出るひかる
 うれしそうに学校へ向かう和美
 ・・・
 学校
 みんなの机に手紙を入れていく和美
由介「おっは〜!」

和美「おはよう〜。」

由介「あれ?おまえなにしてんの?」

和美「んん〜、ちょっとねぇ〜。」
由介「あ?もしかしてみんなに手紙書いたとか?」
和美「徹夜しちゃったから眠くて〜。」
和美「おはよ!進藤さん〜。」
和美「はい!これ。」

ひかる「なに?これ。」
和美
「とにかく読んで見て。出来れば返事ぐらい欲しいなぁ〜、なんてぇ〜。」


ひかる「あなた、ほんとに暇ね。」
由介
「おい、おまえ、ちょっと読んでやれよ!神田、徹夜して書いたんだぞ!」
 ・・・
和美
「あ!馬場ちゃん!これ読んでくれる?」
馬場「なに、これ?なんかの陰謀?」

和美
「なにいってんの?そんなんじゃないよ。」


馬場
「こんなこと、してる暇あったら早く掃除しなさいよ。
授業の前に教室が汚れてたら先生に怒られるでしょ。」
 ・・・
 ・・・
 ・・・
 馬場の机に手紙を入れる和美
馬場
「進藤さん。早くしてください。先生に見つかったらどうするの?」


ひかる
・・・
馬場
「進藤さん!班長の命令聞いてください。」
ひかる
「なによ。真矢の言いなりの癖に威張っちゃって。」
 ・・・
ひかる
「ま、しょうがないわよね。勉強も運動も出来ないからご機嫌とってないと真矢にいじめられるし、」
 ・・・
ひかる
「言っとくけど、あなたの事なんて誰も相手にしてないから。」
 ・・・
和美「馬場ちゃん!!」
由介
「あ〜あ。お前ちょっと言い過ぎなんじゃないの?」
 ・・・
 馬場のノートを取る和美
 階段を駆け下りる馬場
 ・・・
 馬場のノートをめくる和美
 ・・・
 ・・・
 ひかるにノートを見せる
 馬場が書いたひかるの絵
 ・・・
 ・・・
和美
「馬場ちゃん、ずっと進藤さんに憧れてたんだよ。」
和美
「進藤さんみたいになりたいって、」
和美
「ずっと思ってたんだよ。
クラスの誰よりも友達になりたいって、」
和美
「思ってたんだよ。」
 ・・・
 !
 クラスメイトが登校してくる
 校舎に戻る馬場
 ・・・
ひかる
「言ったでしょ。友達なんかいらないって。」
 和美の手紙をひったくるように持って教室を出て行くひかる
 ・・・
 ・・・
真矢「まだ、掃除してないの?」
真矢「はやくしなさい。」
 ・・・
和美「先生!」
 ・・・
和美「進藤さんのこと教えてください。」
和美
「先生なら知ってるんでしょう?どうして、友達はいらないなんて言うんですか?」
真矢「・・・イメージできる?」
 ・・・

「昔は明るくて素直な子だったの、彼女。
でも、小学校3年生のとき、両親が離婚して変わってしまった。」
「大好きな父親と離れて暮らさなければならなくなり、」
「しかも、離婚の原因が、リストラされた父親を」
「母親が見捨てたせいだと判って、」
「彼女に反感を持つようになってしまった。」  
「・・・でも、その頃できた親友のおかげで」
「彼女は明るさを取り戻したの。
その親友と一緒にいれば、つらい事も忘れられるようになったから。
でも今度はその親友に母親がひどい事を言ってしまった。」
「あなたは、うちの子にふさわしくないから、」
「家に遊びに来ないでって、」
「しかも信じられない事に、その翌日、」
「その親友は交通事故で」
「亡くなってしまったの。」
 ・・・
「それ以来、彼女は、完全に母親に心を閉ざしてしまった。」
「母親が親友を殺したと思い込んだのね。」 
 ・・・
「同級生とも距離を置いて、」
   ・・・ 
「一人で本の世界に閉じこもるようになってしまった。 」
「・・・彼女は、怖いのよ。 
好きになった人がみんな自分の前からいなくなってしまうんじゃないかって。」
   ・・・ 
「ようするに・・・
友達を作る勇気の無い、」
「弱い人間なの。」
  ・・・ 
 教室を飛び出す和美。
 ・・・ 
 ・・・  
 ・・・  
  ・・・ 
 フェンスから離れるひかる。
 脇に挟んでいた本が落ちて、和美の手紙がこぼれる。
  ・・・  
 和美の手紙を手に取るひかる 
  ・・・  
進藤さんの事が知りたいので 質問でーす。
食べ物は何が好きですか?
私は牛乳以外なんでもOK−!
将来の夢は何ですか?
私はないんだよね〜、まだ。
 
面白い本があったら、教えてくださ〜い。
難しくないのお願い!すぐ寝ちゃうんだ、私の場合。ティヒッ! 
  !
  ・・・ 
 ひかるに駆け寄る和美
和美
「・・・わたしは、いなくならないよ。 」
 ・・・
和美
「ずっと、友達でいるからね。・・・
前に私をトイレに行かせてくれるようにかばってくれたとき 、すっごい嬉しかったんだからね、わたし。」
 ・・・ 
和美
あのとき、わたしが漏らしちゃったことも、ずっと、だまっててくれたじゃん。」
和美
「わたし、この人と同じクラスになれてよかったなぁーって、思ったんだからね。
この人と絶対親友になるんだって決めたんだから。」
 ・・・  
  ・・・ 
 ・・・  
 ・・・  
 ・・・  

 肩に掛けていた和美の手をどかすひかる 
 ・・・   
 走って去っていく和美 
 ・・・ 
  ・・・ 
 教室では登校した生徒達が和美の手紙を読んでいた
  ・・・  
  ・・・  
   ・・・ 
  ・・・  
 教室の前まで戻ってきた和美
「なぁに、これ?」

「笑っちゃうよね。」  
「しんじらんない、みんなに書いてんの。」

「チョーッひまだよね〜。」

「ひま人だよねー。」

「ありえない。」
「なに、これ。」

「うわ、 はずかしい〜。」

「みして、みして。」 

ともき君はサッカーが好きらしいけど、誰が好きですか?
「わたしはあんまりサッカー知らないから今度教えてください。」
  ・・・

「恵里花ちゃん!なんて書いてんの?」
恵里花
「しんじらんない。まだ私のこと、」
恵里花
「この前、島田さんの財布盗んだドロボーとか書いてあんだけど。」  

「うっそ!ひっどい。」
恵里花「むかつく!」 
恵里花が破りだしたのに釣られる様に、みんなも、次々に和美の手紙を破りだす。 
由介「お前何してんだよ!!」
手紙を破っていた黒木を突き飛ばす由介
 机の上でもみ合いになる。 
和美「ねぇ、ちょっとやめてよ!」
和美「ねぇーぇ!!」
 止めに入った和美は払い飛ばされる。
 !
 落ちていく和美
 窓ガラスが割れる
 ガラスを突き破って落ちていく和美
教室に戻るひかるの目の前を和美が落ちていく
 ! 
 廊下に散らばるガラス片。 
 回転して上体から床に付く和美  
 足がガラス片の上へ 
うっ!いっ! 
 窓枠が落ちる 
進藤
「いやぁぁああーーッ!!」
 足下に、血が広がる。
由介「神田!!」
 座り込むひかる 


 
・・・
 真矢がやってくる 
真矢「何をしてるの?」
!!!
 倒れている和美に気付き、早足で近づく真矢
真矢「神田さん?」
和美「はい・・・」


真矢「うごかないで。」
  怪我をした場所に手を伸ばす真矢
 足首をギュッと掴む
  ・・・
 階段で座り込んでいる馬場の前を和美を抱えた真矢が横切っていく
 後を追う馬場
 近くまで駆け寄るが異常に気付き立ち止まる馬場  
 和美の足から滴る血液 
 血が床に落ちる 
 ・・・ 
 保健室 
 手馴れた様子で傷を扱う真矢
和美「いっ!つっ!」


真矢
「我慢しなさい。」
和美「はい・・・」 
 ・・・
 教室に戻ってきた馬場 
由介「おまえら、みんな最低だよ!」
由介「弱虫だよ!卑怯だよ!」
由介
「・・・って、俺がこの前、神田に言われたんだけどね。」
  ・・・


由介

「こうもいわれたよ。」

由介
「俺達が同じクラスになったのも、運命じゃないのか?って。」
 ・・・ 
由介
「なんで、みんなと仲良くしちゃいけないんだ!って、」
由介
「いい思い出作ろうとして何がいけないんだ!って。
 
由介
「このまま、クラスがバラバラになるなんて」
由介
「絶対、嫌だっ!って 」
 
由介
「おまえらさ、あいつの言う事が正しいとおもわねぇのかよ?」 
 ・・・  
 ・・・  
  ・・・ 
由介
「みんな、いい加減、目覚めろよ!
由介
「俺達が真矢の言いなりになったから、こんな事になったんだぞ。」
  ・・・

由介
「クラスメートってさ、みんなで守るもんじゃねぇのかよ?」
  ・・・
 
 教室に戻る由介
 立ち上がるひかる 
 破られた手紙を集める由介
 その様子を見つめるひかる 
 床に散らばった破られた手紙 
 
 
   ・・・
  ・・・ 
 ひかるも拾い集める
 破かれた手紙をかき集める二人 
  ・・・  
  ・・・  
  ・・・  
  ・・・! 
 自分の机の中の手紙をとる馬場
  ・・・
もうすぐ誕生日だよね、馬場ちゃん。
今度誕生日会やろうねぇ〜〜。
 ハッピーバースディーーーーーーー。
 
 ・・・
 破られた手紙の残骸を見る馬場 
手紙と一緒につけられていたパラパラ漫画を見る
 和美と馬場と思われる二人のパラパラ漫画だった。
 喜びながら抱きしめあう二人の絵
 ・・・ 

馬場

「じゃぁ、友達になってくれるの? 」

和美
「なにいってるの、あったりまえじゃ〜ん。」
〜〜・・・  
 涙が一滴こぼれる
 涙を流す馬場。 
 保健室 
真矢
 「もう、帰ったら?みんなの顔なんて見たくないでしょ?」
和美
「・・・ 大丈夫です。」
真矢「・・・ なら、教室に戻りなさい。」 
 ・・・ 
 ・・・ 
!!
 足を引きずりながら、和美が戻ってくる。
 
 ・・・  
 ・・・  
 ・・・  
 ・・・  
 ・・・  
 ・・・   
 真矢がやってくる 
 一斉に教室に戻る 
真矢「神田さん。」

「はい。」


真矢「真鍋君。」

「あ、はい。」
真矢
「何やってるの?ガラスが危ないじゃない。早く片付けなさい。」 
和美「はい。」


由介「はい。」 
 ・・・    
 ・・・    
 ・・・   
真矢
「他の人たちは、予定を変更して音楽の授業にします。
音楽室に移動して。」
ひかる「先生!」


真矢
「なぁに?」
ひかる
「わたしは、神田さん達を手伝います。」
  ・・・ 
 ・・・ 
ひかる
「わたし、ずっと、友達作るの避けてました。」
ひかる
「でも、神田さんは言ってくれました。
わたしは友達だよ。って・・・」 
ひかる
「なにがあっても。
ずっと、友達だよって・・・」
  ・・・ 
 ・・・  
 ・・・  
 ・・・  
ひかる
「親友が困ってるの、ほっとけませんから。」
 ・・・   
真矢
「そんなおろかな事して、大丈夫〜?
進藤さん。」
真矢
「神田さん達と友達になって、何か良い事があったかしら?
・・・困ったとき、二人が助けてくれるかしら?」
 ・・・    
真矢
「結局、また裏切られて、独りぼっちになるだけよ?」
真矢
「そうなってから、後悔しても遅いのよ。」 
真矢
「あなた達三人の味方になる人間は、このクラスにはもう、いないんだから。」
 ・・・ 

 
和美を見る馬場 
 ・・・ 
馬場「先生」 


真矢
「なんですか?」
馬場「わたしも・・・」  
馬場「わたしも神田さん達の見方です」 
 ・・・  
  ・・・ 
馬場
「あたし、あたし、初めてなんです。
友達から手紙もらったの・・・。」
馬場「・・・すっごく、嬉しかった。」
  ・・・
黒木「俺も、」
黒木「一緒に掃除やります。」 


石橋「ぼくも、」
石橋「手伝います。」 
山下「俺もやります。」 
 ・・・
落合「俺も。」
不破「俺も、」
不破「やろっかなぁ〜」 
「あたしも!」
田端「あたしも、やります。」


島田「て、いうかさ、」
島田「これからみんなで、雑用やんない?」 

宮内「いいねぇ〜。」
松本「夏休みは、もう来ません。」 
「俺も来ません!」
安藤「あたし、 卒業証書いりません。」
田中「わたしもいりません。」
佐藤「わたしもいりません。」
  ・・・
 ・・・ 
三田村「・・・ぼくも・・・」
三田村「掃除手伝います」



西川、刈谷、大田、以外の児童が立ち上がった。
  ・・・
 ・・・ 
 ・・・ 
 ・・・ 
真矢
「どうやら、みんなとじっくり話す必要があるみたいね。」
真矢
「ちょうどいいわ。
一人づつ個人面談をしましょう。」
真矢
「・・・そうねぇ・・・。
最初は・・・、」
真矢「佐藤さん」


恵里花
「え?!」
 ・・・ 
真矢「あなた、からにしましょう。」
 ・・・ 
真矢
「困ったもんねぇ、みんな。
友情なんていって、大事な授業を台無しにして。」
恵里花「あ、そ、そうですよねー。」 


真矢「佐藤さん、」
真矢
「もし・・・、またみんなが良からぬことを企んだら、」
真矢「私に教えてくれない?」 
恵里花
・・・もしかして、スパイに」
恵里花「なれってことですか!?」  


・・・
真矢「知ってるのよ・・・」
真矢「あなたが・・・」
真矢
「島田さんの財布を盗んだ本当の犯人だってことぐらい。」
!! 
 ・・・




第6話  終