女王の教室 第5話      Top 
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朝、目が覚めているものの、布団から出ないで寝返りを打つ和美 
章子
「和美〜!おきたの〜?遅れるわよ。」


章子の声で一度は起き上がろうとしたものの財布泥棒とされた昨日のことを思い、再び布団をかぶってしまう。
章子「もう〜!なにやってんの、和美〜!」
章子
「一回起こしたらすぐ起きなさいっていってるでしょう!いいかげんにしてよ。ママ忙しいんだから。もう〜!!」
 章子が部屋を出た後イーッと顔をしかめる和美
 「・・・」 
 恵里花達と撮ったプリクラを見る和美
 昨日の恵里花との会話がよぎる
和美
「お願い。自首して、恵理花ちゃん。」 

恵里花
「和美ちゃんがいけないんだよ。余計なことするから。」

恵里花
「悪いけどもう絶交だから!」
 
 プチトマトをつかみボーッとする和美 
章子
「和美ー、早く食べなさい!」 
章子
「あなた、ちゃんと勉強やってるの?!恵里花ちゃんのママいってたわよ。」
章子
「恵里花ちゃんこの頃成績が上がってきたって。」
「・・・」 
「親友なんだから少しは見習いなさい!」 
和美
「うるっさいな。ママこそ朝から何イライラしているの?」

章子
「何言ってるの?」
「ハハッ、いらいらなんかしてないわよ。
きゃーーぁー!!ぁぁー・・・ 
 料理を乗せた皿を落としてしまう章子
「ママ!だいじょうぶ!? 」
「いいから早く食べちゃいなさい」

「朝から大きな声だすなよ。イライラするだろ。な、和美。」 
「え?あぁ、でも私も悪いんだし・・・」

「和美はやさしいなー。ママに気をつかっちゃって。」
「そういうニヤけた顔してメール打ってんだ?会社の子に。」
「何、言ってんだ子供の前で。」 
章子「そっちがごまかすからでしょ。この前」 
「言ったろ!?あのメールは会社の奴のイタズラだって」
「なぁんか、よくある言い訳って感じだけど?」 
「お前さ、」
「そういう、くだらない事考える暇があるんならちゃんとやる事やれよ。」
「歯磨き無くなってたぞ」
章子
「はあぁーい、うるさいな、もう、今日買いに行こうと思ってたの。」


「また、それかよ。言い訳ばっかりじゃん 」

章子
「いい言い訳してるのはどっちよ?急に接待が増えたとかいって帰りが遅いけどなにやってんの?」

「そんなに心配なら帰ってくるまで起きて待ってりゃいいだろ? こっちが疲れて帰ってきてもガァーガァー寝てるくせに」

章子
「しょうがないでしょ!こっちは朝の仕度とか子供達起こさなきゃとか、色々やる事あるんだから!」

「やる事たくさんあるってそんなの当たり前の事だろ!」

和美
「あのさぁー・・・」

「いいかげんにしてよ!!」
「二人とも」
 

毎朝、うっとしいんだよねぇー」 

そんなに喧嘩するなら離婚すりゃいいじゃん
「何言ってるんだよ、優。」 
「別に そんなつもりじゃ、ねぇ・・・」
「和美に気使わせるのいい加減やめたら?」 
「今、和美大変なんだから。」
和美「ああ!おねぇちゃん! やめて。」
「え?」 

章子「何が大変なの?和美」
「あぁ!なんでもない!」
「ゔぇ゙っ!?」
和美「やっば!まずい、遅刻する!」
和美「行ってきまっす!」


章子
「ねっねっ!和美!」
 「・・・」 
 ・・・ 
石を蹴りながらトボトボと歩く和美。 
 ・・・  
「和美!」

和美「おねぇちゃん!」

「ねぇ、なんならお苗ちゃんが学校に乗り込んでぶっ飛ばしてやろうか、真矢のこと。こうなったのは全部あいつのせいだし。」

和美
「大丈夫だよ。元気モリ!モリ!だから。」


「なに言ってんの。昨日あんなに泣いてたくせに。」

和美
「だって・・・」


「ん?だって、なに?」

和美
「お姉ちゃんが、いつでも和美の味方だよって言ってくれたからさ、、、」
和美「すっごい嬉しかったんだよ、私。」
「・・・」 
和美「だからもう心配しないで。」
「ティヒ!」 
 駆けていく和美
 「・」 
 「はぁっ・・・しんぱいするって・・・」
先生「おはよ。」 


和美
「おはようございます」
 ・・・ 
・・・ 
 ・ 
和美
みんなおはよ!
・・・
 誰も反応しない
 誰も反応しない 
 誰も反応しない 
・・・  
和美「おはよう!」 


・・・  
和美
「いやぁ、参っちゃった!うちのママったら恵里花ちゃんが成績上がったの聞いたらすこしは見習えとかうるさくって。」

恵里花「ねー、何か聞こえた?」  

「いや、別に、空耳じゃない?」
「ん〜ん。」

「て、いうかさ、自縛霊でもいたりして。」
恵里花「やだ!こわいぃぃぃ〜!」

「や〜〜〜!」
「うわ!やばい〜!悪霊退散!悪霊退散!
きえろ!きえろ!」
「バイバイ」
・・・ 
 自分の席に行く和美

恵里花達
「いった、いった、」
「よしよし」 
 席に座る和美 
 ! 
 手鏡が
「犯人登場〜!」 
「人のもの盗んでおいて、よく来れるよねぇー。」
「信じらんなーい!!」
・・・  
 和美を気にかける者はいなかった 
 ひかるに声をかけようとした和美だが 

進藤さんこそ、なんでいっつもそうクールでいられるわけ?私そういうの全然わかんない。

 自分がひかるに言ってしまった言葉がよぎる

 ・・・  
 隣の由介の席を見る和美 
 由介の席 
 ・・・   
 ・・・   
 始業のベルがなる
 
 起立
礼 
「授業を始めます。」
「教科書の46ページを開いて。」 
真矢「三田村君読んで」 
 教科書を開く和美 
 
 教科書にはいたずら書きがされていた 
 
 
 
・・・


 
クラスを見渡す和美

真矢
「次。」
「神田さん読んで。」
「あ・・・はい。」 
 慌てて教科書を机の中に入れる和美
・・・ 
真矢「どうしたの?早く読みなさい。」
「すいません。教科書忘れました。」
 ・・・  
 ・・・  
「教科書を忘れるような人は、授業を受ける資格なんてありません。」
「廊下に立ってなさい。」 
 ・・・はい。 
 廊下に向かう和美 
 ・・・ 
 ・・・ 
 児童を見渡す真矢
「進藤さん。 代わりに読んで。」
ひかる「・・・はい。」 
 ひかるの教科書を読む声が廊下にも響く
 ・・・  
 ・・・   
 放課後 
 由介の席を見る和美
 由介の落書き 
 由介の声がよぎる

 俺、この1年捨てようかな、と思って
真矢とはなるべく関わらないようにして、もちろん毎週のテストもパス 
 ・・・   
 教室を出る和美
「みんなー!しまっていこうー!!」 
 一人実況野球をする由介 
「いやぁ〜、全部一人でやんの疲れんな。」 
 ・・・ 
由介「なんだよ。」
由介(ぬいぐるみ)
「ホントに学校いかなくていいの?」 
由介
「あぁ、いいの、いいの。どうせ真矢の顔見てもムカつくだけだし。」 
由介(ぬいぐるみ)
「でも、神田いじめられてるかもよ?」  
由介「かんけいねぇよ。あんな奴・・・」
 ・・・  
 ・・・ 
 ・・・   

 振り向く由介
 ・・・    
由介「うおぉ、ビックリしたぁ〜!」 
由介
「なんすか?・・・」
「学校、来いって言いに来たなら無駄ですよ。俺、中学公立でいいから勉強しなくていいし。」
「そんなんじゃ、ないわ」
・・・?!
「あなたに・・・」 
真矢「コレを渡そうと思って。」
・・・ 
 ・・・ 
 七月
 水泳の授業。泳ぐ児童達を見守る真矢 
 快調に泳ぐ和美
  
 泳ぐ和美を見る恵里花達と島田達
恵里花 
「なんか、ちょうしよくない?」

その他
ムカつく!
恵里花 
「やっちまおうよ。」 
 桃「やっちゃう?」

 真矢のいる場所へ移動する桃


「先生。バタ足がうまくできないんですけどぉ」
真矢「やってごらんなさい。」 
「はい。」 
  ・・・
 ・・・ 
 泳ぐ和美
 和美のコースに近づく恵里花たち 
 ・
「もっと力抜いて。」
 「はい」
  泳ぐ和美
 ・・・  
  泳ぐ和美 
 
 和美をひっぱる恵里花達 
 沈んだ所を更に上から押さえ込む
 もがく和美 
  
  
 沈む和美
その場から離れる恵里花達・・・ 
  
 !
 飛び込む真矢 
 一気に和美の所へ 
 和美を抱き上げる 
ゴホッゴホッ! 

「泳げないくせに無理をするのは止めなさい」 
 ・・・ 
「違うんです。誰かが・・・」
真矢「誰かが? なんですか?」
 ・・・
 ・・・ 
 ・・・ 
 ・・・ 
「いえ、なんでもないです。ごめんなさい・・・」 
 ・・・  
  ・・・ 
  ・・・ 
  ・・・ 
 教室へ戻る児童達 
 ランドセルを取り出す和美 
 ランドセルを開ける 
 石、雑巾、紙くず等 
 ! 
  ・・・  
  ・・・  
  ・・・ 
  ・・・  
 !
天道「神田さん。どうしたの?」
和美「あ!何でもありません。」
 ランドセルを隠そうとしが落としてしまう
 駆け寄る天道 
  ・・・   
天道
「だれがやったの?こんなひどいこと!!」 
  ・・・  
  ・・・  
  ・・・ 
  ・・・ 
 早足で職員室に向かう天童 
 職員室に入った途端、並木にぶつかる
天道
「あぁ!すいません!すいません。大丈夫ですか?」 
並木
「どうしたんですか?天道先生。そんなに興奮して。」 


天道
「阿久津先生に、ちょっと用事が・・・」
 天道を引き止める並木 

並木
「何の用ですか?」
並木
「6年3組、ああやって質問に来てるんですよ」 
並木
「あの子達はとくに熱心でね。休憩時間のたびにああやって。」
 
天道
「なんか・・・阿久津先生に認められたいから無理してやっているみたいじゃないですか。」

並木
「へっへっへっ、そんなところもあるか・・・」 

教頭
「なにいってるんですか?」
教頭「勉学意欲が向上してるだけですよ。」 
「6年3組はきちんと挨拶もするし、授業中騒いだりトイレに行ったりする子供もいないし。」

並木
「昔はそれが当たり前でしたもんね。ハハハ・・・」
校長
「でも、大丈夫かなぁ〜・・・」

教頭「え?!なにがですか?」

校長
「いやぁ、はっきりした根拠はないんだけど、ちょっと心配だね・・・」 
教頭
「ねぇ、校長。前々から言おうと思ってたんですけれどね、もう少ししっかりしていただかないと。」
校長
「お!?あららら? あぁらま、た、教育委員会か、しょうがないな・・・」
教頭
「この際だから言わせてもらいますけどね・・・」 
刈谷「ありがとうございました」 
天道「阿久津先生。ちょっといいですか?」


真矢
「なんですか?」
天道
「先生のクラスの神田さんがいじめられてるみたいなんです。」 
「さっきランドセルにゴミが入ってて・・・」

真矢
「そうですか。」

天道
「そうですかって、犯人捜さなくていいんですか?」
真矢
「そんなことしても無駄です。どうせ誰も名乗り出ないし。」
天道
「じゃあせめて・・・みんなを叱るとか。」 
真矢
「いじめを止めなさいと言って、」 
真矢
「いじめを止めますか?子供達は。」
 
天道「そんな・・・」
天道「並木先生はどう思いますか?」

並木
「え?え、いや、まぁ・・・うーん。天童先生が言ってることも一理あるし、阿久津先生が言ってることも一理ある。」
 ・・・ 
真矢
「大事なのは、子供達がいじめに立ち向かう精神力をつけることです。
苛めに対処する智恵を持つことです。」
 
真矢
「苛められても戦おうという気力がないから、」
 
真矢
「いつまでたってもいじめられるんです。
苛めがいがなくなれば、みんな止めるのに。」
 
並木「うん、私もそう思うな。」 
真矢
「そういう事を教えないで犯人を見つけても、何の意味もないでしょう。
大体、あなたがみんなの前で神田和美を庇ったら、」
真矢
「ますます苛められるんですよ。
そんなこともわからないの?」
 ・・・
真矢
「そうでなくても、あなたと神田和美がカラオケで、仲良く遊んでいるという噂が立っているんですよ。子供達の間に。」 
並木「それは気をつけないと、天道先生」
 ・・・ 
 場を離れる真矢 
並木「ま、そういうことで」


 聞き耳を立てていた教頭も去る 
 ・・・  
 下校中の和美
 橋の上から様子を見る由介 
 ・・・  
 男子生徒二人が駆けてくる
 そのまま和美にぶつかり転倒させる 
 ! 
「ごめん。」
「大丈夫〜。 」

「ククク・・・」
 ・・・  
・・・ 
 ・・・ 
   
 落書きされた教科書を見つめる和美
 
章子を 見る和美
 ・・・ 
 夫の食事にラップをかけている章子 
 時計を見る
 
 〜・・・
章子 和美
。」 
 
  ! 
章子ハッ、なに?」
和美「ママこそ。」 
 教科書を閉じる
章子
「あ〜、和美。パパの携帯に電話してくれない? 」
和美「え、なんで?」


章子「適当になんか話してさ。」
章子「今パパがどこにいるか聞いてみて。」


和美「ママがすればいいじゃん。」
 教科書をソファに隠す和美


章子
「そんな〜、ママがしたら今忙しいとか言って適当にごまかすに決まってるじゃな〜い。
 
章子
「あ、そうだ。学校で困ったことがあって相談したいから、今すぐ帰ってきてとか言ってさ、ね。」 

和美
「えぇ!そんなのやだよ。」
章子
「お願い。和美。」


和美
「えぇ〜!」
 ピンポーン 
和美「お、ほら帰ってきたじゃん、パパ」
「あ、え、ちょっと待って、ちょっと、」
章子
「あ、あのさ、あのね、ちょっと、い、今の事はコレだからね、和美!」
章子
「早く宿題やっちゃなさいよ〜〜!
章子「あ、おかえんなさ〜い!」 
 ・・・
 和美の部屋
 落書きを消しゴムで消そうとする和美
 ビリッ!! 
 ぅあぁっ!!
 ・・・ 
 恵里花達ととったプリクラ
 ・・・ 
 破れた教科書を見つめる和美、優がそーっとドアを開ける 
「なに、ぼーっとしてんの? 」
あ! 
 教科書を隠す和美

和美
「あ、あぁ、あの、ちょっと、宿題がわかんなくてさ。」
 
 教科書のいたずら書きに気付く優
 ・・・  
「ねぇ、和美。」


和美「うん?」


「明日休みだし、どっかいこうか?」


和美「ほんと?どこいく?」
「どこでもいいよ。あんたが好きな所で。」
和美「ホントー!!」
和美「おねぇちゃん!はやく!はやく!」
和美
「うわー!すごいよ、全部顔まっかだね、これー。」


「ハァ、、、どうぶつえんかよ・・・」
和美「おねぇちゃん、かわいいよ。」 


「そうだねぇ〜」
和美「すっごい。キリンだよ、ほら。」
和美「首、長いねー。」 
和美「ね、なんであんなシマシマなの?」



「そんなのキリンに聞いてみなよ。知らないヨ。」
和美「キリーン!」
和美「おーい!」 
和美「だめだ、コリャ。いこ!」
 ・・・  
和美
「ねぇ、おねぇちゃん何が一番好き?」


「う〜ん、一番嫌いな動物は・・・人間かな?」
和美「え・・・なんで?」


「だってさぁ、ゴミとか排気ガスで地球汚しまくってるし、いつになっても戦争とかイジメやめないし、」
「最悪じゃん。」
和美「ぅん・・・

「あ、ああ、、、 やっぱ、好きなのはライオンかな?」

「メジャーすぎてなんだけど。」 


和美「じゃぁ、ライオン見にいこう。おねぇちゃん。」
和美「こっち、こっち。」
和美「ねえお姉ちゃん。」

「ん?」

和美
「よくさぁ?ライオンは自分の子供を谷底に突き落とすとか言うけど、あれ本当なの?」


「嘘に決まってんじゃん!誰も見たことないんだし。」

和美「ふぅ〜ん・・・」
和美「あ!ライオンあそこ!」 
 
「どうしたの?」 
 ・・・
 ・・・
 真矢はライオンを見つめていた 
 ・・・ 
「うそ・・・なんでこんなところに・・・」
「もしかして、あれが真矢?」 
「よし、私がぶっとばしてく・」
「ちょっと、やめたほうがいいよ。おねぇちゃん。」 
「だぁ〜いじょうぶよ。」
「体は弱いけど喧嘩は強いんだから私。」
 ・・・  
 勢いよく歩いて近づく優
 ・・・
・・・ 
「あの・・・」
「ちょっと、いいですか?」 
 振り向く真矢
真矢・・・なぁに?」
・・・ 
「あたし・・・あの、あ、じつは、」


真矢
「神田和美さんのお姉さんの優さんでしょ?」
 「え?・・・」 

「学校サボってること、ご両親にはまだバレていないの?」
 !・・・ 
 ・・・  
「し、、しつれいしました!!」 
 逃げていく優 

「和美、あれはヤバいよ。無理。絶対無理!」
和美
「だからいったじゃん。なんて言われたの?おねぇちゃん。」


「なんか、気持ち悪くなっちゃった。トイレいってくる」 
「ちょっと、まってよ!おねぇちゃん!」
真矢「おねえさんときてたの?」

 !
 
 ・・・
「恋人とデートしているのかと思ったら。」
「由介のことなら、関係ありませんから、あんなやつ。」 
真矢
「そうね。彼はもう3月まで学校に来ないだろうし。」
 「な、何でですか?」
「この前、卒業証書を渡しておいたの。」 
 「え?!」 
「前から学校に来たくなかったみたいだし。
 
真矢「今頃喜んでいるんじゃないかしら。」 
  ・・・
 午後
 メモを頼りに由介の家を訪ねていく和美
 え〜とっ・・・こっちだ、こっちだ
 橋を渡り 
 商店街を通り 
 ・・・
  公園を抜け
 飲み屋が並ぶ路地を通る
  ・・・
 一軒の飲み屋の前で止まる
  ・・・ 
 スナックきょうこに入る和美
  ・・・  
  ・・・   
   ・・・  
   ・・・  
  ・・・   
   ・・・  
 「おぉっ!」
 「うっ!!」
「いらっしゃぁい。」
「どうぞー。」 
 ・・・
「ビールにします?」
安心して、うち、ハタチ以下にもお酒出してるから。」
和美
「あの、神田といいますけど、ここ、真鍋由介君の家ですよね?」
由介の祖父
「あぁ!あんたが由介の彼女!?」
「ち、ちがいますよ!!」 
「うちの由介が担任に、親のこととかでメチャクチャ言われた時、助けてくれたんじゃないの?」
由介の祖父
「あの子の事が大好き、って言って。」 

和美
「あれは、成り行きで言っただけで・・・」


由介の祖父
「あそう〜」 
「もしかして、由介君のおじいちゃんですか?」
「おじいちゃんじゃないの!おばあちゃまなのよ!」
 ・・・ 
「あの子にもねぇ、おばぁちゃまって呼びなさいってんだけどさ。ほら、あの子バカでしょ?よばないのよ〜。」
「はぁ・・・」
「あ〜!じいちゃん、腹減った。なんか作って! 」
 「・・・あれ?」
由介「なんでお前いんの?」 
由介の祖父
「おばぁちゃまって言わないでしょ?あんたからもいって〜。」
「はい・・・」

由介
「も〜ごめんね〜ばあちゃん!」

由介の祖父
「よぉ〜し」
 
「ほんとに、持ってきたんだ、真矢。」 
由介「ま、こっちもラッキーって感じだけど。」 
和美「じゃあ、もう学校来ない気?」

由介
「あったりまえじゃん。3月まで遊び放題なんだぜ。」


和美「ほんとにそれでいいの?」

由介「なんで?」
由介
「は!もしかして俺がいないと寂しいとか?」 
和美「ばっかじゃないの!」 
由介「ま、照れるなって。」
由介
「デートしたかったらさ、いつでもしてやるから。」  

和美「誰があんたなんかと!」

由介
「俺といると、結構楽しいと思うけどな。学校で嫌なことがあってもすぐ忘れられちゃうし。」
和美「ご心配なく。学校はとっても楽しいし。」
 ・・・ 
 ・・・ 
由介「強がってもダメよ、和美ちゃん。」
 
 
由介
「あ、僕、まだ名前言ってなかったね。モグラのタタッキー。よろしくね!」 

和美
「は?タッキーじゃないの?」
由介
「モグラのタタッキーですよ。」
「もぐらのタタッキー、もぐらたたき・・・なんちゃって!」


和美「ばっかじゃないの!」 
由介
「和美ちゃん。遠慮しないで由介に、何でも相談したら〜?」

和美
「ちょっと、やめてよ。誰があんたなんかに。」
由介
「じゃあ何で今日、由介に会いに来たんだよ。学校で何かあったんじゃないのかな?アレ?」
 「いい加減にしてよ!」
 飛んでいくタタッキー 

由介「お前、返せ!あ!」
由介「あぁーっ!あぁー!!
由介「お前何すんだよ!!」
和美
「そっちがしつこいからでしょ!」 
「こっちは相談する気なんか全然ないのに。」
「あんたみたいな学校に来ない卑怯者に!」
「ツッ!!お前さ、」
由介
「人のこと卑怯者とか言ってけど、お前はなんなんだよ!」
由介
「わがままで、甘えてるだけじゃねーか。」
由介
「本当は辛くて助けてほしいんだろ?」
由介
「だったら素直に言えばいいじゃねぇか!!このガキがっ!」
和美
「余計なお世話よ。私は一人でも大丈夫だから!」
「あんたなんか、絶交よ!!
和美
一生学校に来るな!!」
 立ち去る和美
 ・・・ 
 ・・・ 
   
 
 ! 
 和美の机が廊下に出されていた。 
 机には様々な落書きや張り紙 
 机には様々な落書きや張り紙  
 机には様々な落書きや張り紙  
 ・・・ 
 ドアを開ける和美
!!
 ・・・   
 ・・・  
 クラス中爆笑
 ・・・  
「どうしたのかなぁ〜?そんなに濡れちゃって。 」
「雨でもふってきた〜?」
「ないてたんじゃないの〜?」 
 ・・・  
 ・・・   
 大笑いする者  
〜・・・ 
 ・・・  
 教室を飛び出す和美 
 !
 ・・・
 早足で校舎を出る和美 
 ・・・ 
 
「とうとう逃げ出すわけ。」
 ・・・ 
真矢
「でもどこ行くの?真鍋由介ともケンカしたんでしょう?友達がいないと、」
「この世は終わりよ」
 ・・・  
 ・・・ 
真矢
「どうすればいいか教えてあげましょうか?」
 ・・・
真矢「私に降伏すればいいの。」
真矢
私を味方につければ、」
「もう誰もいじめないし、怖い物は何もないのよ。」  
 ・・・ 
 ・・・ 
和美
「・・・どうしてそんなにいじめるのよ。」
 
和美
「あんたのせいで友達いなくなっちゃったじゃない!!」
和美
「学校来るのも嫌になっちゃったじゃない!!」
 ・・・
和美
「一人ぼっちになっちゃったじゃない!!」 
 和美の両腕を掴む真矢。
真矢
いい加減目覚めなさい!」
  ・・・ 

真矢
「悔しかったら、自分の力で何とかするのね。
真矢「誰にも頼らずに、」
真矢自分だけの力で」 
  ・・・ 
  ・・・ 
 立ち去る真矢 
  ・・・  
 
  ・・・  
 
 商店続を歩く和美 
 由介の祖父が和美に気付く

「あ、ちょっと、後でお金もってくる。」
店の人
「じゃ、帰りに、」

由介の祖父
「ええ、ありがとー。」
 伺うように追いかけていくおじいちゃん
由介の祖父「おじょうちゃん。」
由介の祖父「お茶しませんか?」 
 ・・・
・・・
「あんた、もしかしたら学校さぼったの?」 
 ・・・ 
 ・・・ 
 
由介の祖父 「どうぞ。」 
 「すいません。」
由介の祖父
「やだ、あんま見ないでよ。昼間ボロボロなんだから」
由介の祖父「ハァーっ・・・」 
 ・・・  
由介の祖父
「学校なんてね、 一日や二日休んだってどうって事無いのよ。」
由介の祖父
「私なんか、よく学校休んでカツあげとかしてたもん。」
由介の祖父
「そうだ、せっかくだから今から一緒にやりにいく?」
和美
「遠慮しときます」
由介の祖父
「なによ〜。ノリの悪い子ねぇ〜。」
「そう言えば、由介も昨日から元気ないのよね。なんか知ってる?」
和美「え?」


由介の祖父
「原因は、アレかぁ・・・」
由介の祖父「モグラ。」
由介の祖父
「ほら、あの子がいつも持ってる奴。」
由介の祖父
「どうも、なくしちゃったらしいのよ。」  
和美
「そんなに大事なんですか?アレ。」
由介の祖父
「あの子の母親・・・まぁ、ようするに私の娘なんだけどね。
ほら、男作って出て行っちゃったって事しってるでしょ?」

和美「まぁ、」

由介の祖父
「そんなどうしようもない母親からもらった、たった一つの宝物なのよね。」

和美「うそ・・・」
由介の祖父
「5才のときね、あの子の母親、あの子にあのモグラ渡して言ったのよ。これで遊んでてね、ママすぐに帰ってくるから。」

由介の祖父
「でも、それっきりいくら待っても帰ってこなかった・・・。」 
由介の祖父
「由介・・・あのモグラ持ってれば、」
由介の祖父
「また母親に会えるとでも思ってんのかしら?あのバカ!」  
 ・・・ 
 川原で一人キャッチボールをする由介  
 ! 
 赤いランドセルが
!?
 和美がいる 
和美「ん〜・・・あれぇ〜?」
由介「お前何やってんだよ。」
 
和美
「決まってるでしょう。タタッキー探してんの!」


由介
「余計なことすんなよ。もういらねーよ、あんなもん。」
和美
「何言ってるの?あんたの宝物なんでしょう?
アレ。」
和美「おじいちゃんから聞いたよ。」
和美
「何でタタッキーっていう名前か。
どんなに叩かれても、もぐら叩きみたいに絶対メゲないぞっていう意味なんでしょう?」
 ・・・

和美
「そんなに大事な物、簡単に諦めていいの?」  
 更に進む和美 
 タイヤのホイールをどかし、 
 自転車のタイヤをどかし、 
由介
「お前さぁ、何でそんなに一生懸命なんだよ。
何で真矢にも必死こいて逆らうんだよ。」
由介
「何で同じクラスだからって、みんなと仲良くしようとすんだよ。」
 
和美
「だって、このままじゃ、何で同じクラスになったのかわかんないじゃん、私達。」

由介
「え?」
和美
「だったら友達になりたいじゃん。仲良くしたいじゃん。楽しい思い出いっぱい作りたいじゃん」
和美
「何でそう思っちゃいけないの?」 
 ・・・
和美
「あんたは、この一年捨てたとか言うけど、
じゃあ、今日一日は、何もなかったことになるわけ?」
 ・・・
和美
「私は今日のこと忘れないけど、あんたはすぐ忘れるわけ?」 
「私は、クラスがこのままバラバラで、何の思い出もなく卒業するなんて嫌だから。
絶対嫌だから!
 ・・・
 ・・・
 「あったぁ!!」
!! 
  
 ・・・
 ・・・ 
 タタッキーを水道水で洗う和美
 ハンカチで拭きながら由介のところに持っていく 
和美「はい。」 
 ・・・
「ありがとな。」 
「・・・あのさぁ。」
由介「わかったよ。」
由介
「俺もう、一年捨てるとか言わねーよ。」
 ・・・ 
由介「お前に付き合うよ。」
由介「ずっと。」
 ・・・  
由介
「ん、だってさ、俺、このまま真矢にやられっぱなしじゃ、」
由介「むかつくしな。」 
 ・・・   
由介「よいしょ、よいしょ!」
「なにやってんの?」 
由介「いいからお前も来いよ。」 
「なんかやらしいこと考えてない?」
由介「そんなんじゃ、ねぇーよ!」
「うちのじいちゃんが言ってたんだ。」
「ほんとに辛い時は頭の中でカウント8数えてから立ち上がれって。」
 ・・・ 
「そうすれば、ボクサーみたいにファイトが湧いてくるって。」
「あぁー!ヨイショー!」 
 ・・・  
 横になる和美
 ・・・
 ・・・
 親指を立てうなずく由介
 うなずく和美 
 「せーの!」
「ワン!ツー!スリー!フォー!ファイブ!シックス!セブン!」
エイト!」
 
  立ち上がる二人 
 ファイティングポーズをとる
  ・・・
  ・・・
 ・
 ・
ポーズをとりながら笑い合うふたり。
 翌日、学校へ走っていく和美。 
和美「おはようございまーす」 

先生「おはようー。」
・・・ 
由介「神田!」
由介「おはよう!」

和美「おはよう。」
由介「おっさきにー!」 
「あ、ちょ、まってよ!」 
 校舎に走っていく。
由介「6年3組みんあげんきかなー?」
和美「げんきだよー!」 
由介「俺の事忘れてないかなぁ」 


和美
「だから、忘れてないって言ってんでしょ。」
由介「ほんとかな?」 
和美
「ほんとだって」


由介「ほんとかな?」 

和美
「ほんと!」
 
由介「えー、うそついてんだろ?お前。」


和美

「うそついてない!」 
 ・・・
 真矢が廊下の向こうに現れる
 ・・・
「おはようございます」 
「おはようございます」 
「おはようございます」 
「おはようございます」 
・・・ 
 ・・・
・・・ 
 顔を見合わせる二人 
 ・・・
 通り過ぎて行く真矢
 ・・・
 ・・・
 ・・・ 
由介「ほんとかなぁ?」 


和美
「ほんとだって」 
由介「ほんとかなぁ?」 


和美「ほんとに・・・」  
由介

和美
!?
 ・・・
 二人の机が出されていた
 ・・・
 うなずき合う二人
 二人で教室に運ぶ
和美「おはようー!」

由介
「みんな久しぶりー、げんきだったぁ?」
 
 みんなが、あっけにとられる中、机を運ぶ二人 
 ・・・ 
 机を元の位置に置いた二人
由介
「俺達今日から漫才コンビ組むことにしたから。」  
和美
「コンビ名はカウントエイトっていうのー。ヨロピクね〜♪」
由介
「いや〜しかしアツはナツいでんなー。」
和美
「あほぉ。それを言うなら夏は暑いでんがなー。」
由介「いやぁ、まぁ、そうですね、」

由介
「夏といいましたらホンマ病気、怖いですなぁ」 
和美
「そうですなぁ、きいつけんといかんどすなぁ」
由介
「いやぁ、うちのじいさんも暑い暑いいうて、ホネ溶けてしもうたもん。」
和美
「そういえば、うちのおかぁちゃんも、ってなんでやねんー!」
和美「ありえへんがなー!! 」 
 始業のベルが鳴る みんな慌てて席に着く

和美
「いま、チャイムなったんとちゃいまっかー!」
 顔を見合わせ、うなずきあう二人
 真矢が教室に入ってくる
ひかる「きりつ」 
ひかる「礼」

「おはようございます。」

ひかる「着席」
 立ったままの二人 
 ・・・
 ・・・ 
 由介が教壇に向かう
由介「これ、返します。」
 ・・・ 
由介「こんなもの貰う為に、学校に来ている訳じゃないんで、俺。」 
 ・・・  
 卒業証書を置く由介
 軽く頭を下げ席に戻る 
 ・・・   
和美「先生!」
 ・・・    
和美「私も、もう逃げませんから。」
 ・・・     
真矢
「もうすぐ夏休みだと思って、たかをくくっているんじゃないの、二人とも。」
 ・・・
 ・・・
真矢
「この際だから言っておくけど、」
真矢
「私の教室では、」
真矢
「夏休みはありません。」
えええぇぇぇ
ぇぇぇえええ 
 「まじ?」
 ・・・
真矢「今までどおり、」
真矢「毎日学校に来てもらいます。」 
  ・・・
 ・・・ 
 第5話    終